昭和建築学会


昭和の建築物や路上にあるオブジェなどを中心にご紹介します。

昭和建築学会 第14回 アートってなんだ!?

2013年12月10日 | 建築

わたしの住んでいるのは、

田舎の新興住宅街です。

 

以前から、気になっていた物件があります。

なんというか、田舎町の新興住宅街で、

トンがってるデザイン

の住宅があるのです。

 

しかも、1軒だけでなく、似たようなのが何軒か……。

 

そういうデザインが、

少し昔の流行だったのかはどうかはしりません。

建ったのは少なくともバブル以降のことだと思います。

 

いくつか写真をご覧いただきましょう。

 

 

 

光線の具合でこの建物はグレイかネイビーに見えるけど、

実際は真っ黒です。

書道で使う墨の色です。

 

材質もわたしの大好きな波形トタンではありません(笑)。

木でできています。

 

 

 

 

これは、かなり気を遣って水平にとった写真。

屋根の部分が左へと傾いていて、出入口のあたりの部分は垂直ではありません。

 

この建築物は波形トタンでできているわけではありませんが、

そのエスプリを十分吸収しているようなところがあるのでしょうか。

波形トタンマニアのわたしにはたまりませんなあ。

 

見た目、印象悪かったけど、つきあってみたらいい奴だった、

みたいな、中高生の体験記風の体験をわたしはしました(笑)。

 

ところで、屋根と出入口部分の傾斜の具合は微妙なものなので、

図で示したいと思います。

図のような傾斜がついてます。

 

 

 

 

 

 

出入口部分の写真です。

やっぱりここが玄関なのでしょうねえ。

 

ちょっと言いづらいですけど、

本来なら垂直と水平で構成されているべき部分が傾いてます。

 

 

 

 

全体の色は、こんな色です。本当に真っ黒。

 

 

どうしてトンがって見えたのかというと、

真っ黒で、窓らしきものがないということでしょうか。

 

それと玄関も日本家屋に比べれば、

本当に目立たないところについています。

 

建物の裏側に回ってみる前に、周囲を見ておきましょう。

 

 

 

 

右隣に建っている住宅です。

この黒い建物よりあとからできたものですが、

お隣さんのデザインを意識しているようです。

 

が、デザインとしてはスマートさに欠けます。

 

 

 

 

黒い建物の左隣は、

工務店風のぼろいコンクリート建築。

 

しゃれーた住宅の横がこんなぼろい建物……。

 

 

 

 

向かいは、

かつてはたばこもお酒も扱っていた小さな食料品店の跡。

 

階段が普通じゃないですね。

左半分が一段欠けています。

この左側のところには、

昔お酒の自販機があったのです。

 

こういう貧乏を見るとき、

しゃれた真っ黒のこの住宅は、

ずいぶんまわりを気にしていないように見えます。

悪くいえば、空気の読めない場違いなやつというか……。

 

さて、今回の物件の裏側へとまいりましょう。

 

 

 

 

わりとおとなしいデザインです。

 

ここで気がつきました。

表の方は西にあたり、

西日がきついんです。

 

だから、最初から意図して窓のない建物にしたのでしょう。

その分窓が東向きのこちらへ移住してきている……。

 

奇抜な窓を想像してましたが、やはり無駄のない四角い窓で、

普通のアルミサッシですね。

結露しているあたり、ちょっと貧乏くさささえ感じます。

 

ところでもう一つ気をつけて欲しいところが……、

 

手前が耕されたばかりの畑なのです。

 

このあたりは、新興住宅地でもともと田畑が多く、

今もなお田畑も残っています。

 

たとえば、田んぼの畦のある道を、

パンクスが歩いていたとしたら……、

誰でもどんびくし、

笑いをこらえられないでしょう。

 

そういう喩えが言えます。

 

 

 

 

右隣の家の裏側。ベランダあたりにがらくたが……。

しかも、干魚を干すネットまでぶら下がっています。

住人が釣り好きなんでしょうか?

 

ヨドコウの物置もありますね。

 

このあたり、 

しゃれた表とは裏腹に、

壊滅的なダメージを与えています。

 

結論を言うと、

一見、独特なデザインの住宅に見えても、

まわりの貧乏くささを変えねば、

その住宅は逆にすごく貧乏に見られてしまうのです。

TPOを考えないのは日本人の悪いところです。

 

鹿威のついた庭に、洗濯物を干して平気な顔でいる、

 

というような(うちのことです)、

致命的な貧乏から逃れられないのです。



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