ー白銀の巫女ー桂木透子ー
宇宙戦艦ヤマト2202外伝
第五話
佐渡艦医の助手、看護士としてヤマトに残留した私は早速、クルーたちを探る事にした。
ヤマトが目指すテレザート星まで、残すところ三分の一と成っていた。
この宙域には昔から"蛍"と呼ばれる宇宙バクテリアが存在する。
このバクテリアは人間に幻覚的なものを観せ、電子を好物とする生物。
このバクテリアたちもまた、子孫を残す為に、この宙域に発生しては彷徨ながら"餌"を探している。
何処で生まれ発生するのかは、未だに解明されてない。
私は、このバクテリアを利用して、クルーたちを探る事にしたの。
「どんな想いを観せてくれるのか楽しみだわ。」
◆
ちらほらと見え隠れする"宇宙蛍"。
艦(ふね)にある"隙間"から入り込んだのだろう。
見た目、完全に密閉させているけど、実は完全ではない。
"通風口"が必ず設けられている。
汚れた艦内の空気は、ろ過して再利用さてはいるのだけど、ろ過にも限界がある。
ろ過しきれない空気は排出され、それを補う為、宇宙空間に漂う酸素を取り入れ蓄え、ろ過し、艦内に供給しているヤマト。
点検の為に解放した格納庫のハッチから、このバクテリア=宇宙蛍は大量に艦内に入り込んだ。
特に想いが強い人、ストイックに追い込んだ人などに、この宇宙蛍の放つ副作用"幻覚"を体感する。
古代も雪も、斎藤ら空間騎兵隊も航空隊紅一点の山本 玲も、ヤマトのクルーの大半が体感した。
すぐに解けるかは、個人差によるわ。
個人差があるように、この幻覚はクルー全員が体感するとは限らない。
まだまだ、完全ではないけど、収穫はあったわ。
「うふふ。」
古代と隊長さん。
この二人にはと云うより、隊長さん。さには古代に対し、わだかまりがあるみたい。
一対一の決闘。
わだかまりを消すには、この方法が一番。
我々、ガトランティスでは当たり前のこと。
でも、残念。
レーダーに何かを捉えたみたい。
決闘はお預け。
「まぁ。いいわ。」
「あの人を墜とせば、結束は崩せるから。」
そうこうしている内に艦医の佐渡先生とアナライザーで"殺虫剤"を艦内に散布した事で、宇宙蛍=バクテリアは、駆除された。
もの一つ、収穫はあったわ。
クラウス・キーマン。
「何を仕掛けたのかしら。」私の問いにクラウスは無言。
私は関係ない。と一言だけ残して、私の前から去って行った。
「いずれ、貴方はヤマトを裏切る。」私には感じ取れた。
◆◆◆◆
ヤマトのレーダーに捉えたもの、それは、第十一番惑星から離脱したものと思われるカラクルム。
空間跳躍の座標を誤ったのか?本隊からはぐれたのか?
どちらにしても"漂流"したものには違いない。
第一艦橋内が慌ただしい。
「カラクルム級!ワープアウト!」
「既に臨戦体制!!」森 雪が告げてくる。
だが、ワープアウトしたカラクルムは、一向に撃ってくる様子は、伺えない。
それどころか、機関部辺りから無数の火花を散らしはじめた。
更に臨戦体制だったカラクルムの体制は、徐々に弱まって行った。
「第一級戦闘配置のまま、ロケットアンカー射出よーいッ!!」
「目標!カラクルム正面、司令塔付け根!」
「ロケットアンカー射出、準備ヨロシ!」砲雷長:南部が告げた。
間髪入れずに古代は、ロケットアンカーを射出、カラクルムの司令塔付け根に、めり込むように食い込んだ。
同じ頃・・・
ヤマトのいる宙域から遠く離れた宙域では、メーザー提督率いる第八機動艦隊の残存部隊が、大帝の命令を無視し、ヤマト追撃の行軍を続けていた。
ヤマト憎しに感情を駆られ、感情に支配された愚か者。
「粛清」せよ。との大帝の命令を受け、あの男が動き出していた。
「……なっ、何故だぁぁぁぁぁーッ!!」
断末魔の叫びが聴こえた……そんな気がした。
おそらく、粛清されたのだと、私は思った。
そして、驚く事に鹵獲したカラクルムのパイロットは、捕虜としたガミラス人だった。
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つづく。
使用している画像はイメージです。
一部、ネット内に出回っている拾い画像を使用しています。
この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
一部、公式より引用。