前号の最後の部分で「抜け毛が増えたり減ったりしながら、薄毛は進行しますし、毛が増えるものなのです。毛は抜けながら薄くなるので、抜け毛ばかりが気になってしまうものです。これは仕方がないかな?」と記述したかと思います。
でもこの書き方は少々甘かったように感じています。仕方がないで済ませていたら、いくら経っても薄毛を治せる人は減りませんし、薄毛人口が増えるだけになります。
緑の黒髪だった日本女性
ひと昔前(1980年代より前)の日本女性の髪の毛は、黒くてみずみずしくて、艶やかな髪の毛だったのです。
ヘアケアにしても食習慣にしても、良質な髪の毛を作る習慣を採り、毛を育てる素質のある人が多かったのですね。
それが大きく変わったのが、1990年代に入ってからです。育毛サロン系のTVCMや雑誌での広告・TV番組での特集等々で「毛穴に皮脂が詰まって毛が生えるのを阻害している。これを取らないと毛が生えてこない。弊社が取り組んでいる施術で頭皮を洗えばこんなに毛穴が綺麗になるのです。」と訴えかけたのですね。
マイクロスコープ(拡大鏡)で、施術前と施術後の画像を見せて行ったのです。
結果、「ハゲたくなければ頭皮を良く洗って皮脂を取れ!」と思わされてしまったのです。
その上某発毛サロンが「抜け毛を無くして発毛させよう!」なんて言うものだから、どの育毛剤の広告でも発毛と抜け毛対策を訴えるようになったのです。
育毛剤はここ20年くらいで1億本以上の出荷実績があり、ほとんどの人が毎日洗髪するようになりました。それも頭皮を念入りに洗っている人ばかりと言っても過言ではありません(弊社にご相談にいらっしゃる方々の話から)。
嘘八百のTVCM
これで、薄毛の人口が減っているなら良いのですが、減らずに増えるばかりで、女性や若い男性にまで広がっているのですね。そればかりか、洗い過ぎによる頭皮のトラブルで悩む人が出てくる始末。
さらに、2005年頃には飲む薬まで発売されるようになり、それで薄毛人口が減るかと言えばそんなことがなく、治せない人だけが増えているように私には思えてなりません。
ウイッグや植毛・増毛が流行る理由が分かりますね。
元々のTVCMで訴えていたことが嘘八百だったのですから、「とても罪深いなあ」と思いますね。
何が嘘なのでしょう?
- 皮脂は毛穴には詰まりません。皮脂は脂なので液体です。多くなっている状態をマイクロスコープで見れば浮いて見えるだけ。
- 皮脂が多いのが悪いのではなく、皮脂を多くしているケアが悪い。皮脂を取れば再度分泌されるものだから、繰り返し皮脂を取っていると自然と皮脂の分泌が増える。
- 皮脂が悪いのではなく、皮脂は人の体を守る保護膜。これを取るから薄毛になる原因を作っている。
- 頭皮を丹念に洗えば、誰だってその時は頭皮・毛穴は綺麗になるもの。綺麗にするから皮脂が増えているだけ。
- 抜け毛を減らせば、生え替わってくる毛の本数が減ります。発毛させても生え替わる本数が減ってくるだけになります。
- 薄毛と円形脱毛症・びまん性脱毛症を同一に見ているから間違った効果を求めて育毛に失敗している。薄毛は生え替わりながらその人本来の毛に生育しなくなっていく症状。脱毛症はちゃんと生育している段階で抜けてしまい生え替わって来なくなる症状。
こうして見ると、嘘八百だったのが分かるでしょう。
抜け毛で煽られている
多くの人は、毛が抜けて薄くなっていくので抜ける毛のことを気にします。ここに商売としてのつけ入るスキがあるのです。
単純に抜ける毛を無くせば、毛が増えるのじゃなのか?と薄々感じているところに、広告で「抜け毛が増え始めた時が育毛剤を検討する時期」や「このシャンプーを使うと抜け毛が激減した。リピートします。」なんてあちらこちらで言われてしまうと「抜け毛が減れば良いんだ」「抜け毛が減るのが毛が増える効果なんだ」と洗脳されてしまうわけです。
あちらこちらで「抜け毛が減った!万歳!」なんてコメントを見ると、多くの人と同じように右向け右の方に同じように抜け毛を減らす動きをするようになります。
結果、抜け毛が減って毛の量も減り、薄毛が治るのではなくさらにひどくなってしまい、信じられなくなってしまうのですね。
ここでも、ウイッグや植毛・増毛が流行る理由が分かりますね。
薄毛と脱毛症は違うのを分かること
下記記述の脱毛症とは、円形脱毛症やびまん性脱毛症のことです。
- 薄毛とは、生え替わる度にご自身の本来の毛に生育しなくなっていく症状です。その進行していく段階で最初は毛に元気はなくなり抜け毛が減り、ある時抜け毛が急増して薄毛になり、薄毛が進行していくと生え替わる本数が減っていくので急速に抜け毛が減っていきます。増える時は、本来の本数を維持できるだけの生え替わりになってくるので減っていた抜け毛が増えるようになります。
- 脱毛症は、ちゃんと生育している毛が生え替わっている状態の時、何らの理由で生育途中で抜け毛しまい生え替わってこなくなる症状。その何らかの理由には強い重圧や心労になるようなストレスが多いです(自律神経の乱れ)。その理由が改善されると本来の毛として生育し始めるので短期間で元のように戻ります。
薄毛が治るには、本数が維持できる生え替わりになってくるので、その人本来の抜け毛に増えることが多いです。
脱毛症が治るには、毛の生育を止めているストレスを解消して、ねじれている心身のバランスを元に戻す(自律神経のバランスを取り戻す)養生が必要ですね。