竹村英明の「あきらめない!」

人生たくさんの失敗をしてきた私ですが、そこから得た教訓は「あせらず、あわてず、あきらめず」でした。

温暖化問題、普天間問題、こども手当・・鳩山政権は落第点?

2010年03月21日 | 政治
鳩山政権が誕生して、3月16日で半年を超えた。支持率は当初の80%近くから急降下して30%台にまで落ち込んだようだ。急速に民心が離れて行っている。ただその民心が自民党に向かっているわけでもなく、自民党の支持率は依然として民主党より低い。

つまり多くの民心が放浪をはじめた。自分の思った政治と違う!そう思っている人が圧倒的多数。でもその人々にとって、自民党政治はそれ以前に「違う!」のだ。そのことを理解せずに、改めて古い自民党政治を旗色鮮明に対置することで「違いを明確にしよう」という谷垣さんに、自民党内部からブーイングやあきれ果てた感情が出てくるのはやむを得ないことだ。

ただ自民党の人たちはなかなか自民党は捨てない。何はなくても大きなブランドなのだ。そこを見誤って早々離党した鳩山邦夫氏は、貴重な政界再編の動きのキーパーソンとなり得るカードを失った。「カード」が何であるか・・が理解できない人には、政界の荒波は乗り切って行けない。舞台の端で「正論」を述べることができる程度だ。

「カード」の何であるか、その効能を知りつくしているのが、亀井さんだろう。まるでキャスティングボードを握っているかのように「やりたい放題」である。しかし、亀井さんの場合、押し時、引け時を良く踏まえている。政権が割れてしまったら元も子もなくなることを踏まえつつ、「割ることも辞さず」というカードを切る。

間違ってしまったのが下地氏で、強引に普天間代替基地を辺野古に持って来ようとしている。沖縄出身の彼がなぜ・・と思う方もあるかもしれないが、もともと沖縄は平和派と土建派に二分される地域。あるときは両者がダブったり、あるときは複雑に入り組んだり。辺野古に関しては、新基地建設というアメリカの思惑は大前提だが、沖縄の土木事業確保という「地元の」思惑もある。下地氏は明らかにその代理人として動いているように見える。

解決策を出したのではなく(過去の経緯から見て、市街地に近い陸上に滑走路を造るという案はもっとも現実的でない。)、土建派にとって最低限必要な要求を突きつけたのだ。

それを政府案の中心軸に据えるという、とんでもない方針を言い出した鳩山内閣は相当に思考停止している。そもそも、日本側が代替基地の選定をし、それをアメリカ側に認めてもらうという「愚かな方針」は誰が考えたのだろう。アメリカ側は、自分が気に入る場所が出てくるまで「ノー」と言い続ければ良いではないか。交渉術としてはもっともへたくそな最低の次元である。

おそらく、岡田外務大臣、北沢防衛庁長官、平野官房長官の三ルートに対するアメリカ側からの執拗な「代替提案を出せ」という突きつけがあったのだろう。SACO合意を前提と考えると、日本側は「そちらからまず出せ」と言えなかったのだろう。SACOは沖縄から米軍を撤退させる最初のスタートであり、良いものだという頭があるからだろう。しかし合意から10年以上のいま、その合意はほとんど実現されていない。その原因が普天間代替基地の問題だというのだが、それはそのような無理な解決策を最初に置いたアメリカ側の問題でもある。

国際約束であるから政権が変わったからと言って安易に変更や破棄はできないが、だからといってまったく考え方が違う政権が約束したことを、新政権が守り通さねばならないという理屈もない。それでは「政権交代」の意味はなくなる。政権が変われば外交方針は変わるものなのだ。

日本側が、日米の同盟関係も、地位協定も、SACOも見直したい、と通告すれば、ではどうしようか・・という話合いがはじめられたはずである。アメリカ側はそれを想定し準備していたが、日本側からその明確な表明がなく、どうも変えなくて良さそうだぞ・・となった。最初に明確な表明をしないという、「あいまいな国」の態度が、アメリカの今の強硬姿勢を呼び込んだともいえる。

同じような「あいまいさ」が地球温暖化問題でも、こども手当の問題でも起こっている。あげれば、もっともっと、天下り法人への仕分けの仕方、高速道路の無料化、教科書無償化などなど、いっぱい出てくるだろう。個別の話は別の機会とするが、どうしてそうなるかの観測だけ示したい。

一つは閣僚である。適材適所では、明らかにない。
二つ目は「既得権益」の問題である。自民党時代と同じように政権政党は自分の地盤に税金を引っ張って行くのが当たり前と思っている議員が多いのであろう。
三つ目は官僚との関係である。霞ヶ関に3人かそこらで乗り込んで行って「政治主導」などと言ってみてもできるわけがない。

三つを通じて言えることは、要するに再び官僚主導に戻っているということ。
小沢さんの一元支配だとか、そんなのは筋違いで、あるとすれば以上の弊害に小沢さんが気づいていないという問題である。

政府内にもっと多くの議員を入れろという意見があるが、議員を100人入れてもおそらくダメ。官僚は専門家である。その専門に対抗できる人材(つまり民間人材)を入れなければ、議員は良いように官僚に手玉に取られる。
しかも民間人財を「方針決定」のできるクラスから、「下働き」のわかるクラスまでちゃんと「流れ」ができるように入れることだ。課長補佐級を束ねられ、変えられなければ、おそらく霞ヶ関は変わらない。

以上、鳩山政権が及第点か落第点かと言えば、明らかに落第点だ。ただ、だからといって私は直ちに政権交代を求めるという考えはない。いまの現状は、最初から想定できることだからだ。
鳩山政権はまずできるところから「改革」をすべきだろう。まず地球温暖化対策をやろうとしない経産大臣をその問題に詳しい岡田氏にすげ替えるとか、それに変えて秋葉広島市長を外務大臣に招聘してみるとか・・、いろいろ打つ手はあるだろう。




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