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認知症治療と産業医としての活動、医療法人鶯友会 牧病院 理事長・院長  牧 徳彦

2021-09-05 12:27:36 | 連絡
牧 徳彦(まき なるひこ)1993 香川大学卒 愛媛大学医学部精神科入局 2000 愛媛大学大学院修了 愛媛大学医学部文部教官 2001 牧病院勤務 2004 同院長 2011 鶯友会理事長
■松山市医師会主任理事 松山精神科医会副会長 松山市教育委員会精神保健対策委員会委員長 松山市自殺対策委員会委員 松山市認知症SOSネットワーク会議副会長 愛媛県認知症施策推進会議委員 愛媛県労災委員 愛媛産業保健総合支援センター相談員   
原爆ドームから歩いておよそ10 分。「市内でも救急車の搬入台数は、民間の小病院としてはトップクラス」と種村理事長は話す。
 代々薩摩藩の藩医の家系で、先代理事長である父は鹿児島市出身です。父は徳島大学を出たので、私の名前に徳の字を入れたと聞いています。父と交流があった、徳島大学出身の先生とは今も親しい付き合いがあるんですよ。
 父は若いころ、四国でも有数の精神病院だった松山精神病院(現松山記念病院)に勤めており、その縁で松山市に来ました。そして私が小学生のころ、独立して当院を開業したのです。
 ここは市街から離れた不便な場所だと思われるかも知れませんが、癒しの場所としてとても良いところです。井戸水もおいしいし、周辺に住む人も温かい。父は開院の準備をする際、立地に関して周囲から反対をされたそうで、人集めなど苦労も多かったようですが、私は先見に感謝しています。春にはウグイスの鳴き声を楽しむことができるので、法人化した際、父が名前に鶯(うぐいす)の文字を入れました。東京から鳴き声を聴きに入院された方もいます。
 精神科は他の診療科とは違い、地元で受診することを嫌う患者さんも多く、マイカーでたくさんの方に来ていただいています。ここは松山、今治、北条地区の3つの圏域からちょうど良い程度に離れており、受診しやすいようです。年間300から400人の新患があります。ただ、この場所は職員を募集する時は今もネックですね。足りなくなることはありませんが、看護スタッフ集めは苦労したことがあります。
 私の代になってからは、認知症治療と産業医としての活動に力を入れ始めました。全国的に統合失調症の方は減っており、当院は特にベッドの回転率が高い状態です。精神保健福祉法の改正や診療報酬の改定があり、今年は頑張って各病棟にPSW(精神保健福祉士)を配置しました。
牧理事長自身、幼い頃精神科病院に怖い印象があり、それを払拭する意匠にこだわって新築した。窓の面積が大きく、室内が明るいのも特徴。裏の竹林に白壁が映える。
 田辺敬貴教授(故人)の指導の下、大学病院では高次脳機能障害を学びました。大学院での指導教官は、現在熊本大学の教授である池田学先生で、認知症の疫学研究を行なっています。県内で日本認知症学会の専門医をとったのは私が最初です。
 それで、今も認知症の方を紹介されることが増えています。以前は認知症の勉強会などに講師として呼ばれることも多く、地域の先生方に専門家として認知していただいているようです。
 平成24年に厚労省が「認知症施策推進5か年計画(オレンジプラン)」を公表した当初、精神科病院での入院は不適切だと書かれていました。後に削除されましたが、精神科医の取り組みが理解されていないということでしょう。
 精神科医に診せると薬漬けにされて退院できなくされるという、事実を誤認した大手マスコミの記事も何度か読んだことがあります。メディアが誤った知識を広めることによって受診が遅れ、少量の薬で治ったはずの人が重症化して来ます。精神科は怖いところではないので、早めの受診をお願いしたいですね。
 若年性認知症の患者さんは、高齢者向けのデイサービスを利用できません。地方都市では若年者向けサービスは充実していないので、力を入れてもらえるよう、市内の方々に呼びかけをしたいと考えています。
産業医として働くことは、精神科医としての自分の幅を広げるのにも寄与しています。若年期認知症を含めたメンタルヘルス障害に関して啓発を行なう機会が増えました。企業に入って活動をし、専従の産業医の先生方と意見交換をすると、現場のメンタルヘルスについて良く分かります。そしてそれが、一般の気分障害の患者さんを診療する時の手助けにもなります。企業から従業員を患者さんとして紹介されることも増えてきました。これからもストレス社会でしょうから、若い精神科医は、産業医の勉強をしておくべきだと思います。
 私は今、松山市医師会の保健部担当主任理事です。36歳の時に理事になり、他科の先生たちとの交流が増えました。医師をしていると、自分の専門領域以外の知識が必要になることもたびたびありますが、医師会で交流すると気軽に質問できるようになりますよ。私より若い先生たちにも、医師会の活動に積極的に参加してほしいと思っています。





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