興味深い記事があった。
本日(9/21)付の日本経済新聞一面コラム「春秋」より
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20070920AS1K2000320092007.html
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「古いからダメ」ではなく、古さが良さにつながるのが「ビンテージ」品。ワインや楽器などの解説に使われる言葉だ。集合住宅にもビンテージ品があるのではないか。そんな問題意識から若手の建築家らがホームページを立ち上げた。
(後略)
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記事中紹介された"ホームページ"は↓
「ヴィンテージ・マンション・カタログ」
弊blogでも紹介したことがある「東京R不動産」の仕掛けだった。
以前私は、「ビンテージ住宅」というエントリを立てた(2006年2月)。
古い住宅の、古さによってもたらされる価値を評価するようにしたいとするそのエントリの中に、
「『何でも鑑定団』 ではないが、ビンテージ的な価値を鑑定する権威のような人間がいてもいい」
というようなことを書いた。
その時点では自ら「妄想にすぎないアイディア」などと、実現性に関して冷めた見方をしていたものの、実際このような形で動き出していることを素直に喜びたい。
東京R不動産では以前から個別住宅もとりあつかっている。集合住宅もあわせて今のところ市場に出た物件だけがビンテージものとして紹介されるにとどまるが、住人が希望すればビンテージ的価値を鑑定してくれるような仕組みがあるといい。
ビンテージ品としていい鑑定が付くことで、それが市場価格に反映できるようになれば、古い家に住む住人がTVの「何でも鑑定団」よろしく「いっちょう、鑑定してもらおうか」という行動に出てくるかもしれない。築30年も過ぎた家に「資産価値はほぼ無い」とする、現代日本のあまりに乱暴な資産評価(関連エントリ→LINK1 LINK2)に変化をもたらす可能性も出てくる。
住人の売却する意思の有無はともかく、第三者に価値があると認定されただけで古い家の寿命を延ばす効果があると思う。
家の寿命を延ばすのは、ゴミを減らすエコの観点からも、文化を守る観点からも、丁寧な暮らしを促す観点からも大きな意味がある。
我が新居も、数十年後に古い家としての価値が生じるように使っていきたい。
政府・当局にしてみれば、耐震に関する基準が緩い時代の家を早期に建て直させたいという思惑はあるだろうが、将来200年住宅を目指すのであれば、古い家の価値を尊重する風潮を今のうちに醸成し始めておくべきだと思う。それがなければ、いくら頑丈な家を作っても「新しいもの好き」の論理に負けて本来の耐用年数に達するはるか前に乱暴に解体されることだろう。
「春秋」では、紹介されている物件について「不便な立地の物件もあるが、空き待ちは数百人を超すそうだ」とあった。ビンテージの価値が分かる人はちゃんと分かっている。この動きは応援したい。
イキオイでその他古い家に関連するエントリを列挙↓
いい古い家
住めば住むほど得する住宅
古い家の価値
家の寿命
1年あたり坪単価
共感――それぞれの「いい家」
施主が選ぶ建築賞、施主が望む建築賞
長持ちさせることがエコ
築年数検索で思ったこと
古い家の修飾語を検討してみる
「中古」と「Existing」
<余談>
古い家がしっかり評価されるようになると↓のような「お得な話」は残念ながら成り立たなくなる。
http://blog.goo.ne.jp/garaika/e/f016faf4e2d7a2efb70ca940653f6a08
もし将来にわたって古い家を評価する仕組みが出来上がらないのであれば、我が一族はこの「お得さ」をちゃっかり相伝して満足することにする(笑)。いずれにしろ子孫に損はない。
本日(9/21)付の日本経済新聞一面コラム「春秋」より
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20070920AS1K2000320092007.html
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「古いからダメ」ではなく、古さが良さにつながるのが「ビンテージ」品。ワインや楽器などの解説に使われる言葉だ。集合住宅にもビンテージ品があるのではないか。そんな問題意識から若手の建築家らがホームページを立ち上げた。
(後略)
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記事中紹介された"ホームページ"は↓
「ヴィンテージ・マンション・カタログ」
弊blogでも紹介したことがある「東京R不動産」の仕掛けだった。
以前私は、「ビンテージ住宅」というエントリを立てた(2006年2月)。
古い住宅の、古さによってもたらされる価値を評価するようにしたいとするそのエントリの中に、
「『何でも鑑定団』 ではないが、ビンテージ的な価値を鑑定する権威のような人間がいてもいい」
というようなことを書いた。
その時点では自ら「妄想にすぎないアイディア」などと、実現性に関して冷めた見方をしていたものの、実際このような形で動き出していることを素直に喜びたい。
東京R不動産では以前から個別住宅もとりあつかっている。集合住宅もあわせて今のところ市場に出た物件だけがビンテージものとして紹介されるにとどまるが、住人が希望すればビンテージ的価値を鑑定してくれるような仕組みがあるといい。
ビンテージ品としていい鑑定が付くことで、それが市場価格に反映できるようになれば、古い家に住む住人がTVの「何でも鑑定団」よろしく「いっちょう、鑑定してもらおうか」という行動に出てくるかもしれない。築30年も過ぎた家に「資産価値はほぼ無い」とする、現代日本のあまりに乱暴な資産評価(関連エントリ→LINK1 LINK2)に変化をもたらす可能性も出てくる。
住人の売却する意思の有無はともかく、第三者に価値があると認定されただけで古い家の寿命を延ばす効果があると思う。
家の寿命を延ばすのは、ゴミを減らすエコの観点からも、文化を守る観点からも、丁寧な暮らしを促す観点からも大きな意味がある。
我が新居も、数十年後に古い家としての価値が生じるように使っていきたい。
政府・当局にしてみれば、耐震に関する基準が緩い時代の家を早期に建て直させたいという思惑はあるだろうが、将来200年住宅を目指すのであれば、古い家の価値を尊重する風潮を今のうちに醸成し始めておくべきだと思う。それがなければ、いくら頑丈な家を作っても「新しいもの好き」の論理に負けて本来の耐用年数に達するはるか前に乱暴に解体されることだろう。
「春秋」では、紹介されている物件について「不便な立地の物件もあるが、空き待ちは数百人を超すそうだ」とあった。ビンテージの価値が分かる人はちゃんと分かっている。この動きは応援したい。
イキオイでその他古い家に関連するエントリを列挙↓
いい古い家
住めば住むほど得する住宅
古い家の価値
家の寿命
1年あたり坪単価
共感――それぞれの「いい家」
施主が選ぶ建築賞、施主が望む建築賞
長持ちさせることがエコ
築年数検索で思ったこと
古い家の修飾語を検討してみる
「中古」と「Existing」
<余談>
古い家がしっかり評価されるようになると↓のような「お得な話」は残念ながら成り立たなくなる。
http://blog.goo.ne.jp/garaika/e/f016faf4e2d7a2efb70ca940653f6a08
もし将来にわたって古い家を評価する仕組みが出来上がらないのであれば、我が一族はこの「お得さ」をちゃっかり相伝して満足することにする(笑)。いずれにしろ子孫に損はない。