第三十九首
浅茅生の 小野の篠原 しのぶれど
あまりてなどか 人の恋しき
参議等
源等 (880-951) 嵯峨天皇の曾孫。丹波や山城など地方官を歴任した。
部位 恋 出典 後撰集
主題
おさえられない恋心の切なさの告白
歌意
浅茅が生えている小野の篠原ではないが、この心を耐え忍んでも、耐えきれぬほどにどうしてこんなにも、あなたのことが恋しくてたまらないのだろうか。
浅茅(あさぢ)・荒れ地に一面に生える、丈の低いちがや。
浅茅が生えている小野の篠原―序詞を巧みに使って、おさえきれない恋の切なさを告白した歌である。
歌人としては、ほとんど問題にならなかった源等を百人一首に加えたのも、この秀歌ゆえのことであった。
参議等は、中納言兼民部卿源希の二男。嵯峨天皇の曾孫に当る。
勅撰集入集は、『後撰集』に四首のみ。