チワワを飼い始めて三日目、空と名付けたそのコは下痢になり、四日目には、下痢に嘔吐も加わり、近くの海動物病院に予約を入れた。獣医の先生は、手術の予定があり、夕方まで診察を待たなければならなかった。
その数時間の間に空は更に元気がなくなり、起き上がれなくなってしまった。獣医の先生に点滴をしてもらえば安心だと考えていたが、まさかペットベッドのまま運ばねばならない程になるとは、考えていなかった為、少々慌てた。
獣医の小野塚先生は朗らかな先生で、慌てることなく適切に処置してくださった。まず、点滴注射を打ち、ヨークシャテリアも低血糖になりやすい話をしながら、すぐ起き上がれなかったチワワの空をみて、ロイヤルカナンの退院サポート用の肉缶を開けた。
途端に空はムックと起き上がり、隣の机の上の肉缶に向かって飛んでいこうとした。落っこちたら大変だと、母と私は急いで空を捕まえた。そしてその様子に一安心した。小野塚先生から喜々として肉のムースを食べるこの食欲があれば大丈夫だろう。
後で調べてみると、チワワの低血糖はもの凄く怖いことらしかった。命を落とすこともあるらしい。
小野塚先生にどうしますかと、聞かれた母は肉缶をお願いし、2缶(空の体重1.2キロなら4日間の量)買って帰った。値段も立派だったが、新しい環境に馴染む間のご褒美になった。
先生から食事を小分けにするように指示があり、それから二週間後の今も、一日4回に分けてあげている。一日の総量さえ同じなら小分けで構わないこと、1.2キロの空の体を触り体重も丁度良いとのことだった。
今では下痢も治まり、あとは我が家に馴染んでくれるのを待つばかり。退院サポートの肉缶が大好きな空の為に、ブリーダーさんから頂いたドライフードにジャムの好きだったプロフェッショナルバランスの鶏ささみのウエットパウチを取り入れることにした。
実は、空を飼うことになるすぐ前に、海動物病院の隣のペットショップに母と私と妹は行ったばかりだった。月齢の経ったチワワの女のコがいたからだ。しかし午後に行くと、すでに午前中に飼い主が決まり、ガラスケースの向こうでそのチワワの女のコはすやすや眠っていた。
縁とは、そういうものなのかもしれない。そこに空がお世話になるとはその時は想像もしていなかった。
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