By - NEWS ONLINE 編集部 公開:2023-05-11 更新:2023-05-11
学習院大学特別客員教授で元駐インドネシア大使の石井正文
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石井 正文(いしい まさふみ、1957年11月3日[1] - 66歳)は、日本の外交官。2013年(平成25年)から外務省国際法局長、2014年(平成26年)から駐ベルギー特命全権大使、2017年(平成29年)から駐インドネシア特命全権大使を務めた。
- 2017年(平成29年)3月3日 駐インドネシア特命全権大使[5]
- 2020年 (令和2年) 10月 退任
- 2021年 (令和3年) 1月 退任[6]
- 2021年 (令和3年) 3月 丸紅顧問[6]
- 2021年 (令和3年) 4月 学習院大学法学部法学科特別客員教授[7]、りそな総合研究所顧問[8]
- 2021年 (令和3年) 6月 日工株式会社 社外取締役[9]
- https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%B3%E4%BA%95%E6%AD%A3%E6%96%87
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が5月11日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。
インドネシアと中国、ロシアとの関係について解説した。
〇複雑なインドネシアと中国の関係 ~国内では嫌われている中華系の人々
飯田)インドネシアと中国の関係において、対中国の問題は国内問題だという話ですが、どういうことでしょうか?
石井)インドネシアには750万人くらいの中華系の人々がいます。
世界最大の中華人口です。
飯田)世界最大の。
石井)彼らは、だいたいがお金持ちです。
飯田)華僑と呼ばれる人たちでしょうか?
石井)そうです。
歴史的な背景はあるのですが、彼らはインドネシアでは、みんなから嫌われている感じがあるのです。
暴動などが起きると、残念ですが殺されてしまったり、焼き討ちが起こったりするのは中華系の人々のエリアです。
〇2019年にできるはずだった中国製の新幹線も未完成 ~一方で中国は最大の貿易国
石井)そういったこともあり、政府としても、中国にあまりにも近い感じになると、国内で若干、嫌な感じがしてくるわけです。
インドネシアが中国の新幹線を採用しましたが、実はうまくいっておらず、いまだに完成していません。
飯田)まだできていない。
石井)本当は2019年にできる予定でしたが、未だに終わっていません。
そういう意味でも、常に中国が成功するわけではないという問題があります。失敗もかなりあります。
加えてここ数年、中国はやり過ぎた感じがある。
世界全体としてもそうだと思いますが、インドネシアの北の方の島辺りに出てきたり、また、インドとは国境で死者が出るような紛争をしています。
中国はインドとインドネシアという重要な国に対し、圧力を掛けてしまったので、国内でも中国に対する脅威感がとても上がってきたのではないでしょうか。
〇本当の危機の際にはインドネシアは日本やアメリカを頼ってくる
石井)そんなことも合わせて、インドネシアは中国との関係の舵取りが難しいと思います。最大の貿易相手国ですから。
飯田)まったく付き合わないわけにもいかないのですね。
石井)もちろんそうです。しかし、本当の危機になったときにどうするかと言うと、彼らは日本やアメリカを頼ってくるのではないかと思います。
〇ロシアとの関係を外せられないインドとインドネシア ~インドを利用して中露関係を離れさせる可能性も
飯田)日本は、アメリカや中国と向き合いつつ、インドやインドネシアとつながっていくわけですが、ウクライナ情勢をみると、日本としては当然ながらウクライナを支援する形を取っています。
対してインドやインドネシアのスタンスが定まらず、どちらなのだろうという感じがありますが、いかがでしょうか?
石井)彼らは我々と違う独自のスタンスを取っています。
今回はそれで仕方ないと思いますが、将来、同じような問題がどこかで起こったときに、どれだけこちらに近いスタンスを取ってもらえるかが重要です。
そういった意味では今回、なぜこうなってしまったのか、よく調べる必要があると思います。
飯田)ロシアとの間の利害関係などが影響するのでしょうか?
石井)あるでしょうね。端的に言うと、例えばインドは中国との国境紛争があります。
国境紛争が起こったときに、ロシアが中国を支援してしまったら困るわけです。
武器などの問題以上に、戦略的考慮が大きいと思います。
だからロシアを外せない。それ自体が日本にとってとても悪いことかと言うと、そうではないかも知れません。
インドが動くことで、中国とロシアの間が離れるように持っていける可能性もあるわけです。
石井)そういう意味では、全体を見ながら考えることが大切だと思います。
〇それぞれ事情の違う東南アジアの国々 ~それぞれに合わせたきめ細かい外交が必要
飯田)日本は、アメリカのように「民主主義を突きつける」というスタンスとは少し違った形の外交ができるかも知れないし、やらなければならないのですね。
石井)そうですね。
東南アジアの国はそれぞれ状況が違うので、それに応じてテーラーメイドに、違った協力を行う。日本がいままでやってきた方法ですけれど、今後、それがますます重要になると思います。
飯田)テーラーメイドに、違った協力を。
石井)「グローバルサウス」と十把一絡げに言うのは簡単ですが、本
質は1つひとつ別の対応をしなくてはいけないということです。
飯田)いかにきめ細かいメッセージをG7サミットで出せるかというところでしょうか?
石井)G7では難しいかも知れませんが、G7を受けて、またそのような外交をしていく必要が出てくると思います。
〇中国と対峙するためにも日本はウクライナ情勢にしっかりと対応しなければならない
飯田)ウクライナ情勢ですが、西側諸国としては一致団結することが重要になってくると思います。
ヨーロッパ側はいかがでしょうか?
石井)このような国際法の蹂躙を許してはいけません。
彼らはきっちり対応するしかないでしょうし、日本としても中国が見ているわけですから、ここできちんと対応する必要があると思います。
飯田)フワフワした対応を行うと、中国からすれば「与しやすいぞ」と思われてしまうのですね。
石井)「同じようなことをしてもいいのかな」という考えになりますし、アメリカの権威に対する挑戦でもありますので、日本の同盟相手国がそのように貶められることは、よくないわけです。
そういう意味でも、日本はきっちり対応しなければなりませんし、G7でもそうだと思います。
〇岸田総理のキーウ訪問は大きな意味を持つ
飯田)岸田総理は3月にキーウを訪問しましたが、あの意味は大きいでしょうか?
石井)大きいです。現地を自分で見られましたし、タイミング的にも、たまたま中国の習近平国家主席のロシア訪問と裏腹になりました。
そういった意味では、よかったのではないでしょうか。
飯田)そういうこともあって、『TIME』の表紙を飾ったのでしょうか?
石井)そうでしょうね。頑張っておられると思います。
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