第一次大戦100年:世界はいま総力戦の「空気」再現イギリスで漫画作品展
毎日新聞2014年07月05日東京夕刊
【ロンドン坂井隆之】第一次世界大戦の開戦から100年を記念し、欧州の新聞紙上などで活躍する現代の漫画家らが当時の世相を描いた作品展「1914デイ・バイ・デイ・カトゥーン」が、ロンドン市内の漫画博物館で開かれている。当時のニュースなどを題材に、総力戦へ突き進んだ時代の「空気」を再現している。
参加しているのは英独の新聞などで活躍する風刺漫画家やイラストレーターら12人。大戦のきっかけとなったサラエボ事件が起きた1914年6月28日から、英国がドイツに宣戦布告した同年8月4日までの6週間の出来事をテーマに、それぞれが漫画やイラストを描いた。
アイルランドで起きた英軍による住民殺害事件や、英植民地だったインドの兵士の実態、当時の指導者の無責任ぶりなど、現在ならではの視点による作品も多い。同時に展示されている当時の漫画との比較も興味深い。
アニータ・オブライエン館長は「人々の本音を映し出す一方で、当時の漫画は戦意高揚や敵への憎悪を高めるためにも使われた。現在の幅広い視点で描いた作品と並べて見ることで、よりリアルな大戦前夜の雰囲気が伝わると思う」と話す。
============
以上毎日新聞からの引用終わり。
今から百年前の開戦だというのだから、第一次大戦は開戦が1914年で終結したのが1918年だということになる。
一方第二次世界大戦はというと、それから21年後の1939年9月のドイツ軍ポーランド侵攻から大日本帝国の全面降伏の1945年まで続いたことになる。21世紀が「戦争の世紀」だと呼ばれる所以である。
ウィキペディアには以下の記述があった。 ↓
============
第二次世界大戦(だいにじせかいたいせん、英語: World War II、フランス語: Seconde Guerre mondiale、ドイツ語: Zweiter Weltkrieg、ロシア語: Вторая мировая война)は、1939年から1945年の6年にかけ、ドイツ、日本、イタリアの三国同盟を中心とする枢軸国陣営と、イギリス連邦、フランス、ソビエト連邦、アメリカ、中華民国などの連合国陣営との間で戦われた全世界的規模の戦争。1939年9月のドイツ軍によるポーランド侵攻と続くソ連軍による侵攻、仏英による対独宣戦布告とともにヨーロッパ戦争として始まり、1941年12月の日本と米英との開戦によって、戦火は文字通り全世界に拡大し、人類史上最大の戦争となった。
============
作家筒井康隆はかつて或る小説の中で(だったと思うが)「人間というものは、もともと戦争が好きな生き物なのだ」と言ったことがある。我が人類史の中で『平和』が途絶えた時期は数多いが、では逆に『戦争』・『国際紛争』が絶えて久しい時代など果たして存在したろうか?
憲法などそっちのけでひたすら自衛隊の海外進出に邁進する近頃の安倍政権を見るにつけ、まさにその通りだなと私も実感する次第だが、しかし、一つだけ私には「疑念・疑惑」とでもいうべき想いがある。それは安倍ポンをあそこまで引っ張って行ったのは一体誰なのか、他ならぬ『霞ヶ関中央官僚』の一群ではないかという疑いだ。
彼らは湾岸戦争等中東情勢に関連して米軍サイドから"Show the flag!"とか"Boots on the ground!"とかしきりに言われたことに少なからぬ衝撃を受けていた。それは「金を出すだけではアメリカ様は決して許してくれないんだ!」という認識に基づく衝撃である。
「なんとかしなくちゃな・・」と冷や汗混じりのトラウマに官僚たち総体が捕われているところへ持って来て、政権末期の野田民主党がご丁寧にも任期を1年3ヶ月も残して安倍を担ぎ出してくれたのである。
「これだ!」と彼らは飛びついたのだ。
「軍事バカ・右翼バネ付きの《安倍》なら充分、アメリカの望む方向へと大至急舵を切ってくれるに違いない!」と、そう断じた彼らは「安倍を誘導する使命感(?)」に燃え上がったのではないか。そして事は官僚どもの望む方向へまんまと運んだ。
私は安倍はそれほど頭の切れる人間だとは思っていないので、『豚もおだてりゃ木に登る♪』ではないが、雌伏の数年間安倍は何を学んだのか、彼に入念に知恵を授けた参謀が少なからず存在した筈である。例えば外務省のアメリカ担当などはアメ様の御用聞きそのものなのだ。
が、こんなにしてまで我が日本がアメリカ政府のご機嫌伺いに明け暮れていても、先方の極東戦略の最大の焦点が日本にはないことだけは確かである。
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日米韓の連携、米は重視 北朝鮮制裁一部解除に懸念
朝日新聞2014年7月5日05時00分
米政権は3日、日本政府が北朝鮮への制裁を一部解除したことを受け、北朝鮮の核・ミサイル問題の解決にマイナスの影響が及ぶことへの懸念を初めて表明した。
「(拉致問題をめぐる日朝協議が)北朝鮮の非核化に関する多国間の制裁を犠牲にすべきではない」
ホワイトハウスのローズ大統領副補佐官はこの日、外国の一部報道機関向けの会見でこう切り出した。
米政府はこれまで、拉致問題を人道問題ととらえ、その解決を最優先事項とする安倍政権を支持してきた。いまも、基本的な立場に変わりはないが、本音では、北朝鮮の核・ミサイルの問題に対してマイナスの影響があるとの心配を抱いており、ローズ氏の発言で露呈した形だ。
米国などが北朝鮮と合意した核放棄やミサイル実験の凍結は、ことごとく失敗。核問題をめぐる6者協議が停滞し、米韓が手をこまねいているなか、北朝鮮が日本に接近して揺さぶりをかけているとの警戒は強い。ローズ氏は「(制裁の一部解除が)核問題の責任を免れるものではないというメッセージを北朝鮮に送ることが重要だ」と語った。
米国には、核開発やミサイル実験をやめない北朝鮮に対しては「さらなる制裁が必要」(米政府高官)との考えがある。中国政府には北朝鮮へ圧力を強めるよう求めており、米下院外交委員会は北朝鮮への制裁強化を求める法案を可決している。
ローズ氏は、北朝鮮への対応の前提として「政治・経済的に孤立させ、核開発に反対する同盟国の結束に直面していることをわからせることだ」と指摘。日朝の拉致問題の進展は見守りつつ、核・ミサイル問題では日米韓が連携することが重要との考えを強調した。(ワシントン=奥寺淳)
============
以上朝日新聞からの引用終わり。
以下は田中宇の国際ニュース解説(7/3)からの引用です。 ↓
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田中宇の国際ニュース解説 無料版 2014年7月3日 http://tanakanews.com/mail/
●最近の田中宇プラス(購読料は半年3000円)
クルド独立機運の高まり http://tanakanews.com/140630kurd.php
世界の決済電子化と自由市場主義の衰退 http://tanakanews.com/140627cashless.php
イランの台頭と中東政治の行方 http://tanakanews.com/140622mideast.php
━━━━━━━━━━━━━━━━━
★集団的自衛権と米国の濡れ衣戦争
━━━━━━━━━━━━━━━━━
7月2日、日本政府が、現行憲法に集団的自衛権が存在していると解釈する
ことを閣議決定した。世界的に見ると、ほとんどの国が、同盟国や親密国との
間で集団的自衛権を持っている。今回の私の疑問は、日本政府がこれまで政府
の憲法解釈で「持っていない」ことにしていた集団的自衛権を、なぜ今の時期
に「持っていること」に変更するのかについてだ。
戦後の日本は、米国に対して「弱いふり」を続け、それによって米国に守っ
てもらわねばならないという対米従属の状態を続けるのが国家戦略だった。米
国は1970年代に在日米軍を撤退しようとしたが、日本が「自衛隊はまだ弱
い」「憲法で戦争できないことになっている」と言って引き留め続けた。対米
従属は、米国が日本の「お上」であり、日本の官僚機構がその下僕として(お
上の意志の解釈権を保持して)国民とお上の間に挟まって事実上の行政権力を
保持し、国会を無力化して官僚隠然独裁を続けるために必要だ。日本国憲法に
集団的自衛権がないとする政府の解釈は、対米従属の基盤となる「弱いふり」
戦略の基本だった。
日本は対米従属をやめることにしたのか。そんなことはない。むしろ逆だ。
米国がイラク占領やテロ戦争で失敗し、米国自身の覇権意欲や財政力が減退し
ている中で、日本政府は何とか米国に見捨てられないようにしようと必死にな
っている。沖縄の辺野古で米軍基地の建設を強行することにしたのが一つの例
だ。日本は、対米従属を維持するために仕方なく集団的自衛権を持つことにし
たと考えるのが自然だ。官僚機構と関係ない安倍首相の意志だという見方は正
しくない。安倍の外交政策を決めている側近は外務省の関係者ばかりだ。官僚
機構を潰そうとした民主党政権が逆に官僚機構に潰された後、官僚機構の言い
なりになる前提で始まったのが安倍政権だ。おそらく安倍は、4月にオバマが
訪日した際、集団的自衛権を持つことを強く要求されたのだろう。
米国は91年の湾岸戦争以来、日本に集団的自衛権の行使を可能にして米軍
が世界に侵攻する際に一緒に出てこれるようにしろと言い続けてきた。その圧
力はしだいに強くなり、日米安保体制を維持するには、集団的自衛権の行使を
可能にするしかないと外務省など官僚が判断し、官僚の傀儡色が強い安倍政権
が続いている間にやってしまおうということなのだろう。
世界的に、集団的自衛権の代表的なものはNATOの規約5条だ。一つの加
盟国が攻撃されて反撃する場合、他の加盟国は要請されたら参戦する義務があ
る。01年の911テロ事件で、米国は「アルカイダから攻撃された」と表明
し、NATOに5条の発動を要請し、これに応じてアフガニスタンへの侵攻と
占領がNATOによって行われた。あれから13年、NATOのアフガン占領
は失敗で、タリバンやその他のイスラム過激派をほとんど弱体化できないまま、
今年末までにNATO諸国の軍が撤退する。米国の傀儡のはずのカルザイ政権
は、米国の言うことを全く聞いてくれなくなっている(最近選挙がおこなわれ、
近く政権交代する予定だが、選挙結果でもめている。)。
http://tanakanews.com/100207afghan.php
ドイツ・後悔のアフガン
03年のイラク戦争は、米国が単独覇権主義を掲げ、国連やNATOによる
侵攻を拒否して単独侵攻を目指したため、米国は他国に集団的自衛権の行使を
求めなかったが、英国、豪州、ポーランドが、米国との関係を重視して参戦し
た。日本も自衛隊が戦後の占領に参加した。米国がイラクへの侵攻を世界に容
認してもらうには、イラクが米国に対して脅威を与えていることを証明する必
要があったが、米政府は稚拙な説明に終始し、イラクが大量破壊兵器を持って
いるという、後で簡単にばれてしまうウソ(ニジェールウラン問題)をついて
侵攻した。集団的自衛権を行使して米国のイラク侵攻に参戦した英国はのちに、
参戦は大失敗だったと結論づけている。
ロシアの影響圏に接するポーランドは、米国から安全保障的な見返りを求め
てイラクに参戦した。だが十分な見返りを得られず、今年のウクライナ危機で
も米軍が小規模な巡回軍しか派遣してくれなかった。ポーランド外相が私的な
場で「米国と強い同盟関係を持っても無意味だ。米国はニセの安全観を醸し出
して同盟国に信じさせようとするので、むしろ危険だ」と述べたことが、最近
暴露されている。
http://www.theguardian.com/world/feedarticle/11406409
Report: Polish minister says US ties worthless
日本での集団的自衛権の議論は、敵国が明示的に米国を軍事攻撃して戦争に
なる場合のみを想定しているが、近年の米国の戦争は、そのような古典的な場
合が皆無だ。昨今の戦争はもっとウソに満ちている。派手なビル爆破があった
911テロ事件も、米当局の自作自演性について疑いが全く消えていない。イ
ラク戦争や、他の反米的な中東諸国に対する侵攻や威嚇も、米国が脅威を受け
たことへの反撃ではない。イラク、イラン、シリアに対する侵攻や威嚇は、米
国がかけた濡れ衣に基づいている。
イラク戦争の大失敗が確定するまで、集団的自衛権を自由に行使できる欧州
や中東の親米諸国は、米国の世界支配に協力した方が国益になると考え、米国
の濡れ衣やウソに見て見ぬふりして戦争行為につき合った。だが米国の戦争や
占領はイラクでもアフガンでも失敗し、米国は何の利権も得ずに撤退を決めた。
イランやシリア、リビアに対する威嚇も戦果につながらず、米国に協力した
欧州や中東の諸国は、集団的自衛権を行使して米国に協力することに対して、
大きな疑念を抱くようになっている。日本は、そんな「あとの祭り」的な状況
の中に、のこのこと「うちも集団的自衛権を持ちました」と出ていくことになる。
イラク侵攻前、米政府は「イラクが独裁体制であることが世界的な脅威だ。
いずれ他の独裁諸国も全部侵攻して潰し、武力で世界を民主化する」という説
明(悪の枢軸論)もしていた。今の国際法では「世界民主化」を大義にして戦
争することが許されていないため、米国は、イラクが脅威だという話をでっち
上げてイラクに侵攻したが、米国の「世界民主化」は世界を良くするのだから、
それで良いんだと日本の外務省やマスコミも語っていた。
日本の唯一の同盟国で、唯一の集団的自衛権の行使相手である米国はこの
50年以上、自作自演性や情報歪曲のない明示的な軍事攻撃を受けて戦争をし
たことがない。湾岸戦争はサダムを引っかけてクウェート侵攻させたし、朝鮮
戦争時の金日成の南進も引っかてやらせた観がある。日本による真珠湾攻撃も
米英による誘発だ。
米国は、外国から本土を攻撃される可能性が非常に低い。北朝鮮を含め、挑
発もされていないのにいきなり米国に弾道ミサイルを撃ち込む国などない。米
国が自国の防衛だけを考えて軍事計画を立てるなら、日本や韓国への軍事駐留
も不要だし、今よりずっと少ない軍事力や軍事費で十分だ。しかし、米国は覇
権国だ。英国やイスラエルなどが、覇権を内部から牛耳ろうとうごめいてきた。
外部勢力に牛耳られなければ、米国は第二次大戦後、早々に安住できる孤立
主義に戻りたがり、もっとはっきり覇権を多極化したがっていただろう。
米国を動かして世界に軍事駐留させるには、純然たる自衛だけでは不十分で
「米国が世界を民主化するんだ」「世界の人々の人権を米国が守るんだ」とい
った、米国人が好む思想信条に基づく戦争の論理が必要だ。戦前のナチスや日
本から、ベトコンやサダム・フセインに至るまで、人道的な悪魔として描かれ
る必要があった。米国の戦争は構造的に、常に「悪」の誇張がつきまとう。誇
張の度合いや過激さは、911で一気に強まった。世界の同盟諸国は近年、そ
の誇張にふりまわされ、へとへとになっている。日本はこれまで「うちは例の
憲法がありますから」と言って関与を最小限にしてきたが、米国はその戦法を
許さなくなっている。
イラクとアフガンの失敗以来、米国は外国への侵攻を嫌がっている。当面、
米国は海外派兵をしないだろう。しかし長期的に見て、日本が対米従属できる
状況が続く限り、つまり米国が覇権国である状態が続く限り、また米国が侵攻
をする可能性があり、その場合、開戦事由に不可避的に濡れ衣や誇張が含まれる。
もう一つ興味深いことは、日本の軍拡を受けて、米国で、安倍の日本が米国
を引っぱり込んで中国と戦争させるのでないかという懸念が出ていることだ。
そもそも日本に尖閣諸島を国有化することを扇動して日中対決を煽ったのは米
国側(ヘリテージ財団)なので、米国側の懸念はマッチポンプくさいが、日本
の官僚機構が、米国に捨てられて対米従属をやめねばならないぐらいなら、中
国と戦争して米国を引っぱり込んだ方がましだという「日本版サムソン・オプ
ション」を隠し持っていても不思議ではない。
============
引用終わり。
中近東の人間は異教徒だし軍人・民間人の別無くどんどん殺して構わないとするアメリカと、一方中近東の油だけは「シーレーン」を断固死守して是が非でも運んで来なければならないとする日本が、ここで共同作戦を採るようになったら一体どんな結論が導かれるのか、「平和ボケ」も極致に達して安倍ポンにいいように欺かれている我々この国の国民も少しは考えてみなければならないだろう。
毎日新聞2014年07月05日東京夕刊
【ロンドン坂井隆之】第一次世界大戦の開戦から100年を記念し、欧州の新聞紙上などで活躍する現代の漫画家らが当時の世相を描いた作品展「1914デイ・バイ・デイ・カトゥーン」が、ロンドン市内の漫画博物館で開かれている。当時のニュースなどを題材に、総力戦へ突き進んだ時代の「空気」を再現している。
参加しているのは英独の新聞などで活躍する風刺漫画家やイラストレーターら12人。大戦のきっかけとなったサラエボ事件が起きた1914年6月28日から、英国がドイツに宣戦布告した同年8月4日までの6週間の出来事をテーマに、それぞれが漫画やイラストを描いた。
アイルランドで起きた英軍による住民殺害事件や、英植民地だったインドの兵士の実態、当時の指導者の無責任ぶりなど、現在ならではの視点による作品も多い。同時に展示されている当時の漫画との比較も興味深い。
アニータ・オブライエン館長は「人々の本音を映し出す一方で、当時の漫画は戦意高揚や敵への憎悪を高めるためにも使われた。現在の幅広い視点で描いた作品と並べて見ることで、よりリアルな大戦前夜の雰囲気が伝わると思う」と話す。
============
以上毎日新聞からの引用終わり。
今から百年前の開戦だというのだから、第一次大戦は開戦が1914年で終結したのが1918年だということになる。
一方第二次世界大戦はというと、それから21年後の1939年9月のドイツ軍ポーランド侵攻から大日本帝国の全面降伏の1945年まで続いたことになる。21世紀が「戦争の世紀」だと呼ばれる所以である。
ウィキペディアには以下の記述があった。 ↓
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第二次世界大戦(だいにじせかいたいせん、英語: World War II、フランス語: Seconde Guerre mondiale、ドイツ語: Zweiter Weltkrieg、ロシア語: Вторая мировая война)は、1939年から1945年の6年にかけ、ドイツ、日本、イタリアの三国同盟を中心とする枢軸国陣営と、イギリス連邦、フランス、ソビエト連邦、アメリカ、中華民国などの連合国陣営との間で戦われた全世界的規模の戦争。1939年9月のドイツ軍によるポーランド侵攻と続くソ連軍による侵攻、仏英による対独宣戦布告とともにヨーロッパ戦争として始まり、1941年12月の日本と米英との開戦によって、戦火は文字通り全世界に拡大し、人類史上最大の戦争となった。
============
作家筒井康隆はかつて或る小説の中で(だったと思うが)「人間というものは、もともと戦争が好きな生き物なのだ」と言ったことがある。我が人類史の中で『平和』が途絶えた時期は数多いが、では逆に『戦争』・『国際紛争』が絶えて久しい時代など果たして存在したろうか?
憲法などそっちのけでひたすら自衛隊の海外進出に邁進する近頃の安倍政権を見るにつけ、まさにその通りだなと私も実感する次第だが、しかし、一つだけ私には「疑念・疑惑」とでもいうべき想いがある。それは安倍ポンをあそこまで引っ張って行ったのは一体誰なのか、他ならぬ『霞ヶ関中央官僚』の一群ではないかという疑いだ。
彼らは湾岸戦争等中東情勢に関連して米軍サイドから"Show the flag!"とか"Boots on the ground!"とかしきりに言われたことに少なからぬ衝撃を受けていた。それは「金を出すだけではアメリカ様は決して許してくれないんだ!」という認識に基づく衝撃である。
「なんとかしなくちゃな・・」と冷や汗混じりのトラウマに官僚たち総体が捕われているところへ持って来て、政権末期の野田民主党がご丁寧にも任期を1年3ヶ月も残して安倍を担ぎ出してくれたのである。
「これだ!」と彼らは飛びついたのだ。
「軍事バカ・右翼バネ付きの《安倍》なら充分、アメリカの望む方向へと大至急舵を切ってくれるに違いない!」と、そう断じた彼らは「安倍を誘導する使命感(?)」に燃え上がったのではないか。そして事は官僚どもの望む方向へまんまと運んだ。
私は安倍はそれほど頭の切れる人間だとは思っていないので、『豚もおだてりゃ木に登る♪』ではないが、雌伏の数年間安倍は何を学んだのか、彼に入念に知恵を授けた参謀が少なからず存在した筈である。例えば外務省のアメリカ担当などはアメ様の御用聞きそのものなのだ。
が、こんなにしてまで我が日本がアメリカ政府のご機嫌伺いに明け暮れていても、先方の極東戦略の最大の焦点が日本にはないことだけは確かである。
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日米韓の連携、米は重視 北朝鮮制裁一部解除に懸念
朝日新聞2014年7月5日05時00分
米政権は3日、日本政府が北朝鮮への制裁を一部解除したことを受け、北朝鮮の核・ミサイル問題の解決にマイナスの影響が及ぶことへの懸念を初めて表明した。
「(拉致問題をめぐる日朝協議が)北朝鮮の非核化に関する多国間の制裁を犠牲にすべきではない」
ホワイトハウスのローズ大統領副補佐官はこの日、外国の一部報道機関向けの会見でこう切り出した。
米政府はこれまで、拉致問題を人道問題ととらえ、その解決を最優先事項とする安倍政権を支持してきた。いまも、基本的な立場に変わりはないが、本音では、北朝鮮の核・ミサイルの問題に対してマイナスの影響があるとの心配を抱いており、ローズ氏の発言で露呈した形だ。
米国などが北朝鮮と合意した核放棄やミサイル実験の凍結は、ことごとく失敗。核問題をめぐる6者協議が停滞し、米韓が手をこまねいているなか、北朝鮮が日本に接近して揺さぶりをかけているとの警戒は強い。ローズ氏は「(制裁の一部解除が)核問題の責任を免れるものではないというメッセージを北朝鮮に送ることが重要だ」と語った。
米国には、核開発やミサイル実験をやめない北朝鮮に対しては「さらなる制裁が必要」(米政府高官)との考えがある。中国政府には北朝鮮へ圧力を強めるよう求めており、米下院外交委員会は北朝鮮への制裁強化を求める法案を可決している。
ローズ氏は、北朝鮮への対応の前提として「政治・経済的に孤立させ、核開発に反対する同盟国の結束に直面していることをわからせることだ」と指摘。日朝の拉致問題の進展は見守りつつ、核・ミサイル問題では日米韓が連携することが重要との考えを強調した。(ワシントン=奥寺淳)
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以上朝日新聞からの引用終わり。
以下は田中宇の国際ニュース解説(7/3)からの引用です。 ↓
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田中宇の国際ニュース解説 無料版 2014年7月3日 http://tanakanews.com/mail/
●最近の田中宇プラス(購読料は半年3000円)
クルド独立機運の高まり http://tanakanews.com/140630kurd.php
世界の決済電子化と自由市場主義の衰退 http://tanakanews.com/140627cashless.php
イランの台頭と中東政治の行方 http://tanakanews.com/140622mideast.php
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★集団的自衛権と米国の濡れ衣戦争
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7月2日、日本政府が、現行憲法に集団的自衛権が存在していると解釈する
ことを閣議決定した。世界的に見ると、ほとんどの国が、同盟国や親密国との
間で集団的自衛権を持っている。今回の私の疑問は、日本政府がこれまで政府
の憲法解釈で「持っていない」ことにしていた集団的自衛権を、なぜ今の時期
に「持っていること」に変更するのかについてだ。
戦後の日本は、米国に対して「弱いふり」を続け、それによって米国に守っ
てもらわねばならないという対米従属の状態を続けるのが国家戦略だった。米
国は1970年代に在日米軍を撤退しようとしたが、日本が「自衛隊はまだ弱
い」「憲法で戦争できないことになっている」と言って引き留め続けた。対米
従属は、米国が日本の「お上」であり、日本の官僚機構がその下僕として(お
上の意志の解釈権を保持して)国民とお上の間に挟まって事実上の行政権力を
保持し、国会を無力化して官僚隠然独裁を続けるために必要だ。日本国憲法に
集団的自衛権がないとする政府の解釈は、対米従属の基盤となる「弱いふり」
戦略の基本だった。
日本は対米従属をやめることにしたのか。そんなことはない。むしろ逆だ。
米国がイラク占領やテロ戦争で失敗し、米国自身の覇権意欲や財政力が減退し
ている中で、日本政府は何とか米国に見捨てられないようにしようと必死にな
っている。沖縄の辺野古で米軍基地の建設を強行することにしたのが一つの例
だ。日本は、対米従属を維持するために仕方なく集団的自衛権を持つことにし
たと考えるのが自然だ。官僚機構と関係ない安倍首相の意志だという見方は正
しくない。安倍の外交政策を決めている側近は外務省の関係者ばかりだ。官僚
機構を潰そうとした民主党政権が逆に官僚機構に潰された後、官僚機構の言い
なりになる前提で始まったのが安倍政権だ。おそらく安倍は、4月にオバマが
訪日した際、集団的自衛権を持つことを強く要求されたのだろう。
米国は91年の湾岸戦争以来、日本に集団的自衛権の行使を可能にして米軍
が世界に侵攻する際に一緒に出てこれるようにしろと言い続けてきた。その圧
力はしだいに強くなり、日米安保体制を維持するには、集団的自衛権の行使を
可能にするしかないと外務省など官僚が判断し、官僚の傀儡色が強い安倍政権
が続いている間にやってしまおうということなのだろう。
世界的に、集団的自衛権の代表的なものはNATOの規約5条だ。一つの加
盟国が攻撃されて反撃する場合、他の加盟国は要請されたら参戦する義務があ
る。01年の911テロ事件で、米国は「アルカイダから攻撃された」と表明
し、NATOに5条の発動を要請し、これに応じてアフガニスタンへの侵攻と
占領がNATOによって行われた。あれから13年、NATOのアフガン占領
は失敗で、タリバンやその他のイスラム過激派をほとんど弱体化できないまま、
今年末までにNATO諸国の軍が撤退する。米国の傀儡のはずのカルザイ政権
は、米国の言うことを全く聞いてくれなくなっている(最近選挙がおこなわれ、
近く政権交代する予定だが、選挙結果でもめている。)。
http://tanakanews.com/100207afghan.php
ドイツ・後悔のアフガン
03年のイラク戦争は、米国が単独覇権主義を掲げ、国連やNATOによる
侵攻を拒否して単独侵攻を目指したため、米国は他国に集団的自衛権の行使を
求めなかったが、英国、豪州、ポーランドが、米国との関係を重視して参戦し
た。日本も自衛隊が戦後の占領に参加した。米国がイラクへの侵攻を世界に容
認してもらうには、イラクが米国に対して脅威を与えていることを証明する必
要があったが、米政府は稚拙な説明に終始し、イラクが大量破壊兵器を持って
いるという、後で簡単にばれてしまうウソ(ニジェールウラン問題)をついて
侵攻した。集団的自衛権を行使して米国のイラク侵攻に参戦した英国はのちに、
参戦は大失敗だったと結論づけている。
ロシアの影響圏に接するポーランドは、米国から安全保障的な見返りを求め
てイラクに参戦した。だが十分な見返りを得られず、今年のウクライナ危機で
も米軍が小規模な巡回軍しか派遣してくれなかった。ポーランド外相が私的な
場で「米国と強い同盟関係を持っても無意味だ。米国はニセの安全観を醸し出
して同盟国に信じさせようとするので、むしろ危険だ」と述べたことが、最近
暴露されている。
http://www.theguardian.com/world/feedarticle/11406409
Report: Polish minister says US ties worthless
日本での集団的自衛権の議論は、敵国が明示的に米国を軍事攻撃して戦争に
なる場合のみを想定しているが、近年の米国の戦争は、そのような古典的な場
合が皆無だ。昨今の戦争はもっとウソに満ちている。派手なビル爆破があった
911テロ事件も、米当局の自作自演性について疑いが全く消えていない。イ
ラク戦争や、他の反米的な中東諸国に対する侵攻や威嚇も、米国が脅威を受け
たことへの反撃ではない。イラク、イラン、シリアに対する侵攻や威嚇は、米
国がかけた濡れ衣に基づいている。
イラク戦争の大失敗が確定するまで、集団的自衛権を自由に行使できる欧州
や中東の親米諸国は、米国の世界支配に協力した方が国益になると考え、米国
の濡れ衣やウソに見て見ぬふりして戦争行為につき合った。だが米国の戦争や
占領はイラクでもアフガンでも失敗し、米国は何の利権も得ずに撤退を決めた。
イランやシリア、リビアに対する威嚇も戦果につながらず、米国に協力した
欧州や中東の諸国は、集団的自衛権を行使して米国に協力することに対して、
大きな疑念を抱くようになっている。日本は、そんな「あとの祭り」的な状況
の中に、のこのこと「うちも集団的自衛権を持ちました」と出ていくことになる。
イラク侵攻前、米政府は「イラクが独裁体制であることが世界的な脅威だ。
いずれ他の独裁諸国も全部侵攻して潰し、武力で世界を民主化する」という説
明(悪の枢軸論)もしていた。今の国際法では「世界民主化」を大義にして戦
争することが許されていないため、米国は、イラクが脅威だという話をでっち
上げてイラクに侵攻したが、米国の「世界民主化」は世界を良くするのだから、
それで良いんだと日本の外務省やマスコミも語っていた。
日本の唯一の同盟国で、唯一の集団的自衛権の行使相手である米国はこの
50年以上、自作自演性や情報歪曲のない明示的な軍事攻撃を受けて戦争をし
たことがない。湾岸戦争はサダムを引っかけてクウェート侵攻させたし、朝鮮
戦争時の金日成の南進も引っかてやらせた観がある。日本による真珠湾攻撃も
米英による誘発だ。
米国は、外国から本土を攻撃される可能性が非常に低い。北朝鮮を含め、挑
発もされていないのにいきなり米国に弾道ミサイルを撃ち込む国などない。米
国が自国の防衛だけを考えて軍事計画を立てるなら、日本や韓国への軍事駐留
も不要だし、今よりずっと少ない軍事力や軍事費で十分だ。しかし、米国は覇
権国だ。英国やイスラエルなどが、覇権を内部から牛耳ろうとうごめいてきた。
外部勢力に牛耳られなければ、米国は第二次大戦後、早々に安住できる孤立
主義に戻りたがり、もっとはっきり覇権を多極化したがっていただろう。
米国を動かして世界に軍事駐留させるには、純然たる自衛だけでは不十分で
「米国が世界を民主化するんだ」「世界の人々の人権を米国が守るんだ」とい
った、米国人が好む思想信条に基づく戦争の論理が必要だ。戦前のナチスや日
本から、ベトコンやサダム・フセインに至るまで、人道的な悪魔として描かれ
る必要があった。米国の戦争は構造的に、常に「悪」の誇張がつきまとう。誇
張の度合いや過激さは、911で一気に強まった。世界の同盟諸国は近年、そ
の誇張にふりまわされ、へとへとになっている。日本はこれまで「うちは例の
憲法がありますから」と言って関与を最小限にしてきたが、米国はその戦法を
許さなくなっている。
イラクとアフガンの失敗以来、米国は外国への侵攻を嫌がっている。当面、
米国は海外派兵をしないだろう。しかし長期的に見て、日本が対米従属できる
状況が続く限り、つまり米国が覇権国である状態が続く限り、また米国が侵攻
をする可能性があり、その場合、開戦事由に不可避的に濡れ衣や誇張が含まれる。
もう一つ興味深いことは、日本の軍拡を受けて、米国で、安倍の日本が米国
を引っぱり込んで中国と戦争させるのでないかという懸念が出ていることだ。
そもそも日本に尖閣諸島を国有化することを扇動して日中対決を煽ったのは米
国側(ヘリテージ財団)なので、米国側の懸念はマッチポンプくさいが、日本
の官僚機構が、米国に捨てられて対米従属をやめねばならないぐらいなら、中
国と戦争して米国を引っぱり込んだ方がましだという「日本版サムソン・オプ
ション」を隠し持っていても不思議ではない。
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引用終わり。
中近東の人間は異教徒だし軍人・民間人の別無くどんどん殺して構わないとするアメリカと、一方中近東の油だけは「シーレーン」を断固死守して是が非でも運んで来なければならないとする日本が、ここで共同作戦を採るようになったら一体どんな結論が導かれるのか、「平和ボケ」も極致に達して安倍ポンにいいように欺かれている我々この国の国民も少しは考えてみなければならないだろう。