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日本トイレ研究所Japan Toilet Labo.
「トイレ」を通して社会をより良い方向へ変えていくことをコンセプトに活動しているNPOです。トイレから、環境、文化、教育、健康について考え、すべての人が安心しトイレを利用でき、共に暮らせる社会づくりを目指します。
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日本トイレ研究所ではトイレや排泄に関する勉強会を年に数回、開催しています。
今回は、下水道について、東京都下水道局 施設管理部 排水設備課 主任
今回は、下水道について、東京都下水道局 施設管理部 排水設備課 主任
星 陽平さんにお話いただいた内容を抜粋して紹介します。
みなさんはトイレで流した水がどこへ行くかご存じですか?
トイレの水を流すと目の前から消えてしまうので、あまり深く考えたことはないと思います。
トイレの汚水は「排水管」を通って、「汚水ます」や「公共汚水ます」を経由して「下水道管」へ流れ、「水再生センター」できれいに処理されたあと、海や川へと流れていきます。
トイレの水を流すと目の前から消えてしまうので、あまり深く考えたことはないと思います。
トイレの汚水は「排水管」を通って、「汚水ます」や「公共汚水ます」を経由して「下水道管」へ流れ、「水再生センター」できれいに処理されたあと、海や川へと流れていきます。
〇下水道がないとどうなる?
下水道がないと、公衆衛生が悪化し、悪臭や害虫が発生し、感染症の発生にもつながります。
明治時代には都市部に人口が集中した結果、井戸と共同便所やごみ溜めの距離が近い地域では、雨天時に井戸水に生活排水が浸透・混入し、この水を飲むことでコレラが蔓延しました。
また、生活排水が増えたことで地表に溢れて、蚊や蝿、悪臭が発生し、環境が悪化しました。
下水道の整備によって、生活環境が清潔に保たれ、大雨が降ったときも雨水を速やかに排除することで、浸水から街を守ることができます。
下水道の整備によって、生活環境が清潔に保たれ、大雨が降ったときも雨水を速やかに排除することで、浸水から街を守ることができます。
〇下水処理の仕組み
水再生センターでの下水処理は、次の図のように行われています。
左から、まず「沈砂池」で大きなごみや砂などを沈ませて取り除いた後、「第一沈殿池」で細かい汚れを時間をかけて沈めます。
次の「反応槽」では微生物が水に溶けた汚れを分解して泥に変え、
「第二沈殿池」で反応槽で固まった大きな泥の塊を沈めます。
最後に、「塩素接触槽」できれいになった処理水を塩素消毒して大腸菌などを殺菌してから、川や海へ流します。
〇下水道には2種類ある
下水道には「合流式下水道」と「分流式下水道」があり、それぞれ長所と短所があります。
「合流式下水道」は「汚水」と「雨水」を同一の管で排除する方式です。
「合流式下水道」は「汚水」と「雨水」を同一の管で排除する方式です。
「合流式下水道」の長所としては、1本の管で済むため、速やかな整備が可能であり維持管理もしやすくなります。
短所としては、台風などで大雨が降った時に一部の下水が海や川へ放流されるため、水質が悪化する原因になります。
「分流式下水道」は、「汚水」と「雨水」を別の管で流すため、汚水の放出がおこりません。
ただし、管を2本整備するため施工費が高額になり、埋設物が多い都市部では施工自体が難しいという短所があります。
東京23区の下水道は「合流式」が約8割、「分流式」が約2割です。
1960年代の公害問題によって下水道の整備が求められていたことに加え、同時期に東京オリンピック開催が予定されていたため、急ピッチで整備を進める必要があったことから合流式が多くなっています。
〇身の回りの排水設備
下の図は排水設備と公共下水道を示したものです。
図の中央が公私境界で、その右側は公道になります。
公道にある公共下水道は下水道局が管理しています。
図の左側は個人の財産であり、維持管理や修理に係る費用は、災害時も含めて、個人の負担となります。
「排水管」は家庭の排水や敷地内に降った雨を公共下水道に流すための管で、地中や建物の中に埋められていたり、壁に沿って設置されています。
「汚水ます」は汚水や生活排水を流す排水管同士を接続し、管内の清掃・調査
等の維持管理を行うために設置されています。
地上からみたとき「おすい」という表示があるのが汚水ますです。
地上からみたとき「おすい」という表示があるのが汚水ますです。
内部にインバートという溝があるため、トイレットペーパーなどの固形物が詰まらないようになっています。
〇排水設備Q&A
Q. キッチンから油を流しても大丈夫?
A. 下水道に油を流さないでください
キッチンから流れた油は下水道管に入って冷えて固まり、大雨が降った時にはがれて川や海に流れ出すことがあります。
フライパン・鍋・食器等についた油汚れは、洗う前に不要な布や新聞紙などでふき取ってください。
油の処理には多くのエネルギーが必要です。
フライパン・鍋・食器等についた油汚れは、洗う前に不要な布や新聞紙などでふき取ってください。
油の処理には多くのエネルギーが必要です。
水再生センターで処理するとき、スプーン1杯の油を、魚が生息できるくらいきれいな水にするには、浴槽10杯分の水が必要です。
Q. 熱湯をそのまま流しても大丈夫?
A. 排水管は、熱にあまり強くありません。冷まして流しましょう。
家庭の排水管に主に使われている硬質塩化ビニル管は熱にあまり強くありません。
60℃以上の熱湯を流した場合、排水管の変形や、排水管の接続部分に使われている接着剤が溶けて、水漏れや詰まりが発生する可能性があります。
目安はメーカーが推奨する45℃以下です。
60℃以上の熱湯を流した場合、排水管の変形や、排水管の接続部分に使われている接着剤が溶けて、水漏れや詰まりが発生する可能性があります。
目安はメーカーが推奨する45℃以下です。
Q. トイレに流せるもの、流せないものについて知りたい
A. トイレットペーパー以外の製品はトイレに流せません!
紙おむつやおしりふき、ティッシュ、「トイレに流せる」と謳っている製品(例:トイレクリーナー)など、トイレットペーパー以外の水に溶けにくいものをトイレに流すとご家庭の排水管や下水道管などを詰まらせる原因となります。
Q. トイレが詰まった。どうしたらいいの?
A. ラバーカップを使ってみましょう。
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つまりが解消されない場合、賃貸住宅にお住いの方はまずは管理会社へ連絡し、排水設備指定工事事業者へ相談をお願いします。(点検・修理・清掃は有償)
契約や支払いでお困りの時は「消費者ホットライン(局番なし188)」へご連絡ください。
契約や支払いでお困りの時は「消費者ホットライン(局番なし188)」へご連絡ください。
Q. 節水するのにトイレタンクにビンやペットボトルを入れてもいいの?
A. 排水管が詰まる原因となります。
ビンやペットボトルをトイレタンクに入れないで下さい。
トイレは、下水道管に汚物を運ぶために必要な水量が器具ごとに設計されています。
水量を減らすことにより、排水管が詰まって、清掃の費用などがかかることがあります。
Q. 下水道局と関係あると名乗る業者が、設備の点検や修理などの勧誘にきたけど、大丈夫?
A. 悪質業者にご注意を!
訪問業者が言葉たくみに、下水道局との関係をにおわせ、宅地内排水設備(下水排水管・ます等)の点検・清掃・修理などを勧誘し、断ると威圧したり、恐喝まがいの言葉で契約を強要するなどのトラブルが多発しています。
下水道局や当局が委託している業者では、お客様宅地内の「点検・清掃・修理」などを有償で行うことはありません。
下水道局や当局が委託している業者では、お客様宅地内の「点検・清掃・修理」などを有償で行うことはありません。
またトイレが詰まって慌ててインターネットで修理業者を検索し、上位に出てきたサイトで依頼をした結果、高額な料金を請求されるトラブルが増えています。
東京都下水道局では、東京23区内で修繕対応ができる登録事業者の一覧を下記サイトで公開しています。
東京都下水道局では、東京23区内で修繕対応ができる登録事業者の一覧を下記サイトで公開しています。
https://www.gesui.metro.tokyo.lg.jp/living/a4/list/current/
排水設備Q&Aについてさらに詳しく知りたい方は下記をご覧ください。
「下水道なんでもガイド」
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