某化粧品メーカーのシャンプーの広告で、「フケや頭皮に臭い・かゆみが気になるならこのシャンプーで頭皮を洗って下さい。」が流れ始めました。
実は、この化粧品メーカーは「毛穴に皮脂が詰まっていて育毛剤の浸透を邪魔しているのだ。だから、このシャンプーで毛穴に詰まった皮脂を取ってスッキリ!」なんてことも告知しています。
■1960年代(昭和30年代)~1970年代(昭和40年代)
昔と言いますか、40年50年前はどうだったのか?から考察してみます。
1960年代とか1970年代は、ちょうど最初の東京オリンピック前後の時代ですね。
この頃の日本では、各家庭に内風呂があるのは珍しく、ほとんどの家庭は銭湯に行くか近くの内風呂のある家を使わせて頂いていたのです。
その為、お風呂に毎日入るのではなく、週に1回とか2回お風呂に入るだけで、その時に洗髪をしていたのです。シャンプーなんかはなく、固形石鹸かお湯で洗髪していた人がほとんどでした。
その頃に、薄毛の人と言えば、家系的にハゲの血筋の男性の中にハゲの人がいたくらいで、現在のように10才代や20才代・30才代で薄毛になっている人はほぼいなかった上に、女性の薄毛なんて考えられなかったのです。
■1990年代の育毛サロンの広告
この状況が大きく変化したのは、内風呂の普及とシャンプーの普及が大きいです。
特に大きかったのは、1990年代の育毛サロンによる「ハゲたくなければ皮脂を取れ!」と言う大々的な広告です。
メディアの特集を通じて、マイクロスコープで頭皮を拡大して見せて「これだけ頭皮が汚れていて、毛穴が皮脂で詰まっているから毛が生えてこない。弊社のサロンでケアを行えばこんなに頭皮が綺麗になり、ケアの皮脂の詰まりもなくなり綺麗になるのですよ。」と訴えたのです。
それに加えて、同時期に女子高生を中心にしてガングロ茶髪のファッションが流行り、2000年頃には髪の毛を染めていない女性がいないほどにカラーが広まったのですね。
こうして、毎日シャンプーで頭皮をよく洗う人が急激に増えて、2000年頃(私が育毛相談を仕事として始めた頃)には、頭皮の温浴をすると頭皮からはシャンプーの残留が激しい人ばかりになっていたのです。
かつ、2003年頃からは女性の薄毛のご相談が急増し、今ではご相談者の半分以上が女性の薄毛のご相談です。
■フケ・臭い・かゆみ・赤み・ベタつきの理由
こうして時代の流れを簡単に振り返ってみると、ここ40年くらいの間に急激に薄毛の人が増えていったと言えます。そのきっかけが毎日シャンプーすることとカラーにあるのではないか?と予測することもできます。
当然、食習慣の変化や動かない生活・PC業務が中心になっている人が増えたこともあるでしょう。
では、なぜフケ症・頭皮の臭いとかゆみと赤みとベタつきと言う頭皮のトラブルに見舞われる人が多くなっているのでしょうか?
TVの広告で「フケ・臭い・かゆみ・赤み・ベタつき」を言い始めると言うことは、それでお悩みの方が多いと言うことですね。
頭皮にフケ症・頭皮の臭いとかゆみと赤みとベタつきが出る理由は、頭皮を清潔にシャンプーする習慣を続けてきたからです。
最初は良いように感じることがあっても、それが習慣になっていると知らぬ間に頭皮のトラブルが出るようになり、洗わないと駄目な頭皮になってしまいます。
ベタつくようになるのは、皮脂の分泌量が増えている状態です。なぜ増えるのか?と言うと、皮脂を取るように頭皮を綺麗に洗うことを続けるからです。
皮脂は皮膚=体を乾燥や細菌・ウイルスの繁殖と侵入を防ぐ保護膜です。体=皮膚を保護する膜を取り去るのですから、必然的に再度分泌されて皮脂膜を形成します。
取ることと再形成を繰り返していると、自然と皮脂の分泌量が増えるようになります。その結果として頭皮と髪の毛がベトつくようになるのです。
皮脂膜のすぐ下には角質層があります。皮脂膜を取り去ると界面活性剤で直接こすることになるので、角質層が剥がれるようになります。その結果フケが出やすくなります。
かつ、清潔にするとは一時的に弱酸性でない状態になると言うことなので、皮膚上の皮膚常在菌のうちの悪玉菌の繁殖が激しくなります。その分泌物が臭うようになり、頭皮が荒れていることでかゆみも発生するようになるのです。
正常な頭皮では皮膚常在菌のうちの善玉菌が優勢で弱酸性になっていて、悪玉菌は存在しているだけで悪さができません。
極めつきは、角質層を削って痛めていますし、悪玉菌の繁殖で皮脂が酸化しやすくなることで、頭皮が赤みを帯びるようになってくるのですね。
頭皮のトラブル=フケ・かゆみ・臭い・赤み・ベトつきの原因は、毎日シャンプーで頭皮を清潔にすることが始まりなのですね。
■ついでに薄毛の人と皮膚疾患の人が増加
シャンプーで頭皮を清潔にしてきた結果、頭皮のトラブルを抱えている場合(洗わないと駄目)、頭皮が弱っていることがほとんどなので、血行・血流が悪くなり髪の毛の生育が悪くなっていることが多いです。
頭皮をシャンプーで清潔してきた結果として、頭皮にトラブルが発生しているのに、TVでの化粧品メーカーが訴えているように、頭皮のトラブルをシャンプーで洗って解決しようするところに無理があります(頭皮を綺麗に洗って過酸化脂質を取り去るのも同じです)。
洗えば一時的に頭皮のトラブルは消えますが、再度発生するようになり、ひどい状態になってしまうことが多いです。行き着く先は何らかの皮膚疾患です。よくあるのが、脂漏性湿疹・皮膚炎ですね。
こうなってしまうと一生治らなくなることもあるので、本当に罪作りな広告だなと思います。
■頭皮の状態を確認する方法
今現在、「あなた」の頭皮がどんな状態なのか?を知る為の方法をお知らせします。
それは簡単です。2日か3日程度お湯のみでの洗髪=湯シャンを行えば良いのです。
「湯シャンなんかしたら、頭皮にトラブル=フケ・臭い・かゆみ・ベトつき・赤みが出てしまうよ。」とおっしゃるなら、相当頭皮のトラブルの傷が深い可能性が高いです。この場合は皮膚科での治療か弊社にご相談下さい。
湯シャンをすると、2日目くらいに少しかゆみや臭いが出てくる場合は、傷は浅いでしょう。こんな場合は、湯シャンを1か月も続ければ湯シャンでも問題が無くなる可能性が高いでしょう。皮膚科での治療で簡単に治る可能性が高いですが、その後のことを考えるとそんな頭皮にしない為のケアを採る為に、弊社にご相談下さることをご検討下さい。