●大量に汗をかいて水ばかり飲むと、血液中のナトリウム濃度が薄まり、低ナトリウム状態に。脳が感知して濃度を上げようと、血液中から水分だけを尿で排出する。血管内が脱水し、濃縮した“ドロドロ血”に。これが生理的脱水と呼ばれ、熱中症だけでなく、脳梗塞(こうそく)や心筋梗塞などにもなりやすくなる。
〇佐藤さんはスポーツをするときや猛暑で大量に汗をかくときには、水分と塩分・糖分を一緒に取れるスポーツドリンクをすすめるとともに、「失われやすいミネラルを食事からしっかりと取っておくのも大切」と説く。
日々の食生活にみそ汁や漬物など、比較的塩分の多い食べ物を取り入れる。朝、昼より夕食後に尿からの塩分排泄(はいせつ)量が増加することや、寝ている間の発汗も含めて、夕食時に多めに取るとよいという。
医学博士で管理栄養士の本多京子さんは、ミネラル補給に最適な食材として「海藻」を挙げる。
「海藻は海の野菜といわれます。海は地上にある自然のミネラルが雨で流れて集まった『ミネラルの宝庫』です」
海藻を使ったこの時季おすすめのメニューが、水分とミネラルを同時に取れる「くずし豆腐と塩昆布の冷や汁」だ。豆腐にミョウガなどの薬味、塩昆布をのせて冷水や冷茶を注げば出来上がり。火を使わずに簡単に作れ、食欲のない朝でもするすると食べられる。
「塩分とうまみがある塩昆布は、ご飯のお供だけでなく、ミネラルたっぷりのうまみ調味料としても料理に活用できて便利です」
汗をかいた後は、コップ1杯の氷水に塩昆布をひとつまみ加え、“即席すまし汁”にして飲むのもおすすめとか。
作り置きができる「ヒジキとパプリカの和風マリネ」は穏やかな酸味で、ご飯にもパンにも合う。
猛暑では食欲が減退しがちだが、本多さんは「朝ご飯を食べることが大事です。就寝中に汗をかいて、何も食べずに家を飛び出すのは水分不足の第一歩」と指摘する。
「おいしく塩分と栄養を補うのが暑い夏を元気に過ごすコツです」
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