群馬県で路線バスを運行する東武グループの関越交通は、2023/3/23付で国土交通省に運賃値上げを申請しました。
https://kan-etsu.net//files/libs/10845//202303231109449833.pdf
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOCC242BO0U3A320C2000000/
実施予定日は2023/10/1で、対象路線は原則として全路線ですが、均一運賃路線や市町村地域公共交通会議の対象となるコミュニティ系の路線は除外となります。
上限運賃の値上げ率は平均19.66%ですが、他社と同様、実施運賃ベースの値上げ率は10~12%に抑制することを予定しています。
ただ、リリース文に記載されている「主要区間における現行・改定運賃比較表」を見ると、
1.実施運賃ベースで大幅値上げ(最大倍額)
2.実施運賃ベースではそれほど値上げされないが、上限運賃では大幅値上げ
になるケースが存在することがわかります。
<1.のケース>
現在の初乗り運賃は、以前に立案した「短区間でもバスに乗ってもらい増収を図る」施策に基づき全社的に100円としていますが、今回の値上げを機に他社と同じレベルの180〜200円に引き上げる予定です。
なお、前橋市では、中心市街地で運賃100円均一のコミュニティバス「マイバス」を関越交通に委託して運行しています。
https://www.city.maebashi.gunma.jp/soshiki/seisaku/kotsuseisaku/gyomu/5/2/1/2948.html
マイバスは「市町村地域公共交通会議の対象路線」なので、値上げの有無あるいは実施する場合の値上げ幅については別途検討になるのでしょう。
<2.のケース>
群馬県北部の値上げ例として以下の観光路線が例示されていますが、いずれも実施運賃ベースの値上げ率が10%程度なのに対し、申請の上限運賃ベースでは大幅値上げとなります。
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後閑駅 ~ 猿ヶ京間・・・900→1440円(60.0%)
中之条駅 ~ 四万温泉間・・・950円→1340円(41.0%)
沼田駅 ~ 鎌田間・・・1600円→2010円(25.6%)
水上駅 ~ 谷川岳ロープウェイ間・・・760円→940円(23.7%)
水上駅 ~ 湯の小屋間・・・1550円→1910円(23.2%)
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このエリアはかつて東武鉄道のバス部門が運行していた頃に、高崎市・前橋市など群馬県南部エリアより割高な運賃を設置しており、グループの関越交通に移管された後も継続しています。そのため、主に日常的に利用する地元住民の便を図り、割引率の高い尾瀬カードを発売していますが(2022/3/14付ブログ記事「群馬県北部の大幅割引バスカードは一部残ります」参照)、2023/3/31限りの発売終了・2024/1/31限りの利用終了が決定済みです(2023/2/20付ブログ記事「群馬県北部の大幅割引バスカードも終了決定」参照)。今回の値上げではこれを是正せず、観光客が多く利用する猿ヶ京線や四万温泉線はさらに大幅値上げを届け出だけで可能とする布石を打ったことになります。