家づくり、行ったり来たり

ヘンなコダワリを持った家づくりの記録。詳しくは「はじめに」を参照のほど。ログハウスのことやレザークラフトのことも。

基準すれすれのリスク

2005年11月28日 | 家について思ったことなど
「経済設計」に関して先日書いたが、姉歯某がやった基準に満たない設計は論外としても、基準をすれすれでクリアするというのもどうかと思う。

施工は設計図面どおりになされるものというのはあたりまえのように思えるが、量産品でない建築物をつくるとき、図面上の不都合が現場で発覚するということは少なくない。不都合というほどでもなく「窓のサイズを少し変えたい」なんていう要望だって出てくる。そのとき、なにがしか図面どおりでない部分ができることになる。それが必ずしも構造に影響を及ぼすとはいえないが、すれすれの構造計算であるならば、わずかな変更でも気になりはしないか。
また、机上の計算ですれすれに基準をクリアしたならば、完全無欠の施工管理・監理がなされてはじめて名実ともに基準を満たす建物になりましたと言えることになる。施工する職人のミスともいえないようなちょっとした間違いとか勘違いが1箇所でもあったら、すれすれであるがゆえに現実の建物では基準値に満たない数値になってしまう恐れがある。
「経済設計ができる」ということは、「できるだけ少ない構造材で建築基準をクリアする設計ができる」ということであり、その追求はどうしてもに限りなく「すれすれ」近づこうというベクトルになりやすい。

施工者が設計者に「経済設計」を要求するという行為の上流には、住宅の購入者や施主がとにかく安さを要望していることが一因となっている場合がある。購入者や施主が安くなるよう要望するのはごく自然のことではあるが、構造のような部分まで、極限まで安くしろというように下流に伝わっていないかどうかは確認した方がいい。
地震や台風などの対災害に関わる構造部分をすれすれのレベルまで「経済的」にしてもらっていても素直に喜べない。