23・4・19 Wed
僕が北鎌尾根に最初に訪れたのは2001年のGWなのですが、今回は2008
年秋以来となる15年ぶりの北鎌尾根の再訪です。そんな三度目の北鎌尾
根にⅠ垣さんと共にトライ。22年前のGWの時は湯俣からのアプローチだ
ったのですが、今回は渡渉の無い水俣乗越からのルートにしました。な
ので上高地からの入山(7:30)です。
未だ雨戸は塞がれたままの徳沢(9:02)横尾(10:26)を通り過ぎ、槍沢
ロッジ(12:10)辺りから残雪が繋がって大曲(13:30)へ。ここから水俣
乗越(15:15)への標高差約400mの区間のツライ登りが体に堪えます💦
水俣乗越(15:30)に到着。槍沢側は高度感がありますが天上沢側はそれ
程の高度感はありません。そのまま天上沢に沿って沢筋を下って行くと
残雪の消えたガレ沢には水流がありました。
貧乏沢まで下った辺りになると靴を脱がないと渡渉が出来ないほどの水量
なので、先々を見越して渡渉できるところでしておく事を繰り返している
うちに疲れもたまってきました。そうして目に付いたP2尾根の取り付き迄
700m程手前の河原で幕営(18:40)。今日はこれで行動終了だと思うとホ
ッとします。当然ながら今夜は水を作る作業はなく、すぐに夕飯の支度に
入れる環境が疲れた体にはありがたい。
23・4・20 Thu
幕場(5:50)から水際に沿って天上沢を下ってゆきP2の取付尾根の端へ
(7:14)。急登の尾根にはP2へと続く小径があってとても助かります。
途中にある1ピッチのモンキークライム区間はロープで確保しながら
通過しました。樹林帯の中の幕場としても良さげなP2(8:35)から痩
せた尾根や岩場を灌木等の手掛かりを交えた登りを経てP4へ。
P4(11:43)を下って登り返した岩稜からP5直下を天上側からトラバースで
捲き上がってP6との鞍部へ。今度は千丈沢側からピーク下のバンドから捲い
てP6に立ち、P7へと向かって行くと北鎌のコルへの懸垂20mほど。
北鎌のコル(14:40)に降り立ちこれで下半部が終了、と同時に上半部の
スタートです。今日中に天狗ノ腰掛辺りまで上がってテントを張りたい
ところですが、日没までの僕たちに残された行動時間や体力は少なく適
地があればその手前で行動を終了してもいいかなと思いながら前進して
ゆきます。
先を行く気力体力も出ない僕に代わってP8への急な登りをゆくⅠ垣さんの
トレースに助けて貰いながらP9・天狗ノ腰掛(17:20)に到着。台地状の山
頂に着くと風が通り抜けて寒いので、突き出ている岩と岩の間に風除けの
雪壁を築いてこれを防ぎようやく今夜の幕場を確保…、ツカレタ…💦
23・4・21 Fri
昨夜はあまり眠れなかった。強くはなかったけれど風の音が気になって、
疲れが抜けないまま起床の時刻(4:00)となってしまった。朝食を摂って
出発(6:00)。今朝はP10・独標を越えなければならないのが一つ目の核
心です。
独標の基部で状況をみて直登ルートか捲きルートかを決めることにしま
す。この積雪の状況ならばと、安全確保が容易な直登ルートを登ること
にしました。
先ずは岩稜基部からスタカットでルンゼ内へと入り、岩稜へと抜けた所
からコンテに切り替えて途中途中で岩角や残置にアンカーを取りながら
頂上へと向かって前進。
やうやく辿り着いた独標(8:20)でロープを解いて休憩。ここまで来れ
ば遠く思えていた槍ヶ岳がずいぶんと近くになったなと思います。
P11からP14までは痩せた小さな岩峰や岩稜がつづきます。P15(12:11)
で一見フリーでも下れそうな10m程の岩稜を懸垂で下降。
槍ヶ岳を仰ぎ見ながら北鎌平へと登り返して、そのまま左上気味にスカイ
ラインへ岩稜を辿ってゆきます。丁度、山頂直下の所で増してくる傾斜と
雪壁の堅さからロープを結んでスタカットで前進。
1P目×40mをⅠ垣さん、2P目×40mを僕、3P目×20mをⅠ垣さんと繋いで
槍ヶ岳山頂へ立つことが出来ました(14:40)。
昨年につづき一年ぶりとなる槍ヶ岳山頂からの景色を眺めてるととても
嬉しい気分です。今の僕からするととても大きなトライだっただけに安
堵がこみ上げてきました。
登頂を満喫した後は肩の小屋へと降って露岩を椅子代わりにして休憩。
今朝方は今日中の下山も可能かなと考えることもあったけれど、そんな
ことは早々に諦めました。幕場を探しながら18時過ぎまで歩いたところ
で本日の行動を終了。
今夜も水を作る作業がないので、その分だけはゆったり気分でイブニン
グを過ごせます。明日は上高地へ戻るだけなので、予備食を気にするこ
となく夕飯を食べて、Coffeeを飲んで、そして眠りました
23・4・22 Sat
今朝は四時半に起床して朝食を食べた後、スタスタと上高地(9:20)へ。
入山時には降雪で白かった景色が下山の時には季節がひと足先へとすす
んだよう、雨戸で塞がれていた山小屋の窓には明かりが零れるそんな風
景にかわっていました。