2020年11月2日 16:00 発信地:中国 [ 中国 中国・台湾 ]
【11月2日 People’s Daily】中国の気象衛星「風雲(FengYun)」は、「中国の知られざる国際貢献の一つ」と言える。さまざまな気象データや自然災害の状況を正確に把握し、世界各国に提供することで、宇宙空間から地球環境を見守り続けている。
中国は1988年に最初の気象衛星「風雲1号A」を打ち上げて以来、これまでに1~4号衛星を17基打ち上げ、現在は7基が軌道上で運行している。台風、暴雨、濃霧、強風、スモッグなどの気象災害、そして洪水、森林火災、高温、干ばつなどの地表災害の観測を続け、その水準は世界最先端に達している。
「風雲」プロジェクト副総責任者の唐世浩(Tang Shihao)氏は「台風の観測において、『風雲』は唯一無二の役割を発揮している」と強調する。静止気象衛星「風雲2号」は運行開始から今年8月まで、西太平洋で発生した566個の台風と、そのうち中国に上陸した156個の台風の動きを漏らさず観測してきた。2号の後継機「風雲4号」は、台風や暴雨など観測精度を高め、24時間単位の台風ルート予報の平均誤差を95キロから71キロに縮めた。
また、「風雲」は地球環境全体を観測し、持続的発展に貢献している。ヒートアイランド現象や河川氾濫、大規模火災などの自然災害の観測から、生態系の総合評価やレッドラインの環境分析まで多方面の役割を発揮している。
同時に「風雲」は、中国の巨大経済圏構想「一帯一路(Belt and Road)」を後押ししている。2018年6月、習近平(Xi Jinping)国家主席は上海協力機構青島サミットで、「中国は『風雲』の気象データを各国に提供していく」と表明。現在、115か国・地域に気象データを提供しており、29か国が気象衛星国際ユーザー防災減災緊急保障メカニズムに加盟している。
「風雲」のデータは、海洋、農業、林業、環境保護、水利、交通、航空、電力などの産業に広く応用されている。中国気象局の劉雅鳴(Liu Yaming)局長は「国連の専門機関・世界気象機関(WMO)で『風雲』は国際憲章当直衛星の役目を担い、世界に気象観測サービスを提供している。中国気象局はWMOから世界の気象センターの一つとして認められており、『風雲』の功績は大きい」と話す。
WMOのペッテリ・ターラス(Petteri Taalas)事務局長は「世界的に気象データの共有と蓄積を推進するプロジェクトにおいて、『風雲』は長年にわたり貢献してきた。特にアフリカなど発展途上国の観測能力向上に大いに役立ち、人類運命共同体の重要な基礎インフラとなっている」と称賛している。
中国の技術分野の最高研究機関・中国工程院の研究者で、風雲2号衛星ネットワークの総責任者だった許建民(Xu jianmin)氏は「『風雲』は今後も世界の防災・減災に役立つ見張り役となり、エコロジー文明を建設する支えとして活躍する」と抱負を語っている。(c)People's Daily/AFPBB News
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