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2年くらい前から、『段ボール工場のキカイ損失低減に貢献する』をお客様への
提供価値として定め、戦略ストーリーづくりに取り組んでいます。
その中でも、メンテナンスサービス面の取り組みを優先させてきました。(というか、
それ以外の部門で、どうこの提供価値につなげていくかが、私自身明確に描けていな
かったというのが正直なところです。)
でも、老朽化した倉庫の建て替えプロジェクトがきっかけで、製造・調達部門での
モノと情報のタイムラグ解消というテーマに取り組み始めました。きっと機械の組立の
リードタイム短縮につながり、お客様のキカイ損失低減にもつなげられるよう、来年
さらに追及します。
しかし何と言っても、本丸はi機の開発です。
機械の販売はISOWAにとってゴールではない、それはスタート、つまりそこから
始まる20年、30年という機械をお使い頂く期間の出発点ですから、i機開発は
すべての大元。どう顧客提供価値につなげるか、思案のしどころです。
そんな折、何か新たな気づきはないかと、
5年前に読んだこの本をもう一度読み返してみることにしました。
「ブランドイメージを築き上げるのはあくまでもの作りの思想とそれを
体現する製品である。」
まさにその通り。
一旦開発スケジュールが設定されると、HOW一辺倒になってしまうけど、もの作りの
原点は What、Whyです。
改めてこの本を読んで、マツダの戦略からISOWAが学ぶべきポイントは:
・世界のクルマ業界で、マツダはマイナープレーヤーである。
・だからすべての要素技術でチャレンジすることはできない。
・だからハイブリッドやEVは止め、既存の内燃機関の改良に集中する。
・大きな市場セグメントは狙わない。狙えない。
・狙うターゲットは、『車にこだわりを持ち、運転に歓びを感じるけど、
すごいスピードでぶっ飛ばすのではなく、車との対話を楽しみながら、
日常のドライビングに楽しさを味わうような人』。 まさに私です。
・だからハイパワーの高性能モデルは作らない。むしろ同排気量の他社製の
車より控えめでいい。
・こうしてお客様を絞ることによって、「そんなマツダが私は一番好き」と
マツダを強く支持してくれる人のためのクルマを作り、「多少高くても、
私はマツダを買う」。
・これによって世界シェアを1.5%から2%にまで高める。
自分で調べてみたら、
たった0.5%のシェアアップでも、年間40万台に相当します。
ちなみにマツダの当時の年間世界販売台数は150万台ですから、
40万台の上積みでも25%以上の生産台数アップという大きな
ボリュームです。
・ターゲットを極端に絞り込むので、国内だけでは世界シェア2%は満たせない。
だから当然、世界視野で考える。
・日本人が自ら日本的と思うものを押し付けるのではなく、外国人が
日本的と考えているもの、しかもそれをありがたく思っているものを
日本のアイデンティティとした方が圧倒的に効率的。
箇条書きにしていますが、もちろんこれらは因果論理でつながっています。
マツダという会社は、自社のプレミアム化を真剣に考え、実行しようとしている
数少ない日本メーカーです。 プレミアム化は、当然、車の製造コストもアップします。
だから販売価格もアップします。それでもお客様にYOH(喜んでお金を払ってもらう)
してもらわなければいけません。
本が出て、5年経ちましたが、まだマツダはBMWを超えられていません。
ブランドは一朝一夕にでき上るものではないから。
楠木先生の『逆・タイムマシン経営論』に真似て、この本が出版された5年前、2018年の
データを調べて、今と比較してみました。
全世界での自動車販売台数は5年間で9,000万台から1,000万台くらい増加して1億台。
その中で、マツダは、増加どころか、45万台も減少して110万台。シェアも1%に
低下しています。 厳しいです。
でも、ISOWAがマツダから学べることは、たくさんあると考えています。
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