<プレスリリース>
いわゆるごみ屋敷症候群は、一人暮らしの高齢者が、認知症が進行し身体機能が衰えてきたときに適切な支援が得られないことと深く関連する:10年間の追跡調査にて判明
〇発表内容の概要
2011年以来継続して、東京都の都市部で暮らす高齢者困難事例の研究を行ってきました。
高齢者困難事例が抱える困難事象は複雑ですが、そのなかで、
いわゆるごみ屋敷は視覚的にとらえやすく、社会からの注目も高い困難事象です。
ごみ屋敷についての医学的論文が最初に発表されたのは1966年です。以降、現在まで主に西洋の都市部からの研究報告が続いています。
ごみ屋敷についての医学的論文が最初に発表されたのは1966年です。以降、現在まで主に西洋の都市部からの研究報告が続いています。
ですが、どういう人の住まいが、
なぜ、高齢期になってから"ごみ屋敷"になってしまうのか、そのメカニズムはいまだわかっていません。
当研究チームは、これまで10年に蓄積したデータから、
当研究チームは、これまで10年に蓄積したデータから、
いわゆるごみ屋敷症候群(ディオゲネス症候群)の臨床的特徴と長期予後を明らかにすることを試みました。
この成果は、国際誌International Journal of Geriatric Psychiatryに掲載されました。
Ito K, Okamura T, Tsuda S, Awata S: Diogenes syndrome in a 10-year retrospective observational study: An elderly case series in Tokyo, International Journal of Geriatric Psychiatry. 2021.doi 10.1002/gps.5635
Ito K, Okamura T, Tsuda S, Awata S: Diogenes syndrome in a 10-year retrospective observational study: An elderly case series in Tokyo, International Journal of Geriatric Psychiatry. 2021.doi 10.1002/gps.5635
〇研究目的
本研究は、東京都市部のディオゲネス症候群の臨床的特徴と長期予後を明らかにし、本症候群に対する適切な支援方法を検討することを目的として行いました。
〇研究成果の概要
本研究は、高齢者困難事例270人について、Environmental Cleanliness and Clutter Scale (Halliday,2009, Snowdon, 2012)をもちいて住環境を評価し、ディオゲネス症候群60人と非ディオゲネス症候群210人の2群に分けて比較しました。
その結果、独居高齢者の認知症が進行し、身体機能が衰えたとき、適切な支援がなければ、誰もがディオゲネス症候群になる可能性があることが明らかになりました。
さらに、彼らの生命予後が不良であることは先行研究でも指摘されていましたが、とりわけ介入から1年以内の死亡率が高いことが明らかになりました。
さらに、彼らの生命予後が不良であることは先行研究でも指摘されていましたが、とりわけ介入から1年以内の死亡率が高いことが明らかになりました。
〇研究の意義
ディオゲネス症候群に対する支援はもっぱら住環境に焦点があてられる傾向にあります。ですが今回の研究から、彼らは身体的健康のリスクも高く、身体的健康に早期から十分に配慮した支援方針を考える必要があるということがわかりました。
(問い合わせ先)
東京都健康長寿医療センター研究所
福祉と生活ケア研究チーム
井藤 佳恵
電話 03-3964-3241内線4225
https://www.tmghig.jp/research/release/2021/1028.html
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