ー白銀の巫女ー桂木透子ー
宇宙戦艦ヤマト2202外伝
第八話
ヤマトのクルーたちは惑星テレザートを前に、ブリーフィングを行っていた。
テレサの待つ惑星テレザートを解放する。
その作戦が艦長代理:古代から立案された。
本来なら、イスカンダルからコスモリバースシステムを持ち帰った、英雄でもある彼は階級が特進しても良さそうなものなのだが、抜錨前に艦長権限で各セクションの長(ちょう)に昇級した者を更に二階級特進させる訳にも行かず、戦死者のみを特進させ、他の者、現状維持と成った。
ただし、階級は上がらないが、上級士官の不足から部隊長、チームリーダー、等の役職を与えられた。
まぁ。それでも不満を漏らす者も。
作戦が纏まったようだ。
ブリーフィングに参加している"彼ら"から情報は筒抜けである。
私が隊長さん。と呼んでいる斉藤ら空間騎兵隊の操る機動甲冑とワープブースターを装着したヤマトの艦載機コスモタイガーⅡを先発隊とし、近距離ワープにてガトランティスミサイル艦隊後方、テレザート星を封印する為に用意された巨大な岩盤後方にワープアウトさせ、奇襲を仕掛ける。
同時にヤマトも超近距離ワープで突入、ガトランティスミサイル艦隊を殲滅させる。というもの。
先発隊がワープイン。
作戦が開始された。
コスモタイガーブースターを母船に見立、機動甲冑なるパワードスーツを操る空間騎兵隊の機動力そして、奇襲攻撃は情報が筒抜けだった割には、ヤマト側が優勢に見えたが、大帝の使者として私が乗艦している事で、手加減しているようにも思えた。
自身が率いる艦隊の後衛が、喰い破られている中、自身が艦隊司令である事を告げて来たのだ。
「我が名はゴーランド!」
「ガトランティス銀河系方面軍テレザート星監視艦隊司令である!」
ゴーランド。
この男は武士道を重んじる性格の持ち主。
わざわざ、敵であるヤマトに、ヤマトのクルーに、自身を明かし戦闘を仕掛けるガトランティスでも珍しい男。
その昔、大帝も同じように自身を明かし後、闘いを仕掛けていた。
それを見ていたのであろう。
大帝を真似ているのかも知れない。
「全艦百八十度回頭!」
「艦首大型ミサイル発射せよ!!」
「我が艦は"破滅の矢"を放て!!」
ゴーランドの撃ち放った"破滅の矢"。
テレザート星から吸い上げたテレサの力の源。
反物質エネルギーを充填させた超大型ミサイル。
散弾銃の弾のように無数にエネルギー弾を散弾し、相手をぼろぼろにし、大破に追い込む。
また、宇宙気流のような気流を爆心地に発生させる。
入手したガトランティスでも、完全に解析出来ていない。
◆
「うふふ。」
「波動砲を使えない。」
「使えるのに使わない。」
「観念して、泣きをいれるのかしら?」
「そろそろ、助け船を出してあげましょうかね。」
「大帝に跪づき、私の股の下を潜る事に成るけど。」と。私は心の中で呟いた時であった、私が隊長さん。と呼ぶ空間騎兵隊の隊長:斉藤から、第一艦橋へ無線が飛び込む。
「土方のおやっさん!!」
「艦橋に居るんなら、古代の代わりに波動砲を撃ってくれ!!」と。
「……あら。そう。」私はそう思い、万が一にもテレサが解放された時を考え、次の一手を実行すると同時にヤマトを脱出しようと、策を練る。
ヤマトは、土方が波動砲を撃つ事なく古代がクルーに後押しされる形で、波動砲を発射、武士道を貫(らぬ)くゴーランド率いる艦隊を殲滅させた。
そのヤマトは百八十度回頭、テレザートへ降下した。
その間(かん)、テレザート星の周りを囲う岩盤帯は、古代と真田による破壊工作が行われていた。
テレザートに降下したヤマトは、ゴーランドの戦友ザバイバル機甲隊の待ち構える戦場へと、降り立つ。
ゴーランド艦隊戦に引続き、空間騎兵隊の機動甲冑隊が先攻した。
◆
私は運に見放されてはいないようだ。
次元の狭間で途絶した、ミルの精神波を僅かながら捉えた。
あの男、アベルトも此方(テレザート)に向かっていると確信した。
アベルトを利用し、私はガトランティスへ帰投する策を練り直した。
ザバイバル陸戦隊は、古くから先のゴーランド艦隊と、常に闘いを共にし、多大なる功績を大帝に献上して来た、歴戦の勇士。
今や、最新鋭の戦闘A.Iを搭載したフルオートの陸上重戦艦を数十両も有するまでに成った師団長。
ガトランティス兵らしく、肉弾戦に長けている猛将。
陸戦において、彼の右に出る者は居ないと云えるだろう。
やはり、ヤマトの陸戦隊、空間騎兵隊も苦戦を強いられているようだ。
戦場は泥沼化していた。
コスモタイガーブースターを操るヤマト航空隊の鶴見が負傷、かなりの重傷みたいだ。
他の空間騎兵隊隊員たちもまた、戦死者や負傷者が続出してた。
「くっ……。」
追い討ちを掛けるザバイバル隊。
ガミラスからの技術提供により、隊に導入した反射衛星砲を屈指、猛攻を仕掛ける。
が、しかし、ヤマトの放った波動砲の影響で衛星に支障を来たし、命中制度が悪化、ザバイバルは反射衛星砲の攻撃を断念した。
その代わり、空間騎兵隊への攻撃に衛星を使わずして、ビーム弾を直接、撃ち込んで来たのだ。
苦闘から死闘へと、シフトされてゆく中、斉藤は大将であるザバイバルを討ち取る為、単身、本隊であるザバイバル座乗陸上重戦艦に乗り込んだ。
斉藤の中では、死んでいった多くの部下、仲間の仇を晴らすべく、刺し違えてもと覚悟の乗り込みであった。
大将であるザバイバルとの肉弾戦による一騎討ち。
互いに格闘には自信を持っていた。
自動制御で荒野をゆく陸上重戦艦。
拳と拳の決闘は辛うじて斉藤に軍配が上がった・・・
終わってみれば虚しさだけが残っていた・・・
第九話へ
つづく。
使用している画像はイメージです。
一部、ネット内に出回っている拾い画像を使用しています。
この物語りは私設定が混ざった《宇宙戦艦ヤマト2202愛の戦士たち》の二次創作です。
一部、公式より引用。