残月録

残月がやがて消えていく間にも、私の日常生活の中に何か一瞬の輝きを求めて写真を撮っています.

蒼天

2021-08-29 12:13:46 | 日記

             (生駒山系)


             (六甲山系)

集中豪雨に土砂災害が治まったと思えば、
天上に雲1つなく紺碧の青空。
太陽を背に空を見上げると、万物にその生を見出した、
金子みすゞの詩をフト思い出した。

  「星とたんぽぽ」
青いお空のそこふかく
海の小石のそのように
夜がくるまでしずんでいる、
昼のお星はめにみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬけれどもあるんだよ。

ちってすがれたたんぽぽの、
かわらのすきに、だァまって、
春のくるまでかくれてる、
つよいその根はめにみえぬ。
見えぬけれどもあるんだよ、
見えぬけれどもあるんだよ。
  詩:金子みすゞ


江戸小噺

2021-08-24 14:41:39 | 日記






コロナ新規感染者の増加による
非常事態宣言の中、不要不急の外出が
禁じられ、更に曇天、集中豪雨
鬱陶しい日が続いているので
気分転換に江戸小噺を一席。

     柿 栗
 秋の末になり、柿と栗が咄している。
柿「栗どのは果報ものだ、幾重も々も着物を着てござるが、
  おれほど情けない身は御座らぬ、一重もの一枚で
  、寒くなると赤い顔で力んで居ます。」
  と涙ぐんで語れば、栗も気の毒に思って
栗「一重でも着ているのは有難い、この松茸を見てみな、
  この時期になっても、みっともない、
  まだふんどしさえしてないや。」


暗雲

2021-08-19 11:41:16 | 日記



      <暗雲>

夜の風を切り馬で駆けて行くのは誰だ?
それは父親と子供
父親は子供を胸にかかえ
しっかりと抱いて温めている

「息子よ、何を恐れて顔を隠す?」
「お父さんには魔王が見えないの?
 王冠とシッポをもった魔王が」
「息子よ、あれはただの霧だよ」

魔王:「可愛い坊や、私と一緒においで
  楽しく遊ぼう、キレイな花も咲いて、
  黄金の衣装もたくさんある」

「お父さん、お父さん!魔王のささやきが
 聞こえないの?」
「落ち着くんだ坊や、枯葉が風で揺れているだけだよ」

魔王:「素敵な少年よ、私と一緒においで
  私の娘が君の面倒を見よう、
  歌や踊りも披露させよう」

「お父さん、お父さん!
 あれが見えないの?
 暗がりにいる魔王の娘たちが!」
「息子よ、確かに見えるよ
 あれは灰色の古い柳だ」

魔王:「お前が大好きだ。可愛いその姿が。
  いやがるのなら、力ずくで連れて行くぞ」
「お父さん、お父さん!
 魔王が僕をつかんでくるくるよ!
 魔王が僕を苦しめる!」

父親は恐ろしくなり、馬を急がせた
苦しむ息子を腕に抱いて
疲労困憊で辿り着いた時には
胸の中の息子は息絶えていた

      「魔王」
    詩:ゲーテ
    曲:シューベルト

コロナ新規感染者の第5波が来て
大阪は緊急事態宣言のため外出も
ままならず、さらに連日続く豪雨と土砂災害。
この鬱陶しい時期にフト若い時に読んだ
ゲーテの詩を思い出した。


赤とんぼ

2021-08-12 17:49:49 | 日記


夕焼け小焼けの 赤とんぼ
負われて見たのは いつの日か

山の畑の 桑の実を
小篭に摘んだは まぼろしか

十五で姐やは 嫁に行き
お里のたよりも 絶えはてた

夕焼け小焼けの 赤とんぼ
とまっているよ 竿の先

    三木露風作詞
    山田耕筰作曲

秋が近ずくと、かっては京都市内でも夕方になると
赤とんぼやコウモリが夕空を飛び交って
いた。
「山の上が寒くなると、とんぼは下に降りてくるんよ」
と大人に教えてもらった。
近頃はあんなにたくさんいた
赤とんぼを目にするのが珍しくなった。
ましてや、オニヤンマ、ギンヤンマなど
見たことがない。たまにシオカラが池のほとり
に止まっていることがある。

少年時代

2021-08-06 17:54:04 | 日記

     蝉の孵化



夏が過ぎ 風あざみ
誰のあこがれに さまよう
青空に残された 私の心は夏模様

夢が覚め 夜の中
永い冬が 窓を閉じて
呼びかけたままで
夢はつまり 想いでのあとさき

夏祭り 宵かがり
胸のたかなりに あわせて
八月は夢花火 私の心は夏模様

目が覚めて 夢のあと
長い影が 夜にのびて
星屑の空へ
夢はつまり 想いでのあとさき

夏が過ぎ 風あざみ
誰のあこがれに さまよう
青空に残された 私の心は夏模様
  井上陽水

少年時代の夏休みの終り頃は
大人達は日常の生活に戻ってしまい、
夏休みの宿題も仕上げねばならないし、
ワークブック、1ヶ月分の日記、観察日記、工作、
子供心にもなんとなく憂鬱だったな!