神戸港のポートタワー<2024/4/26にリニューアルオープン>脇には、立派な旅客船ターミナル「中突堤中央ターミナル(愛称=かもめりあ)」があり、その前には3本の旅客船発着用桟橋があり同時に6隻の船が発着できるようになっています。
1990年代半ば時点ではここに神戸港遊覧船のほか淡路島・徳島などとを結ぶ高速船航路が発着しており、高速船ターミナルとしての活用を前提に建設され1998/3/28にオープンしましたが、皮肉なことにその1週間後に明石海峡大橋が開通したため高速船航路はほとんど廃止になってしまい、現在に至るまで専ら神戸港遊覧船用ターミナルという本意ではない使われ方をしています。
近年は観光目的の路線バス(シティーループ・ポートループ)との結節点という役割も担うようになっていますが・・・
さて、旅客船発着用桟橋には、神戸港遊覧船以外に「帆船みらいへ」の母港としての役割があり、航海がないときはここに係留されています。
この船はもともと1993年に大阪市が就航させた航海練習船「あこがれ」で、 当時は一般市民が航海を体験できた日本で唯一の帆船である一方、世界各地のイベントに参加し、ついには世界一周航海を達成するなど活躍していました。しかし、橋下市長による市政改革の一環として2012年に航海練習事業は廃止され、船も売却されました。その後一般社団法人グローバル人材育成推進機構の手にわたり、船名を「みらいへ」に変更の上2014年7月から神戸港を母港に体験航海事業を再開しました。神戸市公式サイトには、2023/9/30に同法人と協力の上この船を活用した神戸港バックヤードツアーを実施するための参加者を募集する旨のページが残っています。
https://www.city.kobe.lg.jp/a44800/023431958435.html
しかし・・・
2025年大阪・関西万博を盛り上げるスペシャルサポーターに任命されていた再生可能エネルギーだけで航行するゼロエミッション船「ポリマ号」が座礁して航海できなくなってしまい、その後任として「帆船みらいへ」に白羽の矢が当たりました。2023/10/24に引継式が行われました。同時に、所有者も特定非営利活動法人ゼリ・ジャパン(サラヤ株式会社の社長が理事長を務め、ポリマ号のプロジェクトを支援していました)に変わっています。
https://www.expo2025.or.jp/news/news-20231024-02/
https://www.sankei.com/article/20231024-G3U4FG4EVZPJTEB7UWPOVQ6IUA/
博覧会協会のリリース文には「大阪・関西万博のスペシャルサポーターとして、今後さまざまなプロモーション活動にご協力いただきます。」とありますが、その後半年を経過してもこの船が国内外でプロモーション活動に参加したという報道はなされておらず、博覧会協会のサイトに唯一以下の記事が2024/2/22付で掲載されたのみです。
2025年日本国際博覧会 特定非営利活動法人ゼリ・ジャパンへの感謝状贈呈式を実施 (この時には天保山と夢洲沖間を航行したそうです)
そして、2024/4/27も「帆船みらいへ」は母港である神戸港中突堤中央ターミナル前の桟橋に係留されていました。確かに船には所有するNPO法人およびサラヤ株式会社の旗が掲げられていましたが、ミャクミャクなど大阪・関西万博を想起させる装飾は見当たりませんでした。既に万博開幕まで1年を切っていますが、これまでは諸々の調整期間で、GW明け以降に本格的なスペシャルサポーターとしての活動が始まるのかもしれませんけど。
<4/30追記>
ナイコ〜海運CH(日本内航海運組合総連合会の公式YouTubeチャンネル)に、「帆船みらいへ」の動画がアップされています。
https://www.youtube.com/watch?v=ZT-S7Hmc_2Q
所有者が一般社団法人グローバル人材育成推進機構からNPO法人ゼリ・ジャパンに変わる本当に直前の2023/10/14~15に、広島港を舞台に小中学生対象の帆船みらいへ体験乗船イベントが開催されており、その時の模様です。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000002126.000077920.html
https://uminohi.jp/news/cpr-2022-1022-8168/
果たして、大阪・関西万博閉幕後は再びこのような用途に戻れるのでしょうか?