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「東京メトロがロンドン市営地下鉄の運営を落札」を英国の識者が検証#2024.12.20#セーラ・パーソンズ#翻訳=坂口オスウェル大芽#編集=石井節子

2025-01-01 15:03:08 | 連絡
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Forbes JAPAN 編集部
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英ロンドンの空の玄関口であるヒースロー空港に乗り入れた新しい鉄道路線「エリザベス線」の運行に、2025年5月から東京メトロが携わることになった。
 世界でもサービスの質の高さで知られる日本の鉄道会社が、
イギリスの鉄道システムにどのような影響を及ぼすのか、
イギリス現地で注目が集まっている。



また、
東京メトロにとって初めてとなる海外事業となる今回の共同事業の先行きには日本国内でも期待が高まっている。
 以下は英国からの視点での、この共同事業の発表についてのセーラ・パーソンズ氏の寄稿である。
パーソンズ氏は日本に詳しい英国人として英国CNBCニュースにインタビューされ、そのコメントは英有力紙「The Times」にも引用された。
彼女は日本に進出を考える英国企業へのコンサルティングを行う「イーストウエスト・インターフェイス」マネージング・ディレクターで、
在英国日本大使館主催の「英国ジェットプログラム(語学指導等を行う外国青年招致事業)同窓会」英国の元会長でもある。
 
■東京メトロは99%が予定時刻から5分以内に到着エリザベス線は87.4%
日本の「東京メトロ」が、2025年5月からのロンドン地下鉄エリザベス線*1 の運営を落札した事業会社、
GTS Rail Operations Limitedとの共同事業に参画する *2 という最近の発表を受け、
英国の鉄道利用者は期待を膨らませている。
ロンドン交通局によると、予定到着時刻の5分以内に目的地に到着しているエリザベス線の列車は87.4%。
一方、同じく予定時刻から5分以内に到着している東京メトロは99%だ(2022年の運行状況から)。 
エリザベス線の利用者が、日本の鉄道システムの信頼性と定時性が英国でも実現することを期待するのももっともだ。 
エリザベス線は英国で最も利用者の多い路線だが、
信頼性と定時性にかかわる問題に悩まされ、
公共パフォーマンス評価(PPM)では利用者から平均を下回る評価をされている。
2024年2月までの1年間で、エリザベス線は、架線の不具合のため、トイレや電源もない状況下、数千人の乗客を数時間にわたって列車の中に閉じ込めてしまう事態にも陥っている。
2023年11月には、破損レールが「8日間で4本」見つかったこともあった。 
こういった問題は、エリザベス線がたんなる一(いち)地下鉄道にとどまらない、
経年劣化に悩む英国の鉄道システム全体につながるセグメントであるという事実にも根付いている。 
41駅、総距離100kmを走行しつつ「3つの信号システムと通信
この路線に複数存在する信号システムも難題のひとつだ。
エリザベス線の路線には41駅があり、総距離は100km以上に及ぶ。
この路線を走る電車の車載ソフトウェアは、路線全体を通して3つの異なる信号システムと通信する必要がある。
また、エリザベス線はいずれ西ロンドンにある新しい交通スーパーハブ、オールド・オーク・コモン駅に停車し、2030年代に完成予定の高速鉄道HS2と結ばれる予定でもある 。
この共同事業に英国最大の鉄道運行会社の一つを所有する英国鉄道業界の大手、ゴー・アヘッド・グループも参画していることは、運営上の課題軽減へのメリットに違いない。
だがこの新たな共同事業は、運営上の問題とは領域を異にする以下2つの課題も負っている。
1)国際的な共同ベンチャーでは、プロジェクトの意思決定やコミュニケーションに携わる人々の間でのコミュニケーション問題がつきまとうが、東京メトロが海外で鉄道路線の運営に直接関わるのが今回初めてであることや、ゴー・アヘッド・グループが日本でプロジェクトを行ったことがないことを考えれば、今回も例外ではないだろう。
 2)また、ステークホルダーや世論の管理も最重要課題となる。
まず英国の鉄道インフラを管理するネットワーク・レール社との関係は難航するだろう。
また、列車ストライキの問題や、
英国における列車の信頼性や
コスト上昇に関する世論も風評問題を引き起こす可能性がある。
日本の企業はこのような多様な問題に必ずしも十分な注意を払っておらず、
いずれその反動の対処に追われ、大きな衝撃を被る可能性がある。
文=セーラ・パーソンズ 
セーラ・パーソンズ(Sarah Parsons)◎英国のリンカンシャーに拠点を置くイーストウエスト・インターフェイスのマネージング・ディレクター、在英国日本大使館主催「英国ジェットプログラム(語学指導等を行う外国青年招致事業)同窓会」英国元会長。
企業の異文化コミュニケーションと戦略をサポートしている。
多くの大手日系企業や在英日本人エグゼクティブとのビジネスのほか、英国企業と提携したい日本企業へのコンサルティングも行なってきた。
また、英国広報協会(Chartered Institute of Public Relations)のアソシエイトでもあり、SOAS、シェフィールド大学、ウォーリック大学、クランフィールド大学などで日本ビジネス、異文化コミュニケーション、国際人事管理、労使関係について講義を行っている。

翻訳=坂口オスウェル大芽 編集=石井節子







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