2023/11/15付ブログ記事「続: 徳島県南部の高規格道路の整備状況について」の続きです。
>牟岐バイパス・・・用地進捗率:約82%、事業進捗率:約73%
この牟岐バイパスが、2023/12/7に開催された令和5年度第3回四国地方整備局事業評価監視委員会において評価対象となっています。
https://www.skr.mlit.go.jp/kokai/project_evaluation/r5/3rd/pdf/4-3-1.pdf
現在の国道55号が通っている牟岐町の市街地の大半は南海トラフ地震の津波浸水想定区域となっており、周辺には大型車両の通れる迂回路がありません。そのため、市街地の西側の高台を通ることにより津波浸水を回避すべくバイパスが計画され、2004年に事業化されましたが、用地買収の開始はその8年後の2012年にずれ込み、翌2013年に工事着手となりました。これに合わせ徳島県立海部病院が2017年度内に牟岐バイパス沿いに移転しており、2026年度内には牟岐町役場や海部消防組合消防本部も牟岐バイパスより山側に移転予定です。
ただ、延長が僅か2.4kmにもかかわらず、進捗ははかばかしいとはいえません。2020年度末時点で「用地進捗率=82%・事業進捗率=49%」だったのに対し、2022年度末時点は「用地進捗率=82%・事業進捗率=73%」となっており、2年間で用地買収がほとんど進んでいない計算になります。資料には完成済みのトンネル・橋脚・高架橋の写真が掲載されていますが、未着手区間も結構あるはずですね・・・
一方、事業費のほうは前回2021年度の評価時より49億円増(ほぼ1.5倍)の144億円に膨れ上がりました。内訳は、
① 北側の国道55号との分岐合流付近において、地下水への影響を踏まえて道路構造を変更・・・15億円増
② ①の南側の国道55号・JR牟岐線を越える区間の橋梁部について、道路橋示方書改訂に伴い橋梁下部工・基礎工等を変更・・・11億円増
③ 計4か所のトンネルについて、脆弱な地山状況が判明したためトンネル構造を変更・・・23億円増
となっています。4か所のトンネルのうち貫通したのは1か所のみで、残り3か所は設計完了段階で実際の工事には未着手ということがわかります。
果たして、牟岐バイパスの開通は役場や消防本部の移転までに間に合うでしょうか?