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「世界に良い影響」日本トップ…BBC読売調査(読売新聞)>2012.5.11

2012年05月11日 | 過去記事

    



「世界に良い影響」日本トップ…BBC読売調査(読売新聞) - goo ニュース

<英BBC放送が読売新聞社などと22か国で共同実施した世論調査によると、日本が「世界に良い影響を与えている」という評価は58%で、「悪い影響を与えている」は21%だった。

 調査は、国際社会に影響を及ぼす16か国と欧州連合(EU)の評価を聞いたもので、「良い影響」は日本が最も高く、ドイツ56%、カナダ53%、英国51%などが続いた。

 日本が1位になったのは、ドイツと並んでトップだった2008年以来。約1年前の前回調査ではカナダ、EUと同率で3位だった。日本への評価をみると、中国と韓国を除く20か国で「良い影響」が「悪い影響」を上回っている。

 「良い影響」で前回1位のドイツが2位、EU48%(前回3位)が6位に後退したのは、欧州の財政・金融危機が影響したとみられる。中国50%は5位(同9位)に上昇した。「悪い影響」は、イラン55%、パキスタン51%、北朝鮮、イスラエル各50%などの順に高かった。調査は昨年12月から今年2月にかけて面接または電話方式で実施、計2万4090人から回答を得た。読売新聞社は日本国内分を担当した>





湾岸戦争のとき、ドイツのフランクフルト空港に米軍の傷病兵が運ばれた。しかし、フランクフルト周辺の病院、そこで働く看護師などは運び込むことを拒否した。戦争の協力はしない、連れてきても治療はしないと。サファリスーツを着た女性キャスターが、テレビで湾岸戦争のニュースを読むと苦情が殺到した。中身は「過去の戦争を思い起こさせるからダメだ」というものだった。負けた国同士、日本には理解できる奇行だが、そのドイツが「世界に良い影響を与えた国」として日本に次いで2位ということになっている。

日本は原発事故があっても「世界に良い影響を与えた国」のトップ。<中国と韓国を除く20か国で「良い影響」が「悪い影響」を上回っている>も毎度お馴染みなのだが、さて、これは手放しで喜んでいいのかどうか。

もちろん、ドイツはともかく、日本という国はずっと昔から、世界に良い影響しか与えていない。世界は日本の真似をすればよろしいだけだと、ちゃんと日本を知る外国人も理解している。日本は戦争に負けてまで東南アジア諸国の独立機運を創りあげた。白人は植民地支配を止めさせられたし、奴隷も止めることになって、ようやく、人権とは何か、を考えることも出来た。戦後も日本人の精神性や文化性は世界に良い影響を与えまくるわけだ。

それらはたしかに「良い影響」だった。日本人が誇るべき「良い影響」だった。世界の人々は実感としてそれらを認めている。支那朝鮮人であれ、国内で声を大にするわけにはいかぬとも、個人的にはこっそりと認めている。日本の文化に憧れ、日本の社会を羨望している。しかし、支那朝鮮と同じく、これが国家単位となれば話は別で、容易に認めるわけにはいかない。つまり、国際社会が日本やドイツを指して「良い影響を与えている」と判断する場合は注意を要する。

財政破綻したギリシャでは、ずいぶん前から「ナチスによるギリシャ侵略」がメディアで復活していた。ある意味では「タブー視」されていた「ドイツ叩き」が南欧全域で息を吹き返している。イタリアの新聞もユーロ危機とアウシュビッツを並べて「ドイツの傲慢さに気をつけよ」と警告、さらには「ドイツは単一通貨を兵器に変えた」と断じて批判した。

スイスのダボスで開催された「世界経済フォーラムの年次総会」でも国際通貨基金(IMF)のクリスティーヌ・ラガルド専務理事、米国のティム・ガイトナー財務長官、英国のデビッド・キャメロン首相が揃って「ユーロ危機における必要な費用はドイツが支払うべき」と主張した。ユーロ圏の存続、世界経済の救済の観点から「ドイツはもっと努力せよ」とやった。「良い影響を与えなさい」ということだ。

無論、ドイツは既に南欧諸国に相当な支援を行っているが、かつての戦勝国から未だに「もっと出せ」と言われている。負けた国同士、戦争に負けるというのはこういうことか、と納得しそうになるが、あの戦争以外、その過去を振り返れば、威張り腐った白人国家も負けに負けたはずだ。それでも半世紀以上を過ぎてまだ、タカられて我慢している国などない。「過去の清算」とか「戦争犯罪」などと絡まれ、やったこともやっていないことも黙過しながら、御無理ごもっとも、我が国は悪うございました、と言わされ続ける国などない。

ドイツは白人国家を裏切った、とされた。日本は白人国家に対して卑屈じゃなかった。どころか、美味しい植民地支配を終わらせた憎い有色人種、異教徒の生意気な黄色人種だ。だからどちらの国も未来永劫、絶対に許さない、と戦勝国側は決めた。それから半世紀以上、敗戦国は黙って耐えながら国家を復興させたが、戦勝国側は植民地がなくては食い詰めるほど無能だった。戦争するしか能がなかった。世界経済的にはお荷物になるほど、だ。

かつて「枢軸国」と呼ばれ、国家としての犯罪を行ったと断罪され、日本に至っては憲法も押し付けられ、アレはダメ、コレもダメと規制され、今でも現在進行形の侵略国から「侵略国」と非難される敗戦国ながら、日本もドイツも経済で他国を支援し、いま、共に「世界に良い影響を与える国」のワンツーフィニッシュとなる。

これほどの皮肉もあるまいが、先の戦争を考える上で非常に重要なポイントだ。





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