
2010年02月17日 『日刊ゲンダイ』掲載
暴走大阪地検 バッジ逮捕で汚名返上狙う
郵政不正事件 村木被告の元部下の「冤罪」証言で崖っぷち
●KSD事件と同じ“絵”を描く!?
郵便不正事件に絡み、ニセの障害者団体証明書を発行した疑いが持たれている厚労省元局長、村木厚子被告の裁判がグチャグチャになってきた。16日は、当時の部下である元係長が証人として出廷し、「村木さんは冤罪」と証言したのだ。
検察側は、村木被告が元係長に、自称障害者団体の元会長・倉沢邦夫被告を紹介し、「ちょっと大変な案件だけど、よろしくお願いします」と証明書発行を指示したとされる。
しかし、元係長は村木被告の言葉を「自分の類推だった」と説明。証明書発行を〈国会議員から課長のところに来た案件と聞かされていた〉という供述調書についても、「そんなことを言った覚えはない」と全面否定した。これが本当なら、検察は供述調書をでっち上げたことになる。
「村木裁判は検察側の完敗でしょう。前回の公判でも、村木被告の元上司が証人として出廷し、“検察側のウソの証拠で供述してしまった”“事件自体が壮大な虚構ではないか”とぶちまけています。これほど検察のデタラメがボロボロと明らかになる裁判は、ちょっと記憶にないぐらいです」(法曹関係者)
こうなると、検察の信頼はガタガタだ。そのため、郵便不正事件を担当する大阪地検特捜部は、何としても“バッジ”を挙げようと目の色を変えている。
「ターゲットは愛知県選出の民主党衆院議員です。容疑はズバリ、あっせん利得罪。国会で有名作家の著作権を管理する会社に有利になるような質問をする見返りとして、カネを受け取ったという絵を描いています。質問の数日前、この議員は著作権管理会社にパーティー券60万円分を購入してもらっている。検察からすれば、村上正邦参院議員と小山孝雄参院議員が質問の見返りに利益供与を受け、刑が確定したKSD事件と同じ構図というわけです。もっとも、あっせん利得なら、公務員に職務上の行為をさせる、あるいはさせないようにすることで利益を得たという証拠が必要。立件は簡単ではありません」(司法事情通)
それでも検察は暴走を続けるのだろうか。
============
これは検察側の証人が公判で被告有利な証言をしてしまったのだから、事件は事実上終わっている。日本に3つしかない『特捜部』だが、公安委員会同様折に触れて何か「仕事をしているんだぞ」というポーズをアピールしていかないとその存在理由が疑われてしまうということらしい。何も無ければ我々には結構なことだが彼らはそれではいけないのである。
============
2010年02月18日 『日刊ゲンダイ』掲載
鳩山政権の目玉政策「ヨガ」「気功」「足裏マッサージ」…
マジかよ!こんなものまで健康保健適用
医療が大きく変わるかもしれない。
鳩山首相が1月の施政方針演説で表明した「統合医療」が実現に向けて動き出した。日本の医療は明治以降、西洋医学による医療が中心に行われてきたが、今後は東洋医学に基づく医療にも健康保険を適用しようというのである。長妻厚労相は乗り気で2月5日、厚労省内にプロジェクトチームが発足し、「2月末までに統合医療に関する調査結果をまとめる」(厚労省)という。
驚くのは、保険適用範囲だ。
漢方医療や鍼灸(しんきゅう)治療はもちろん、足裏マッサージ、ヒーリング、アロマセラピー、カイロプラクティック、磁気治療、断食治療、ヨガ、気功、アンチエイジング、音楽療法、芸術療法、さらにインドの「アーユルヴェーダ」のようなアジアの伝統的な医療にも適用される可能性がある。
さっそく自民党周辺からは「常識をくつがえす、いかにも宇宙人らしい発想」とのイヤミが聞かれる。
総合病院の事務長を務めた医療ジャーナリストの西松空也氏がこう指摘する。
「西洋医療は熱が出たら下げるという対処療法ですが、東洋医療は体の調子を元から整えていこうとする根治療法です。2つの治療に保険が適用されることで、個々人の体調や体質に合わせた治療が行えるようになります」
しかし、実現は容易ではないようなのだ。東洋医療の医師不足に加えて、若い医師を育てる教育機関がほとんどないし、東洋医療の場合、本当に効果があるかどうかを証明することが難しい。証明できる有効な方法が見つかっても、臨床実験には相当の時間がかかる。
それに、こんなに適用範囲を広げたら、日本の健康保険はパンクしてしまうんじゃないか。難問山積なのだ。
鳩山首相の一見奇矯な発想は、「宇宙人に誘拐されて金星に行った」などとスピリチュアルな幸夫人の影響かもしれない。だが、どうせやるなら、難病に苦しむ人たちに手厚い補助をするとか、もっと直面する病気に目を向けた方がいいのではないか。
============
2010年02月19日 『日刊ゲンダイ』掲載
国費3兆円を取り戻せ まだまだある独立行政法人のムダとデタラメ
枝野大臣が全面見直し宣言!
●フランスでオペラ観劇、食堂に出張すし屋
枝野行政刷新相が仰天プランをブチ上げた。4月にもスタートする事業仕分け第2弾で、「独立行政法人をゼロベースで見直す。原則廃止の路線だ」と明言したのだ。
98ある独立行政法人には毎年3兆円余りの国費がジャブジャブ使われている。
官僚OBの天下り理事長が年間2000万円もの高給を食(は)んでいるケースもゾロゾロだ。
独法といえば、20億円の赤字を毎年タレ流しているハコモノ、「私のしごと館」を運営した「雇用・能力開発機構」などが有名だが、デタラメはまだまだある。かつて独法の前身、特殊法人での勤務経験があるジャーナリストの若林亜紀氏が言う。
「私が勤めていた法人(現・労働政策研究・研修機構)は、国民が払っている雇用保険の一部を使い、失業者を増やさない研究をする機関です。しかし、そんなのは名目だけ。私が在籍していたころの理事長は、視察を口実に毎月のように海外旅行を楽しんでいました。飛行機はファーストクラス、ホテルは5つ星のスイートルームで、観光、グルメ、ショッピングと遊興三昧。フランスのオペラが好きなので、パリ事務所をつくったほどです」
百歩譲って、失業者が減っているならまだいいが、実際には増加の一途。これじゃあ、百害あって一利なしだ。
青年海外協力隊で知られる「国際協力機構」(JICA)もヒドい。
「東京・麹町にそびえ立つ家賃28億円のJICA本部ビルに潜入して驚きました。何と、すし屋を招いて、臨時すし屋台を設置していたのです。JICA職員は給料もベラボーで、海外赴任では外交官並みの平均年収1320万円(平均39歳)。しかも、外交特権で日本でも赴任先でも所得税がかかりません。税金を払わなくていい分、外交官よりおいしいかもしれません」(若林亜紀氏=前出)
こうしたデタラメ独法に流れるムダ金がゼロになれば、財源がとやかく言われている子ども手当の大半をまかなえる計算だ。枝野大臣の腕の見せどころである。
============
藤田まことさん急死 必殺企画書届く直前 asahi.com
コメディー「てなもんや三度笠」や時代劇「必殺」シリーズ、ドラマ「はぐれ刑事純情派」などテレビで親しまれた俳優藤田(ふじた)まことさん(本名・原田真=はらだ・まこと)が17日午前7時25分、大動脈からの出血のため、大阪府吹田市の大阪大病院で死去した。76歳。ある時は底抜けに明るいコメディアン、またあるときは人生の深みを渋く刻む名優として、半世紀にわたってテレビの第一線で活躍した。「葬儀は身内だけで」とする故人の遺志もあり18日夜、大阪府内で営まれた通夜には近親者ら約40人が参列。19日に葬儀・告別式が行われる。喪主は長男原田知樹(はらだ・ともき)氏。
所属事務所によると、藤田さんは16日夜、自宅で孫たちと夕食を食べた後に突然、吐血した。すぐに病院に運ばれたが、すでに意識はなかったという。家族の呼びかけにも、かすかな反応を示すだけ。意識を取り戻すこともなく、翌17日朝に亡くなった。
08年に食道がんが見つかり、昨年は閉塞(へいそく)性肺疾患を患うなど、最近は病との闘いの連続だった。だが、仕事への情熱は失っておらず、次の「必殺」シリーズへの出演にも前向きだった。所属事務所は「仕事の打ち合わせで1月26日に大阪で会ったのが最後になった。『2月は寒いから、リハビリに励む。春からは仕事に頑張るぞ』と元気でした」と話す。まさに急変だったようで、楽しみにしていた「必殺」の新しい企画書が藤田さんの自宅に届いたのは、亡くなった直後の17日だった。復活を目指す藤田さんにはドラマやCM出演の依頼が多数寄せられていた。
最後の仕事となったのは1月15日、CS放送「必殺」シリーズのナレーションどり。このとき立ち会った「必殺仕事人2009」(昨年1~6月、テレビ朝日系で放送)の森山浩一プロデューサーは「顔色も良く、本当に元気そうでした。また『必殺』に出たいという意欲を強く持っておられたので、まさか、こんなことになるとは…」と驚くばかりだった。
芸能界の仲間や後輩によって後日、お別れの会が開催される可能性はあるが、18日の通夜はタレント大村崑(78)ほか、近親者ら40人ほどが参列したのみ。長きにわたって愛された必殺仕事人は静かに旅立った。
[2010年2月19日8時42分 紙面から]
============
私の記憶に間違いがなければ、私が彼を初めて意識したのは『番頭はんと丁稚どん』の舞台ライブ中継の幕が開く前の口上で、アナウンサー然とした風体の彼が一人舞台中央にすわって(オロナミンCドリンクだったか?)アンプルの口を切りストローで一気に飲み干して『どんどこどんどこどんどこどん、あ、効いて来た♪』とやるCMである。これが『てなもんや』で売れる前の彼だったと記憶しているのだが何分昔のことなので確信はない。カラーTVはまだないか、少なくてもまだ一般には普及していない時代だった。(註:カラーTVとか高速道路とかは1964年の東京オリンピックが普及・一般化の契機になっている。)
『てなもんや三度笠』という30分喜劇も(多分欠かさず)よく見ていた。ここでは『俺がこんなに強いのも、あたり前田のクラッカー♪』というCMの決め台詞があった。『前田のクラッカー』は今もときどき見かける。
『てなもんや』が終わって次に『必殺』で彼が決定的にブレイクするまで四年間のブランクがあったということである。『必殺』のシリーズも私はずっと通して見ていたように思う。『はぐれ刑事』や『剣客商売』はこれら2つほどには熱心な視聴者ではなかったが、総じて私のテレビ人生のかなりの部分を彼が占めて来たのは事実である。また一人昭和が去った。ご冥福を祈ります。合掌。
============
暴走大阪地検 バッジ逮捕で汚名返上狙う
郵政不正事件 村木被告の元部下の「冤罪」証言で崖っぷち
●KSD事件と同じ“絵”を描く!?
郵便不正事件に絡み、ニセの障害者団体証明書を発行した疑いが持たれている厚労省元局長、村木厚子被告の裁判がグチャグチャになってきた。16日は、当時の部下である元係長が証人として出廷し、「村木さんは冤罪」と証言したのだ。
検察側は、村木被告が元係長に、自称障害者団体の元会長・倉沢邦夫被告を紹介し、「ちょっと大変な案件だけど、よろしくお願いします」と証明書発行を指示したとされる。
しかし、元係長は村木被告の言葉を「自分の類推だった」と説明。証明書発行を〈国会議員から課長のところに来た案件と聞かされていた〉という供述調書についても、「そんなことを言った覚えはない」と全面否定した。これが本当なら、検察は供述調書をでっち上げたことになる。
「村木裁判は検察側の完敗でしょう。前回の公判でも、村木被告の元上司が証人として出廷し、“検察側のウソの証拠で供述してしまった”“事件自体が壮大な虚構ではないか”とぶちまけています。これほど検察のデタラメがボロボロと明らかになる裁判は、ちょっと記憶にないぐらいです」(法曹関係者)
こうなると、検察の信頼はガタガタだ。そのため、郵便不正事件を担当する大阪地検特捜部は、何としても“バッジ”を挙げようと目の色を変えている。
「ターゲットは愛知県選出の民主党衆院議員です。容疑はズバリ、あっせん利得罪。国会で有名作家の著作権を管理する会社に有利になるような質問をする見返りとして、カネを受け取ったという絵を描いています。質問の数日前、この議員は著作権管理会社にパーティー券60万円分を購入してもらっている。検察からすれば、村上正邦参院議員と小山孝雄参院議員が質問の見返りに利益供与を受け、刑が確定したKSD事件と同じ構図というわけです。もっとも、あっせん利得なら、公務員に職務上の行為をさせる、あるいはさせないようにすることで利益を得たという証拠が必要。立件は簡単ではありません」(司法事情通)
それでも検察は暴走を続けるのだろうか。
============
これは検察側の証人が公判で被告有利な証言をしてしまったのだから、事件は事実上終わっている。日本に3つしかない『特捜部』だが、公安委員会同様折に触れて何か「仕事をしているんだぞ」というポーズをアピールしていかないとその存在理由が疑われてしまうということらしい。何も無ければ我々には結構なことだが彼らはそれではいけないのである。
============
2010年02月18日 『日刊ゲンダイ』掲載
鳩山政権の目玉政策「ヨガ」「気功」「足裏マッサージ」…
マジかよ!こんなものまで健康保健適用
医療が大きく変わるかもしれない。
鳩山首相が1月の施政方針演説で表明した「統合医療」が実現に向けて動き出した。日本の医療は明治以降、西洋医学による医療が中心に行われてきたが、今後は東洋医学に基づく医療にも健康保険を適用しようというのである。長妻厚労相は乗り気で2月5日、厚労省内にプロジェクトチームが発足し、「2月末までに統合医療に関する調査結果をまとめる」(厚労省)という。
驚くのは、保険適用範囲だ。
漢方医療や鍼灸(しんきゅう)治療はもちろん、足裏マッサージ、ヒーリング、アロマセラピー、カイロプラクティック、磁気治療、断食治療、ヨガ、気功、アンチエイジング、音楽療法、芸術療法、さらにインドの「アーユルヴェーダ」のようなアジアの伝統的な医療にも適用される可能性がある。
さっそく自民党周辺からは「常識をくつがえす、いかにも宇宙人らしい発想」とのイヤミが聞かれる。
総合病院の事務長を務めた医療ジャーナリストの西松空也氏がこう指摘する。
「西洋医療は熱が出たら下げるという対処療法ですが、東洋医療は体の調子を元から整えていこうとする根治療法です。2つの治療に保険が適用されることで、個々人の体調や体質に合わせた治療が行えるようになります」
しかし、実現は容易ではないようなのだ。東洋医療の医師不足に加えて、若い医師を育てる教育機関がほとんどないし、東洋医療の場合、本当に効果があるかどうかを証明することが難しい。証明できる有効な方法が見つかっても、臨床実験には相当の時間がかかる。
それに、こんなに適用範囲を広げたら、日本の健康保険はパンクしてしまうんじゃないか。難問山積なのだ。
鳩山首相の一見奇矯な発想は、「宇宙人に誘拐されて金星に行った」などとスピリチュアルな幸夫人の影響かもしれない。だが、どうせやるなら、難病に苦しむ人たちに手厚い補助をするとか、もっと直面する病気に目を向けた方がいいのではないか。
============
2010年02月19日 『日刊ゲンダイ』掲載
国費3兆円を取り戻せ まだまだある独立行政法人のムダとデタラメ
枝野大臣が全面見直し宣言!
●フランスでオペラ観劇、食堂に出張すし屋
枝野行政刷新相が仰天プランをブチ上げた。4月にもスタートする事業仕分け第2弾で、「独立行政法人をゼロベースで見直す。原則廃止の路線だ」と明言したのだ。
98ある独立行政法人には毎年3兆円余りの国費がジャブジャブ使われている。
官僚OBの天下り理事長が年間2000万円もの高給を食(は)んでいるケースもゾロゾロだ。
独法といえば、20億円の赤字を毎年タレ流しているハコモノ、「私のしごと館」を運営した「雇用・能力開発機構」などが有名だが、デタラメはまだまだある。かつて独法の前身、特殊法人での勤務経験があるジャーナリストの若林亜紀氏が言う。
「私が勤めていた法人(現・労働政策研究・研修機構)は、国民が払っている雇用保険の一部を使い、失業者を増やさない研究をする機関です。しかし、そんなのは名目だけ。私が在籍していたころの理事長は、視察を口実に毎月のように海外旅行を楽しんでいました。飛行機はファーストクラス、ホテルは5つ星のスイートルームで、観光、グルメ、ショッピングと遊興三昧。フランスのオペラが好きなので、パリ事務所をつくったほどです」
百歩譲って、失業者が減っているならまだいいが、実際には増加の一途。これじゃあ、百害あって一利なしだ。
青年海外協力隊で知られる「国際協力機構」(JICA)もヒドい。
「東京・麹町にそびえ立つ家賃28億円のJICA本部ビルに潜入して驚きました。何と、すし屋を招いて、臨時すし屋台を設置していたのです。JICA職員は給料もベラボーで、海外赴任では外交官並みの平均年収1320万円(平均39歳)。しかも、外交特権で日本でも赴任先でも所得税がかかりません。税金を払わなくていい分、外交官よりおいしいかもしれません」(若林亜紀氏=前出)
こうしたデタラメ独法に流れるムダ金がゼロになれば、財源がとやかく言われている子ども手当の大半をまかなえる計算だ。枝野大臣の腕の見せどころである。
============
藤田まことさん急死 必殺企画書届く直前 asahi.com
コメディー「てなもんや三度笠」や時代劇「必殺」シリーズ、ドラマ「はぐれ刑事純情派」などテレビで親しまれた俳優藤田(ふじた)まことさん(本名・原田真=はらだ・まこと)が17日午前7時25分、大動脈からの出血のため、大阪府吹田市の大阪大病院で死去した。76歳。ある時は底抜けに明るいコメディアン、またあるときは人生の深みを渋く刻む名優として、半世紀にわたってテレビの第一線で活躍した。「葬儀は身内だけで」とする故人の遺志もあり18日夜、大阪府内で営まれた通夜には近親者ら約40人が参列。19日に葬儀・告別式が行われる。喪主は長男原田知樹(はらだ・ともき)氏。
所属事務所によると、藤田さんは16日夜、自宅で孫たちと夕食を食べた後に突然、吐血した。すぐに病院に運ばれたが、すでに意識はなかったという。家族の呼びかけにも、かすかな反応を示すだけ。意識を取り戻すこともなく、翌17日朝に亡くなった。
08年に食道がんが見つかり、昨年は閉塞(へいそく)性肺疾患を患うなど、最近は病との闘いの連続だった。だが、仕事への情熱は失っておらず、次の「必殺」シリーズへの出演にも前向きだった。所属事務所は「仕事の打ち合わせで1月26日に大阪で会ったのが最後になった。『2月は寒いから、リハビリに励む。春からは仕事に頑張るぞ』と元気でした」と話す。まさに急変だったようで、楽しみにしていた「必殺」の新しい企画書が藤田さんの自宅に届いたのは、亡くなった直後の17日だった。復活を目指す藤田さんにはドラマやCM出演の依頼が多数寄せられていた。
最後の仕事となったのは1月15日、CS放送「必殺」シリーズのナレーションどり。このとき立ち会った「必殺仕事人2009」(昨年1~6月、テレビ朝日系で放送)の森山浩一プロデューサーは「顔色も良く、本当に元気そうでした。また『必殺』に出たいという意欲を強く持っておられたので、まさか、こんなことになるとは…」と驚くばかりだった。
芸能界の仲間や後輩によって後日、お別れの会が開催される可能性はあるが、18日の通夜はタレント大村崑(78)ほか、近親者ら40人ほどが参列したのみ。長きにわたって愛された必殺仕事人は静かに旅立った。
[2010年2月19日8時42分 紙面から]
============
私の記憶に間違いがなければ、私が彼を初めて意識したのは『番頭はんと丁稚どん』の舞台ライブ中継の幕が開く前の口上で、アナウンサー然とした風体の彼が一人舞台中央にすわって(オロナミンCドリンクだったか?)アンプルの口を切りストローで一気に飲み干して『どんどこどんどこどんどこどん、あ、効いて来た♪』とやるCMである。これが『てなもんや』で売れる前の彼だったと記憶しているのだが何分昔のことなので確信はない。カラーTVはまだないか、少なくてもまだ一般には普及していない時代だった。(註:カラーTVとか高速道路とかは1964年の東京オリンピックが普及・一般化の契機になっている。)
『てなもんや三度笠』という30分喜劇も(多分欠かさず)よく見ていた。ここでは『俺がこんなに強いのも、あたり前田のクラッカー♪』というCMの決め台詞があった。『前田のクラッカー』は今もときどき見かける。
『てなもんや』が終わって次に『必殺』で彼が決定的にブレイクするまで四年間のブランクがあったということである。『必殺』のシリーズも私はずっと通して見ていたように思う。『はぐれ刑事』や『剣客商売』はこれら2つほどには熱心な視聴者ではなかったが、総じて私のテレビ人生のかなりの部分を彼が占めて来たのは事実である。また一人昭和が去った。ご冥福を祈ります。合掌。
============