長年育毛相談の現場で仕事をしていると、抜け毛を減らして薄毛を治そうとする人がとても多いことに驚きます。
なぜ驚くのか?と言うと、抜け毛が減っても薄毛が治るわけではないことを、現場で見て聞いて経験して理解しているからだと思います。
多くの人は自分のことしか見てない上に経験もしていませんから、当然といや当然なのかもしれません。ただし、生え変わりが正常になった結果、抜け毛も正常になった(=たまたま抜け毛が減っただけ)経験はしています。
■あなたの毛は抜けないのか?抜け毛って何なのか?
あなたの毛は抜けないのでしょうか?「洗髪時もドライヤーで乾かす時も日中も抜け毛はゼロです」なんて人はいないでしょう。いたらいたで、それはそれは怖いことですね。
髪の毛には「発毛期→成長期→退行期→休止期→脱毛期」と言う様に、髪の毛は必ず抜ける期=脱毛期があります。1本の毛の最後は脱毛期。
誰にでもある抜ける期=脱毛期ですが、薄毛の人とそうでない人の大きな違いは、脱毛期にあるのではなく成長期にあります。
毛は脱毛期に入ると、「本来の寿命が来て」成長を終えている為に嫌でも抜けるのです。抜け毛とは成長を終えた毛が抜ける毛のことを言います。
ところが成長途中で毛が抜けることがあります。それは、頭皮に炎症を起こした時・火傷を負った時・極端なダイエットをした時・ホルモンのバランスを崩した時・円形脱毛症等の病的な時・抗がん剤等の薬の副作用ですね。今号では成長途中で毛が抜けることは論外として話を進めています。
本来の成長期に伸びている人は、生え変わりのサイクルが正常になっているので薄毛になりませんが、本来の成長期まで伸びない人は、生え変わりのサイクルがおかしくなっているので薄毛になっています(注:本来の成長期とは、毛の中身の濃さ・太さ・長さの3つがあります。)
抜け毛とは成長を終えた毛が抜ける毛のことで、最後の脱毛期に移行した毛のことですね。
■薄毛になるとはどう言う状態になることか?
薄毛になる人は、本来の毛質よりも柔らかくなり、生え変わってくる毛が本来の太さより細くなり、生え変わってくる毛が本来の長さまで伸びなくなっていくのです。
薄毛になる時は抜け毛が増えたり減ったりしますが、生え変わってくる毛が細くなり伸びなくなってきて、それらの毛の割合が増えてきます。
今生えている毛の中には、4年前後前に発毛期から成長期を経て退行期・休止期に移行している毛もありますが、2年・3年前に発毛して現在成長期真っ最中の毛もあり、ここ1年で発毛期から成長期に移行した毛もあります。
これらの中で、一番最初に脱毛期に移行して抜ける毛はの「4年前後前に発毛した毛」です。
比較的太くて成長期が長めの4年前に発毛した毛が抜けた後に、生え変わってくる毛が細くなり伸びなくなっている毛になり、それらの毛の割合が次第に増えてくるので薄毛が発症し進行していくのです。
■抜け毛と薄毛の状態を見ると結びつくか?
抜け毛とは成長期を終えた毛が抜けること、薄毛になるとは成長期が短くなった(生え変わってくる毛が細くなり成長しなくなる)毛の割合が増えること。
薄毛が改善するとは成長する毛が増えるようになることなので、成長しなくなった毛の割合が減り成長する毛の割合が増えてきます。すると生え変わりが正常になってくるので抜ける毛の本数が減る場合はあります。
では、逆に抜ける毛が減ると成長する毛が増えて、生え変わりが正常になり成長しなくなった毛の割合が減るのでしょうか?
■結果を原因とするからおかしくなる
上記をよく読んで頂くと分かりますが、毛の生え変わりのサイクルの中で脱毛期と言うのは最後になります。
脱毛する本数は成長期がどうなるのかに左右されるので、脱毛する毛はあくまでも結果であって、薄毛になる原因ではないのです。現実に「抜け毛が増えるから薄毛になる」ことが多く、それを原因と判断することが問題をややこしくしているのです。
薄毛になるとは、毛の中身が薄くなり・細くなり・成長しなくなることなので、原因となるのは毛の成長に影響を与える要素(主に血行)だと言うのが分かりますよね。毛が抜けるのは原因でありませんからね。
■抜け毛が減ったり増えたりしながら薄毛は治っていく
抜け毛が減るのは、成長する毛が増えるからだと主張したい人が多いと思います。そう言う場面は確かにあります。
が、成長しない毛が本当に増えてくると頭皮の表面に出ている毛の本数が減ってくるので、抜ける毛の本数は減っていきます。こんな場合、成長する毛が増えてくると頭皮の表面に出ている毛の本数が増えてくるので、薄毛が治る段階で抜ける毛の本数も増え始めます。
要は、生え変わる本数が減っていくのが薄毛になることで、反対に変わる本数が元に戻るのが薄毛の改善につながるとも言えるのです。
正常な生え変わりの本数が必要なので、抜け毛の本数は減ったり増えたりしながら、薄毛が治ってもいくのです。
抜け毛の本数は結果でしかありませんが、抜け毛ている毛の中身の変遷を見ると判断に間違いは無くなります。詳しくは→「抜け毛の中身を見れば良い悪いの参考になる」をご参照下さい。