近鉄・阪急電鉄・阪神電鉄・osaka metroの各社では、2024/10/29からほぼすべての駅でクレジットカードやスマホのタッチ決済で乗降できるようになりました(マスターカードは未対応)。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUF095OD0Z01C24A0000000/
https://www3.nhk.or.jp/kansai-news/20241029/2000088750.html
https://news.yahoo.co.jp/articles/49b7bacdf1fde32a4434ec9659080c0a84064dda
インバウンド客がわざわざ交通系ICカードを購入せずとも自前のクレカなどでタッチ決済によりバスや電車を利用可能になるサービスは全国的に広がっていますが、
特筆されるのは、「この4社間の相互乗り入れによる利用にも完全対応していること」です。
タッチ決済による交通機関の利用は世界的に広がっていますが、タッチ決済が主流となっている欧州の都市部ではゾーン制運賃(運営事業者を問わず同一の運賃体系)が採用されています。これに対し、日本では「相互乗り入れの場合、会社ごとに別々の運賃を収受する」のが基本で、1乗車で複数会社分の決済を可能にするためのシステム対応が新たに必要となります。その関係もあり、2022年からタッチ決済が導入されている福岡都市圏では「福岡市地下鉄は全駅・JR九州は門司港~久留米間の全駅で使えるが、同じJR九州でも福岡市地下鉄と相互乗り入れしている筑肥線区間では使えない」状況となっていました。
この対応がようやく本格的に実現し、交通系ICカード同様にシームレスな利用が可能になりました。今後は、相互乗り入れを前提としたネットワークが形成されている首都圏の大手私鉄でも導入が広がる(このブログ記事を書いている時点では東急全線<世田谷線を除く>と京王線の一部駅に留まっています)かもしれませんね。
交通機関におけるタッチ決済の履歴はQUADRAC社が提供する「Q-move」で確認可能ですが、相互乗り入れ分の履歴はやや変則的な状況となっており、システム対応に苦心した形跡が見られます。
https://www.q-move.jp/datadl/Q-move_portal_kansaiinfo(ja).pdf
カード会社が提供するご利用明細書上では、上記4社の1日の乗車分が合算される形で「タッチ決済交通利用/NFC」となっており、会社ごとの利用金額はわかりません。
さて、関西メディアは導入初日に大々的に報道しましたが、上記4社の側では「あくまでインバウンド向け」と割り切っているのか、福岡市地下鉄のように大々的な告知やキャンペーンは行っておらず、一部駅や車内<阪神のみ>で英語を前面に出したポスターが掲示されているくらいです。
また、近鉄・阪急・osaka metroの各社では、駅の自動改札機の一部にタッチ決済とQRコード決済に対応した機器を増設して対応しているのに対し、
<近鉄けいはんな線荒本駅>
<阪急電鉄正雀駅>
<osaka metro天神橋筋六丁目駅>
阪神電鉄のみは自動改札機とは別の個所にタッチ決済対応機器を設置しており、公式サイトでの案内は「改札口の係員にタッチ決済でご乗車いただく旨をお知らせください。係員不在の駅・時間帯は専用リーダー付近のインターホンを通じて、タッチ決済でご乗車いただく旨を駅長室までお知らせください」とあります。
https://www.hanshin.co.jp/information/docs/bb95495d2b8b6001d0a3fd4367766c38c7917573.pdf
このお知らせを受けて、係員が自動改札機の扉を開けて利用者を通れるようにするわけですが、実際の対応機器の設置場所には、これがタッチ決済対応機器である旨のステッカーは貼られているものの、改札を出入りするには係員に連絡する必要があるとは明記されていません。特に係員不在の場合ハードルが高そうな気もします・・・インバウンド客にとっては理解しづらく、外国語での問い合わせにリモートで対応する係員にとっては身振り手振りでの対応ができない
<阪神電鉄高速神戸駅西改札口>
なお、他社に先駆けてタッチ決済を導入した南海電鉄では未導入の駅がまだまだ多く、京阪電鉄ではこのブログ記事を書いている時点では導入予定はありません。
https://www.nankai.co.jp/contents/contactless/map/
https://news.yahoo.co.jp/articles/36b38bd8181feb0e3b3c723c3c3837c9a2d4f6f8
osaka metro御堂筋線と相互乗り入れしている北大阪急行線では、遅れて2025年3月にタッチ決済に対応予定です。
https://www.kita-kyu.co.jp/wp/wp-content/uploads/2024/10/226.pdf
<11/9追記>
阪神電車の駅におけるタッチ決済対応機器利用時の対応(駅係員またはインターホンを通じて自動改札の扉を開けてもらう必要あり)ですが、1週間を経て現地にも掲示がなされました。