*事故発生から数時間後のJR西日本からの「置石の可能性」発言は、後に警察からも事故調査委員会からも批判された。
仮に「置石」が主たる原因で脱線事故が発生したとすれば、JR西日本側の賠償責任は免除乃至緩和されるらしい。彼らはまずお金の心配をしたのだろうか・・・?
一方ではしかし「置石など絶対なかった」とする目撃証言もTVでは既に放映されている。
その男性は事故の5分前に一つ前の列車が通過した時間から、まさに「粉砕痕」のある線路のすぐ横の位置で事故を目撃したということである。但し、この発言へのフォロー報道は私は見ていない。
「事故から事件へ」というこの事故の《事件性》が追求されつつある流れの中で、全ての報道は微妙な段階に入っている。
*次にJR西日本は何をしたかというと、(未だ救出されていない)当該運転士の能力に対する疑問を殊更に強調し始めたのである。これは既にいろいろな人たちが指摘している。
では、と私は素朴な疑問を抱く。百歩譲って彼がJR西日本が言うような、能力を欠く不適格な運転士だったとして、そんなに「危険な」「経験不足の」人間に何故仮眠を挟む過重な勤務を強いたのか、と。《責任転嫁》とは、こういうことを言うのではないか。小学校でこういう責任の取り方を教えるだろうか?
聞けば国鉄からの分割民営化の直後、JR各社は新規採用を抑えたため、現在従業員の年齢構成が極めていびつなものになっているということである。働き盛りの中堅運転士が少ないのである。
*今メディアはこぞってJR西日本の経営体質に鉾先を向けている。旧国労系の組合からは内部告発もなされている。しかし、だとするならば、元々国鉄の分割民営化そのものが齎した歪みが今回の事故の根本原因になっているのではないか。
分割によって赤字路線を多く抱えてしまったJR西日本は、それまでの《親方日の丸》的な放漫経営から180度転換し突如として《営利優先》を旗印とした。そのためには採るべき人材も採らず、私鉄と競合する$箱路線=とりわけ今回事故の起きた福知山線では《スピード運行》で阪急電車との競争に打ち勝とうとした。ダイヤは過密だったとの指摘も既に出始めている。素人の私にも、例えば宝塚で「15秒(!)」の停車時間でラッシュ時の乗降が可能であるとは到底思えない。
競争のためには労務管理を強化し、即ち運転ミスに対しては《日勤教育》という名の、まるで懲役刑のような《罰則》を適用し、故に今回の運転士と車掌は《オーバーラン》に対する来るべき処分=《日勤教育》の影に怯え、第二第三の失敗を重ねた・・・。
*でも考えてみれば需要が無ければ供給もないのです。彼ら経営陣だけを悪者扱いすれば万事問題解決というわけには行かないでしょう。
JR西日本が如何にスピードを売り物にしようと、それを価値として認める社会通念が基盤に無ければ、利用者は料金の安い阪急に向かうのではありませんか。通勤者や学生にとって朝の1分1秒は貴重ではありますが、しかし敢て言わせて戴くならば、
「狭い日本、そんなに急いでどこへ行く?」
という交通標語は、未だこの国に暮らすすべての人々に有効であると思います。
《時間に追われ仕事に追われる、忙しいだけの人生》は高度成長期で既に終ったのではなかったということでしょうか。
*次に、電車に突っ込まれたマンションの方の話です。
脱線した列車に押しつぶされた白い乗用車は当初事故原因となったかのように疑われ、このマンションの住人であるというその持ち主は、警察から早々と不快な事情聴取(実質的には取調べ?)を受けていたというのです。
兵庫県警というと一頃汚職や警察官による破廉恥犯罪等悪い事例ばかりが報道されており、今回は手際よい捜査で名誉挽回すべきときであるにも関わらず、被害者を傷つけるようなことを無思慮に行ってしまった・・・。
「もう住みたくない」 列車衝突のマンション住民 (朝日新聞) - goo ニュース
最後に今回の事故の犠牲者及びご家族の方々に謹んで哀悼の意を表しお悔やみ申し上げます。
*追記。23歳の運転士は104人目の死者として先程搬出されました。合掌。
仮に「置石」が主たる原因で脱線事故が発生したとすれば、JR西日本側の賠償責任は免除乃至緩和されるらしい。彼らはまずお金の心配をしたのだろうか・・・?
一方ではしかし「置石など絶対なかった」とする目撃証言もTVでは既に放映されている。
その男性は事故の5分前に一つ前の列車が通過した時間から、まさに「粉砕痕」のある線路のすぐ横の位置で事故を目撃したということである。但し、この発言へのフォロー報道は私は見ていない。
「事故から事件へ」というこの事故の《事件性》が追求されつつある流れの中で、全ての報道は微妙な段階に入っている。
*次にJR西日本は何をしたかというと、(未だ救出されていない)当該運転士の能力に対する疑問を殊更に強調し始めたのである。これは既にいろいろな人たちが指摘している。
では、と私は素朴な疑問を抱く。百歩譲って彼がJR西日本が言うような、能力を欠く不適格な運転士だったとして、そんなに「危険な」「経験不足の」人間に何故仮眠を挟む過重な勤務を強いたのか、と。《責任転嫁》とは、こういうことを言うのではないか。小学校でこういう責任の取り方を教えるだろうか?
聞けば国鉄からの分割民営化の直後、JR各社は新規採用を抑えたため、現在従業員の年齢構成が極めていびつなものになっているということである。働き盛りの中堅運転士が少ないのである。
*今メディアはこぞってJR西日本の経営体質に鉾先を向けている。旧国労系の組合からは内部告発もなされている。しかし、だとするならば、元々国鉄の分割民営化そのものが齎した歪みが今回の事故の根本原因になっているのではないか。
分割によって赤字路線を多く抱えてしまったJR西日本は、それまでの《親方日の丸》的な放漫経営から180度転換し突如として《営利優先》を旗印とした。そのためには採るべき人材も採らず、私鉄と競合する$箱路線=とりわけ今回事故の起きた福知山線では《スピード運行》で阪急電車との競争に打ち勝とうとした。ダイヤは過密だったとの指摘も既に出始めている。素人の私にも、例えば宝塚で「15秒(!)」の停車時間でラッシュ時の乗降が可能であるとは到底思えない。
競争のためには労務管理を強化し、即ち運転ミスに対しては《日勤教育》という名の、まるで懲役刑のような《罰則》を適用し、故に今回の運転士と車掌は《オーバーラン》に対する来るべき処分=《日勤教育》の影に怯え、第二第三の失敗を重ねた・・・。
*でも考えてみれば需要が無ければ供給もないのです。彼ら経営陣だけを悪者扱いすれば万事問題解決というわけには行かないでしょう。
JR西日本が如何にスピードを売り物にしようと、それを価値として認める社会通念が基盤に無ければ、利用者は料金の安い阪急に向かうのではありませんか。通勤者や学生にとって朝の1分1秒は貴重ではありますが、しかし敢て言わせて戴くならば、
「狭い日本、そんなに急いでどこへ行く?」
という交通標語は、未だこの国に暮らすすべての人々に有効であると思います。
《時間に追われ仕事に追われる、忙しいだけの人生》は高度成長期で既に終ったのではなかったということでしょうか。
*次に、電車に突っ込まれたマンションの方の話です。
脱線した列車に押しつぶされた白い乗用車は当初事故原因となったかのように疑われ、このマンションの住人であるというその持ち主は、警察から早々と不快な事情聴取(実質的には取調べ?)を受けていたというのです。
兵庫県警というと一頃汚職や警察官による破廉恥犯罪等悪い事例ばかりが報道されており、今回は手際よい捜査で名誉挽回すべきときであるにも関わらず、被害者を傷つけるようなことを無思慮に行ってしまった・・・。
「もう住みたくない」 列車衝突のマンション住民 (朝日新聞) - goo ニュース
最後に今回の事故の犠牲者及びご家族の方々に謹んで哀悼の意を表しお悔やみ申し上げます。
*追記。23歳の運転士は104人目の死者として先程搬出されました。合掌。