Max爺のひとり言

のこり少ない日々の記録
~でもまあ いろんなことをやってきたなあ~

4エレループ八木を3mの高さに揚げたい

2022年03月15日 | アマチュア無線

自作の433MHz用の4エレループ八木アンテナは、グローバルアンテナ研究会のGH-4を模して作ったものだが、基本はトランシーバに直付けで使うように作られている。 実によくできたアンテナだ。 指向性が高く、飛びも良い。 QRM(混信)が少なくなる。

直付けでの運用では、江戸川の土手に上ったとしてもアンテナ高度は地上5~6mにしかならない。 それでも200Kmくらい先の山上との交信は出来ている。

土手から更に3m上に揚げれば、見通し距離は更に伸びるのではないか、と3mの釣り竿に取り付けて上に揚げようと考えた。 地上高8~9mHになる。 給電点にこんな工作をしてみた。 直付けとの二刀流である。

これで実際に交信してみたが、直付けで殆ど59だったRSが51とか53とかで帰ってくる。 こりゃ何かがおかしい???と調査を開始したわけである。

まず、自宅の庭で3mの釣竿の先に取り付けてnanoVNAで測定してみた。

VSWRは、1.99~2.2くらい。 波形は波打っている。 スミスチャートではSWR=2の当たりで円を描いている。 実際のQSOでRSが51とか53とかいうのは何となく分かった気がした。 

給電点を手で触ってみると1.5くらいに下がるので、ここをショートしてみたらどうだろう・・・的な感じを持った。

給電点にΦ1㎜の銅線を、直径6㎜の棒に5回巻きくらいしたものを取り付けてみたりして、VSWRが下がらないか試行錯誤を続ける;

いろいろやみくもにやってみたが埒があかない・・・

う~む・・・結局どうしてよいのかよう分らん。

そこで、いろいろネット検索してYoutubeに見つけた。

同軸ケーブルの長さだ! 同軸ケーブル1.5D-2Vは、特性インピーダンス=50Ω、ということだけは知っていたが、周波数によってケーブル自体のインピーダンスが変わるらしいのだ。 一定ではないのである。 周波数が高くなるほど一定長以上のケーブルではインピーダンスは変動する。 知ってた? 7Mhzでは2mを超えるとインピーダンス一定ではなくなる。 ましてや、433MHzでは・・・

アンテナ直下で(アンテナ自体)を測定するには、λ/2x短縮率の長さの整数倍のケーブル長にすると良い、と書いてあったので、まず、釣竿用の同軸1.5D-2Vの長さを433MHzの半波長(電気長)の整数倍にカットして、ケーブルだけをnanoVNAにて測定を試みた。 終端に51Ωの被膜抵抗器を取り付けて測定してもR=51Ωにはならなかった。

周波数=433MHzとして 波長=69.2㎝ 
波長x短縮率0.67=46.4㎝、半波長=23.2㎝、 λ/4=11.6cm

369㎝だった元のケーブルを348㎝(半波長の15倍)にカットして測定するもレジスタンスRの値は75Ω~25Ωあたりを波打っている。 対応してVSWR、スミスチャートは2辺りをうろうろしている。 更に半波長カットしても状況は変わらなかった。

アンテナ直付け(まさに直下)でのnanoVNAでは433MHzでVSWR=1.0、スミスチャートではR=50Ωで中央に点が表示されているので、アンテナ自体の周波数、インピーダンス調整は完璧のはずだ。 

だが、3m上に揚げるための同軸ケーブル自体が433Mhzの半波長の整数倍にしてもマッチしないのだ。 つまり同軸ケーブル自体のインピーダンスが433Mhzでは50Ωにならないのである。 これがアンテナ単独のR値(インピーダンスとも言う)の50Ωと一致しなければケーブル接続後のVSWRは1.0にはならない。

う~ん、どないしたらえ~んやろ・・・う~ん、う~ん・・・

っで、さらにYoutubeを探しまくると・・・ダイポールアンテナのSWR値を下げる、というタイトルの動画が見つかった。 そこで紹介されていた方法は、スタブマッチ、ヘアピンマッチ、というマッチング方法だった。 ダイポールとは異なるが・・・まあおんなじやろ、ということでやってみることにした。

スタブマッチというのは、一定長の同軸ケーブルを片端オープンの状態で給電点に繋ぐ方法で、非常に簡単だ。 片端オープンの同軸ケーブルは、芯線と網線との間にキャパシタンスを生じるので・・・なにか良いらしい・・・一種のコンデンサとして働くようだ。 まあ、ここに入れるバリコンの代わりみたいなもので、手動のアンテナカプラーみたいなものに相当する。

そこで、1.5D-2Vの同軸ケーブル10㎝にYの字端子を取り付けたものを作って釣竿用同軸3m何某に繋いで51Ωの抵抗(ダミーロード)を付けて測定してみたのよ。 nanoVNAにこれを繋いでスタブの長さを少しづつカットしていくと、VNAのR値が変化するではないかっか!    この時のVNAの較正は本体基準点で実施。

もちろん、この操作は51Ωの終端抵抗(又は50Ωのダミーロード)を付けた状態でやるんでっせ!  そしてVNAでR値とリアクタンス値を見ながらカットするんです。 51Ω抵抗を付けているのに、同軸の特性インピーダンス(Z=R±0j)が51Ωにならないのでこの操作をやっているのです。アンテナ自体のインピーダンス=51Ωを前提しているのです。

R値を見ながらカットを続けていくと、ある長さにカットした時点でR値が50Ω近くになった訳よ。 VSWRは1.04くらいを示している。 これは同軸のインピーダンス≒アンテナ自体のインピーダンスになっていることを意味する。

ほお~っ、こりゃ簡単でいいや・・・と思った。 結局かなりカットして下の写真の姿になりました。 ほんのわずかなキャパシタンスを加えただけで同軸ケーブルの特性インピーダンスが50Ω付近に調整されたことを意味します。 

これ(↓)がスタブマッチのスタブと言われるものです。 えらい短いでしょ! 長さは主題ではありまへん。 マッチする長さが必要な長さなんですわ。;

早速無線機に接続してみました。 実際はこんな風になります。 3m上に掲げるには、下に伸びている同軸に無線機を繋ぎます。 左にみえているのは直付け用BNC-オス コネクタです。;

すると、どうでしょう・・・

上写真の接続の状態で3m上に揚げると、VSWR=1.04、R値は50~51Ωを表示しています。 VSWR1.5以下の帯域幅も、約30~40Mhzと、かなり広いです。(写真撮り忘れ) この時は、VNAをオリジナル電極状態で較正して同軸+アンテナを繋いで測定しています。

・・・で実際にハンディー機に取り付けると・・・う~ん、室内でもよく聞こえまんがな。 送信は今後テストするつもりです。

スタブマッチ・・・なんか得したような・・・

次は、4エレループ八木位相差給電アンテナについてもスタブマッチを試してみます(つまり同じ同軸ケーブルを繋いでみます)。 その次にHFアンテナのケーブル調整に取り掛かります。 

もう一度叫んでおきます・・・

”特性インピーダンス50Ωの同軸ケーブルは、長さによってはインピーダンスが50Ωではなくなる、ぞ~!!!” 

”75Ω同軸でも同じだ、ぞ~!!!”

アンテナのSWR最低点(周波数とSWR値)の調整時の問題点と思われることを繰り返しておきますね;

・同軸ケーブルの特性インピーダンスが一定であるという誤解
・同軸ケーブル+アンテナで、アンテナ自体を調整するので大混乱する、訳が分からなくなる

ということで、アンテナのインピーダンスを同軸ケーブルの一般的特性インピーダンス(50Ω、75Ωの架空の値)に合わせようとして、アンテナばかり調整するので混乱や混同が起こる訳である。

この図が参考になるでしょう;

Zℓ :アンテナ自体のインピーダンス(50Ωにするか、高インピーダンスの場合は変換回路を入れて調整する)
Z0 :同軸ケーブルの実インピーダンス(特性インピーダンスではない)。 スタブマッチはここを=特性インピーダンス(50Ω)に変換。 
Zs :無線機の出力インピーダンス(50Ω) 

出展 

実際編:

後日、江戸川土手から3m上に揚げてnanoVNAにて計測する。

VSWR最下点の帯域はフラットな鍋底(鍋底ではVSWR=1.07)ではあったが、鍋底周波数は440MHzに上昇していた。

433.000 付近ではVSWR=1.5くらいであった。

これは土手(地上5~6m)から更に3m上に揚げたために、4エレループ八木アンテナ自体の同調周波数が約10Mhzほど上にズレたためと思われる。

無線機直付けでは433.000MHzでVSWR=1.0で同調している。

4つの帯鋼のエレメントは、無線機直付け前提でエレメント調整されているので、恐らく、エレメント長を少し調整する必要があるだろう。(8~9m上に揚げるために) 

エレメント無調整のまま、八王子市の局と433.02MhzでQSOしたが、お相手は16エレ2段2列、10W出力、当方は4エレループ八木、TH79ハンディー機で出力は2.0Wであった。 お相手55/当方51 というRSであった。  VSWR=1.5で2.0W出力ではこんなもんなのかな~?とは半ば納得。

他に横浜市緑区の局のQSOが聞こえていた。 433.04MhzでRS=51~53で聞こえていた。

他の周波数は例によってトラックの群れ・・・であった。

 

翌日曜日:

今日は天気は曇りだが気温が20度まで上がる、ということで再び挑戦。 今日は江戸川の土手で市民マラソンが実施されていた。 お邪魔にならぬように隅の方に陣取りました。

今日のアンテナは4エレループ八木位相差給電アンテナである。

接続用の同軸ケーブルは上記で作ったスタッブを取り付け、事前調整した位相差給電アンテナを土手から3m上に揚げた。

事前調整では、VSWRの波が上2.0下1.07辺りを波打っており、最下点は440Mhz辺りであった。 反射器エレメントを約8㎝短くしたところ、433.0MHzでVSWR最下点1.4となったので、これを8mに揚げた。

するとどうでしょう・・・嘘のように良く聞こえます。 スコープに表示されるバーの長さがこれまでと違って何本も長く表示されています。

早速QSOしましたところ、His 59+ My59でした。

埼玉県入間郡越生町の移動局で、GPアンテナ 500mH、25W出力
当方、自作4エレループ八木位相差給電アンテナ 8mH、2.5W出力

今日は調子がいいや、と気を良くしていると、低気圧性の風が吹きあがってきたので即撤収いたしました。

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2 コメント

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そうなんです。 (ja0dcy)
2022-03-19 14:33:06
  お世話様
 色々 私もしていますが中々奥が深い・・・
次回のレポート 楽しみにしています。
頑張ってください。 ja0dcy
返信する
Unknown (JK1EDS)
2022-03-20 08:27:04
JA0DCYさん、

訪問ありがとうございます。
やっとアマチュア無線家の端っこにたどりついたところです。
まだまだ奥は深そうです。
またお越しください。
返信する

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