2023/2/16付ブログ記事「国際興業バスの埼玉県内値上げが間もなく認可へ」の続きです。
2023/2/28時点で、埼玉県内の国際興業バスの運賃値上げはまだ認可されていません(国土交通省・国際興業バスいずれの公式サイトでもアナウンスなし)。
一方、運輸審議会 諮問関係事案の審議状況のページで、【国際興業株式会社からの一般乗合旅客自動車運送事業(乗合バス)の上限運賃変更認可申請事案】の議事概要や配付資料が公開されているので、ピックアップして紹介します。
<第1回の配付資料>
https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/unyu00_sg_000352.html
「事案一覧表」の2ページ目によれば、2021年度時点の国際興業の一般路線バス用車両数は851台で、うち埼玉県内の営業所所属が579台・東京都内の営業所所属が272台となっています。そして、補助金込みの収支率は埼玉県内が83.5%とかなりの赤字なのに対し、東京都内は106.1%(補助金を除外すれば104.2%)となっています。つまり、数字だけ見れば、東京都内(豊島区・板橋区・北区中心)を走る国際興業バスはコロナ禍のもとでも黒字を出しているわけで、当面は現在の220円均一から値上げされることはないかもしれません。
<第2回の配付資料>
https://www.mlit.go.jp/common/001588791.pdf
パブリックコメントの募集結果(2件あり)と、それに対する会社側の回答が掲載されています。
<第2回の議事概要>
https://www.mlit.go.jp/common/001588712.pdf
運輸審議会委員からの「規模の大きい事業者の中にはエリアによって給与体系を変えているようだが、国際興業はそうではないのか」の質問に対し、会社側は以下のように回答しています(カギカッコ内引用)。
「エリアによって給与体系を変えるのは難しいため、以前は、分社化により異なる給与体系を設ける事業者が多かった。しかし、近年の傾向としては、運転者不足の課題があるため、分社化していたところを再度合併し、本社並みに給与を引き上げる事業者が多い」
実際、国際興業自体も2002年に「さいたま国際バス」という子会社を設立し、一部路線の移管や運行管理の受託(さいたま国際バスの社員が国際興業バスを運転したりメンテナンスしたりする)を行っていました。社名には「さいたま」と付きますが都内路線の移管も視野に入れており、当時の埼玉新聞には「東京都内を"さいたま"の社名のバスが走ることになる」と自慢げ?に表現する記事も掲載されていましたが、実際には僅か2年で事業を国際興業本体に戻し会社解散となりました。首都圏の大手バス事業者では1990年代~2000年代に給与水準是正のための地域別子会社設立を競って行っていたものですが、今では再び統合される傾向にあります。