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安倍元首相暗殺事件、再発防止策ですっぽり抜け落ちていること 危機管理に英雄は不要、日本版FBIの創設を速やかに検討せよ2022.7.19織田 邦男

2022-07-19 17:23:40 | 連絡
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織田 邦男のプロフィール
元・空将
1974年、防衛大学校卒業、航空自衛隊入隊、F4戦闘機パイロットなどを経て83年、米国の空軍大学へ留学。90年、第301飛行隊長、92年米スタンフォード大学客員研究員、99年第6航空団司令などを経て、2005年空将、2006年航空支援集団司令官(イラク派遣航空部指揮官)、2009年に航空自衛隊退職。
2015年東洋学園大学客員教授、2022年麗澤大学特別教授。
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安倍晋三元総理が参議院選挙の遊説中、凶弾に倒れた。
日本だけでなく、世界にとっても大きな損失である。海外から悼む声が相次いだことでもその偉大さが分かる。
 事件は白昼堂々、衆人環視の中で発生し、戦後初めて総理大臣経験者が殺害されるという最悪の事態となった。
 事件の動画はSNSを通じて世界中に拡散し、日本は世界で最も安全な国という神話は一挙に崩れ去った。
 警備体制の不備が問われ、 警察庁は7月12日、警備上の問題点を洗い出す検証チームを設置した。
8月中にも結果を取りまとめ、要人警護の在り方について、抜本的な見直しを検討するという。
 検証項目としては、警護員数および配置、警視庁警護員(SP)と奈良県警との連携、交通規制、SPの警護動作などがあるようだ。
 じっくり検証してもらいたいと思う。だが、危機管理の観点からみると、大事な観点が抜けている。
 危機管理について「危機を未然に防止するものは、決して英雄になれない」という言葉がある。
 危機管理の目標はあくまで「未然防止」であり、「英雄」はいらない。
 今回、もし2発目が撃たれる前にSPが安倍氏に覆いかぶさって、事なきを得ていたら、SPは「英雄」になっていただろう。
だが、それは危機管理の観点からは「次善」なのだ。
 あくまで不審者が安倍氏に接近する前に、取り押さえる。
事前に職務質問して、バッグを開けさせ、所持品の中から武器を発見して殺害計画を未然に防ぐ。
 さらに言えば、自宅で手製の銃や爆弾を製造している段階で摘発する。
そうすれば何事もなく演説も終了し、変わらぬ日常が続いていたはずだ。
 これが「最善」の危機管理である。そこに「英雄」はいない。
警備体制の不備を検証することは、もちろん重要である。だが、なぜ未然防止ができなかったのか。この徹底検証がなければ画竜点睛を欠く。
 今回の事件は、20年間にわたって宗教組織、および元総理という重要人物をつけ狙ってきた悪質なテロ行為であった。
 しかも長年にわたり手製の爆弾や銃を自宅で製作し、試射も繰り返していたという。
 にもかかわらず、犯行が実行されるまで警察は何ら情報を掴んでいなかった。
 ここに日本における治安維持組織の根本的な欠陥がある。なぜ警察はこのような情報を把握できなかったのか。
諸外国には、警察組織とは別に、国内の治安維持に関する情報を一手に担い、テロやスパイなどの捜査を担当している組織がある。 
米国にはFBI(連邦捜査局:Federal Bureau of Investigation)があり、英国にはSS (保安局:Security Service、別名MI5(Military Intelligence Section 5)がある。
 日本にはこういった全国を守備範囲とし、実力部隊を有する治安組織はない。
 警察は実力組織だが、都道府県で分割された縦割り組織である。警察庁は全国を対象にするが、実力部隊を持たない。
縦割り組織は当然、風通しは悪く、情報の共有がなかなか難しい。
しかも情報収集は、個人情報保護という壁に妨げられて容易でない。
 犯罪の未然防止のための通信傍受も法的根拠はあるものの、制約が多すぎて軽易にはできない。
 通信傍受は組織的な殺人、集団密航、薬物や銃器関連犯罪などの組織的な犯罪に限り、限定的に実施できるが、裁判官が発する傍受令状を要する。
 最近は人間関係も疎遠になり、近所付き合いもなく、「隣は何をする人ぞ」というのが常態である。
今回も犯人の自宅周辺住民で、犯人の人となりを知っている人はいなかった。まして自宅で銃や爆弾を製造していたことに誰も気が付いていなかったようだ。
 現状では、警察が今回のような犯人情報を事前に掴むことは、極めて難しい。
 危機を未然に防止するために、最も重要なことは、情報を入手し、先手を打つことだ。だが現在の警察では情報の入手自体が難しい。
こういう事情にメスを入れず、警備体制の不備だけを是正するだけでいいわけはない。
 警護員やSPなど現場の人の能力に依存するだけでは、今回のような事案はやがてまた繰り返されることになるだろう。
 爆弾テロのようなもっと深刻な大惨事が起こった後では取り返しがつかない。
 やはり今後の日本において、強い捜査権限を有するFBIやSSのような組織は必要だろう。



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