かつてない事態 再びハッピーになるために 経済アナリスト 森永卓郎さん
戦後最悪の被害が出てくるのは確実だ
今までのバブル崩壊というのは基本的には金融問題でした。実体経済へ影響を及ぼしたのは金融危機が直接、投機をしていた人たちを潰すだけでなくて、そこから連鎖していったわけです。あらゆるものの値段が下がって、それを作っていた人が苦境に追い詰められる。あるいは企業が破綻すると、債権者だとか商品を納入していた人たちに連鎖していく形だったので、金融危機の部分を止めることで、経済を戻すことが可能でした。
今回は順序が逆で実体経済をいきなり直撃しました。そこから今、金融危機の方向に向かおうとしている。だからずっとその範囲が広くて根が深いです。
トヨタは2021年の3月期の利益が8割減の予想です
グローバル資本主義への対抗策として、森永さんが有効だと考えているのが、ベーシックインカムです
永久にです。いわゆるベーシックインカム(※2)の導入です。
(※2)ベーシックインカム=政府がすべての人に無条件で、一定額を支給する社会保障制度。
ベーシックインカムに必要な財源として、通貨発行益を活用するべき
政府が国債を発行して日銀が全部買うわけです。政府は日銀に国債の利払いはしないといけませんが、日銀に支払われた国債の利子は国庫納付金の形でほぼ全部、国にかえってきますから、政府に負担はありません。元本は返さないといけませんが、国債を永久に日銀が持ち続けることをすれば、元本も返さなくていいわけです。ということは、政府は1円の負担もせず、増税もせずに財政資金を手にすることができる。これを私は通貨発行益と呼んでいます。
今まで、こうした手法を使い続けてはいけないということになっていたのは、世界各国がそれをやって高いインフレを招いてしまったからです。だけど、少なくとも日本はならないと分かったのが、アベノミクスの成果だと思います。???
最近MMT=現代貨幣理論(※3)というのが脚光を浴びているのも日本を見れば大丈夫だという認識が広がったからです。(※3)現代貨幣理論=「自国の通貨を持つ国家は債務返済にあてるお金を際限なく発行でき、政府債務や財政赤字で破綻することはない」という考え。アメリカの一部の経済学者を中心に提唱されているが、批判的な意見も多く、議論となっている。
今までフィンランドなど世界中でベーシックインカムの社会実験が行われていて、その共通した結論は勤労意欲を阻害しないということです。
これから人工知能がどんどん発達していく時に、単純労働の定型的な労働は人工知能やロボットがやるようになる
だから弱肉強食で金に金を稼がせることと距離を置いた人たちが実は今回の騒動でも幸福度を守れたし、感染のリスクからも離れたところに身を置いていたということなのです。
今起きているのは100年前と同じことだと感じています。100年前、第一次世界大戦が終わって、それまで戦争特需で好況に沸いていたのが特需がなくなり、どーんと経済が落ちて恐慌状態になるんです。
そこで銀行の取り付け騒ぎとかいろいろ起きるのですが、そのあと何が起こったか。1つは財閥がどんどん太っていきました。強いところは恐慌の時でも大丈夫で、むしろ潰れていったところのビジネスとかマーケットを吸収する形で太っていくのです。
もう1つは今までの常識にとらわれない無数の零細企業がどんどん生まれたのです。
ITあるいは人工知能を使って新しいビジネス、生活に役に立つビジネスを起こすチャンスだし、日本は思いつくのは下手だけど改善するのは得意なわけですから、そのチャンスが今訪れているのだろうと思います。
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