ーもう1つの火星会戦ー
宇宙戦艦ヤマト2202外伝
第二話
《バルゼー旗艦艦隊所属強行偵察隊ゴストーク級》
イメージ曲宇宙戦艦ヤマト『ガトランティス襲来』より。
座礁したのは見せかけであった。
ミランガルの艦隊が喰らいつくのを待っていたのだ。
※敵が喰らいついたところを亜空間に潜む強行偵察型次元潜航艦(隊)で不意討ちを喰らわせ、撃破又は殲滅する。
以前は、科学系の者だけを捕虜としたが、現在はそれを含み"能力の高い者"も捕虜にしている。
ミランガルで艦長を兼任するネレディアは、同行するガイペロン級バルグレーから空間艦上戦闘機DWG109 デバッケ隊を発艦、自艦ミランガルからはメルダ大尉率いる空間艦上攻撃機DMB87 スヌーカ隊を発艦させた。
勿論、エースであるメルダ大尉は真紅の愛機(ツヴァルケ)に搭乗している。
「大尉。進路上、距離七万前方にゴストーク級戦艦二隻(ふたせき)が展開している!」
「発艦後、充分に注意されたし!」
「ご武運を!」
「ラジャー!」
◆◆◆◆
一方、火星圏では・・・
地球、ガミラス双方共に全艦艇の出撃を完了させ、作戦開始の火蓋は切られた。
どうやらこの時、あの銀河はヤマトの所在を掴んでいたようだった。
開戦と共に、戦場は激戦区と変わり、運命を左右する一戦と成った。
力と数で押しきろうとするガトランティス。
対する地球とガミラス混成艦隊は、戦術と戦略で対抗する。
"銀河"を中心に先制攻撃を仕掛ける混成艦隊。
イメージ曲宇宙戦艦ヤマト2199より『帝都攻防』
「前衛カラクルム級、半数を壊滅した!」
「その後方からゴストーク級多数出現!」
「多数!?多数じゃ解らん。正確に伝えよ!」
「コスモレーダーがパンクするぐらいの数です!」
飛び交う交信は過激さを増す一方であった。
開戦当初こそ、節度ある交信であったが、膠着状態が続き、中には壊滅寸前の部隊も存在するほどの激戦。
上級士官が不在の部隊では、統制が崩れ、節度あるやり取りは崩壊した。
生き残る事で精一杯なのだ。
「俺たちに"帰る"場所あんのかよ。」
「知らねぇ~よ!」
「奴らガトランティスは死を恐れてないのか、退く事を知らねぇのか、前進、前進、また前進なんだよ!」
開戦から一時間が過ぎようとしていた。
地球防衛軍航空隊、二大隊(ふただいたい)が壊滅、左翼に展開するドレッド・ノート級艦隊も壊滅させられた。
ガトランティスの猛攻はさらに続いていた。
◆◆◆◆
ネレディア率いる"ヤマト捜索"艦隊は、たかが二隻の戦艦と高を括った事が仇と成っていた。
「バルグレー轟沈!」の慌ただしい声で告げられたネレディアは青ざめていた。
轟沈の様子からバルグレーの後部の損傷が激しかった。
「後方からの攻撃だと……。」ネレディアは心の中で粒やいた。
「レーダーオペレーター!後方に艦影は?」
「いえ、何も。」
「気がついたらバルグレーがやられていた……です。」
その時であったミランガルが左右に激しく揺れた。
床に投げ出されるミランガルのクルーたち。
同時に飛び込む右左舷艦底部損傷の報告。
さらに追い討ちを掛ける報告がネレディアの耳に飛び込む。
「此方、右舷艦底部!」
「ガトランティス兵が雪崩れ込んで来た!」
「繰り返す!此方………。」"ザザー"とその台詞を最後に砂嵐のような雑音に変わった。
同様に左舷艦底部からの交信も途絶えてしまう。
「クッ。」
「蛮族め、次元潜航艦までま有していたか……。」
「総員!白兵戦に備えよ!」
ネレディアは指示を飛ばすが、時既に遅しの状態であった。
ミランガルの艦底部には、四隻のガトランティス強行偵察型次元潜航艦が、腹部に喰らいつくかのように艦を固定、兵を内部に侵入させていたのだ。
ブリッジ制圧まで、さほど時間を必要としないであろう勢いであった。
ニードルスレイブ二体を先頭に、その後方からガトランティス兵と云う構図で、計四ヶ所から雪崩れ込まれていた。
容赦ない殺戮マシンに対抗するも、刺殺されてゆくミランガルのクルーたち。
何時しかミランガルのブリッジ内は射撃場と化していた。
右の二の腕を撃ち抜かれ、ネレディアは手にする銃を落としてしまう。
「もはやこれまでか……。」と諦めたネレディア。
両手を自身の頭の上に乗せ、覚悟を決めた。
だか、ニードルスレイブの動きが止まり、その後ろから指揮官らしきガトランティスの士官が姿を現した。
「女の指揮官か。」
「艦隊司令か。能力はそこそこに高いと判断する。」
「このガミラスの指揮官は拘束、大帝の"献上品"とする。」そう告げるとガトランティスの指揮官はネレディア以外を殺害、ネレディアを拘束、捕虜とした。
「貴様は我が大帝に献上する。」
「"献上品"に成れた事に感謝するんだな。」
そう云うとガトランティスの指揮官はネレディアの右の頬を軽く二度とほど叩いた。
「吊し上げておけ!」
「この艦(ふね)は囮に使う。」
「これ以上、壊すなよ。」
後ろ手に拘束されたネレディアを挟むように、ガトランティス兵が前後を固め、指揮官はニードルスレイブを従えるように歩き出し、ブリッジをあとにした。
第三話へ
つづく。
《バルゼー旗艦艦隊所属強行偵察隊旗艦:強襲型次元潜航艦レイピア》
※レイピア座乗の次元潜航艦のみ全長が約倍である。
ガミラスの科学奴隷に造られた試作艦。
全長:235m
全幅:74.6m
主機関
:ゲシュ=タム機関(通常空間航行時)
:ゲシュ=ヴァール機関(次元潜航時)
兵装
ゲシュ=ダールバム砲×1門
八連装速射輪胴砲×3基
亜空間魚雷発射管×8門
ハープーンアンカー発射機×1基
※先端内部は空洞で数名が乗り込める。
相手の艦艇に乗り込む為のアンカー(白兵戦専用)ハープーンと名付けられているのは、"捕鯨用"の銛が由来。
ガトランティスが"滅びの方舟"と成る以前は海が存在し、ラスコーやククルカンなどのように地球で云うマッコウクジラに似た海洋生物が存在した。
◆
《強行型次元潜航艦》
全長144 m
主機
ゲシュ=タム機関(通常空間航行時)
ゲシュ=ヴァール機関(次元潜航時)
武装
艦首亜空間魚雷発射管×6門
艦尾亜空間魚雷発射管×2門
99ミリ単装陽電子ビーム砲塔×1基(前甲板)
33ミリ連装レーザー機関砲×1基(セイル後方)
八連装輪胴速射砲×1基(艦首上面)
空間機雷敷設装置×5基(後部甲板)
◆
使用している画像はイメージです。
この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
一部、公式より引用。また、YouTubeよりイメージ曲引用…