紫陽花の花が咲くころに思い出すことがあります。
あれは、ヨーダが小学生の頃
紫陽花の花が咲く前か後くらいの季節だったような記憶があります。
その頃のヨーダ一家は、秘境と言われるほどの山の中の
小さな集落で暮していました。
なが~く続く庭に、その年初めて咲いた花は
花びらが薄い和紙のような
淡い赤色の綺麗な洋風の花でした。
茎の先ははU字型に曲がり重そうにつぼみが垂れ下がっていて
その茎がまっすぐになると綺麗に開花します。
隣近所(と言っても距離がありますが)のおばさんたちも
花好きの人が多く庭に綺麗な花を咲かせていましたが
ササユリや紫陽花や和風の花が多かったように思います。
前の年植えて咲くのを楽しみにしていた花好きの母に
今年は見たこともない花が咲くと何度も聞かされ
ワクワクしながら待っていました。
最初の開花は5~6輪、次々にたくさんの花が咲いた庭は
外国のおとぎ話の絵本のようでした。
近所の人や少し離れたところの人たちも
母が咲かせた花を見に来てくれて
母は得意そうに
自生しているのを見つけて種を持ち帰り植えたら
綺麗に咲いてくれた。
沢山咲いたから欲しい方には種をあげるつもり、と言うようなことを話していました。
それからしばらく後に村に一つだけある駐在所から
お巡りさんが来ました。
不安な気持ちで家族が見守る中
母は緊張のあまりしどろもどろで
花を見に来てくれた人たちにした話を
甲高い声(ふつうは低音)でオウムのように繰り返していました。
その後のお巡りさんの話を聞くと
母の自慢の花は『ケシ』という名前の花で
アヘンの原料なので法律で栽培は禁止されている。
少しだけなら注意勧告くらいで穏便にしたいが
これだけ大量に栽培してるし公然と知られているので
出頭してもらって事情を聞く必要があるが
初めてのことでもあるし始末書で。
ということになったようでした。
綺麗なケシの花畑は沢山のつぼみを残したまま
無残にも全部引き抜かれてしまいました。
焼却しなければいけないとのことで
山積みになったケシは畑で焼かれました。
母は役場、銀行の類が超苦手で
公的文章など書いたことがなかったと思います。
母は何度も『あ~あ~!気が狂いそう・・・』と独り言を言いながらも
始末書と格闘し書きあげ提出し一件落着となりました。
そんなことがあったせいか、ケシの花が咲き誇るあの美しい光景は
今も私の記憶に鮮やかです。
ケシの花園は記憶の中だけですが
母の好きな紫蘭の花もたくさん咲いていました。
コメントありがとうございます。
田舎ぐらしさんも植えられていたのですね。
ケシの花は綺麗ですよね。
今はホームセンターでたまに園芸用の栽培しても大丈夫なケシ(今はポピーと言うのかな)を見ますが、あの時のことがトラウマになっているのか見ただけでちょっとビビッてしまいます。(笑)
私も少し先には田舎で暮らすのが夢です。
私も田舎ぐらしを始めた頃、近くのお家の庭にある綺麗な花を貰って植えました
八重のケシでした
警察は来なかったけど、悪いんじゃないかな〜〜なんて言いながら〜
2年くらいでひとりでに枯れてしまいました
苗を貰ったお家のもいつのまにか消滅していました
確か、写真は残っているはず!
暖かいコメントありがとうございます。
母は今、弟夫婦と同居していますが、認知症で最近のことは忘れてしまう事が多いです。
昔のことはよく覚えていますので、母がうちに来た時に頂いたコメント読んであげたいと思います。
お母様はお可哀想でしたね。
お母様がお悪いのではなく、ケシの花でアヘンを作る人が悪いのですけれども…。