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私が半世紀前に通っていた母校 名古屋大学教育学部付属中・高等学校。
その後輩である 藤井聡太くんが、
棋王戦の真っ最中に、私が送ったエールの『おかげ』で(笑)先週、タイトルを取り
ました。 コロナで暗いニュースが多い中、明るい話題を提供してくれました。
棋王になった翌々朝の日経新聞のコラムにこんな彼の言葉が紹介されていました。
デビューからの29連勝が止まった際、
「まだ実力的に及びません。むしろこのあたりで『平均への回帰』が
起こるのではないかと」。
藤井くんが言いたかったことは:
これまでの成績はたった29戦だけの結果であって、データとして不十分。
本当の実力じゃない。いずれは棋士の平均的なレベルに落ち着くんじゃないか
と謙遜したそうです。
理詰めで戦う天才棋士らしい言葉だと思う反面、
「『平均への回帰』なんて言い回し、65年生きて来たけど
使ったことないな~」
だって言葉を聞いて意味が分かることと、それを使えるってことはまったく次元が
違います。 それも文書で書くんじゃなく、即興のインタビューで使うって、
どうよ、これ。
でも「さらに驚いた」と、記者のコラムは続きます。
人工知能(AI)と人知の関係を問われた藤井くん、
「数年前にはそういう(将棋)ソフトとの対局は大きな話題になりましたが、
今は対決を超えた共存の時代に入ったと思う。プレーヤーとしてはソフトを
活用することで自分自身が成長できる可能性がある。見ていただく方にも
観戦の際の楽しみの一つにしてもらえたらと思う。今の時代においても、
将棋界の盤上の物語の価値は不変だし、自分としてもそういう価値を伝えて
いけたらと思う」
「盤上の価値は不変」って、しびれました。私の心のど真ん中に剛速球で届きました。
私や多くの人同様、コラムニストも同じ感覚だったんでしょうね。こう締めくくって
いました。
「AI時代の旗手は、81マスの詩学の後継者でもある。」
極めて論理的であるだけじゃなく、文学的でもある。
文武両道ならぬ、文理両道。
「さすが名大附属の教育はすばらしい!」
名大付属の先輩として、かつ同校のスーパーグローバルハイスクール (略して『SGH』)
運営指導委員として、実に誇らしかった。
わが社には、私以外にもう一人名大付属卒のMくんがいるし、娘さんと息子さんが
藤井聡太くんの前後の学年というIくんもいます。
藤井聡太くんには、学校以外にも、杉本先生という将棋の師匠がいますが、この師匠も
ステキですね。
別の新聞では杉本師匠のこんなエピソードを紹介していました。
「私が師匠の門下に入ったとき、兄弟子が4人おり、夜中に買い物に
行かされたりしました。師匠には悪い思い出はありませんけど、
先輩後輩関係では、疑問をもっていました。だから、自分が師匠に
なったときは、先輩だからいばっているとか、後輩は言うことを
聞かなければならないという空気はなくしたかったんです。
純粋に技術を競い合える関係をつくりたかった。」
いいですね~ これが杉本門下の風土なんでしょうね。
テレビで司会者が杉本師匠に:
「一門には昔から、弟子から月謝は受け取らないという代々の決まりがある
そうですね。お弟子さんたちとの稽古の時の自宅での食事や外食時など
すべて師匠が自腹で賄っているそうですが、今後、藤井棋王とはどう
されるんですか?」
と質問が。すると杉本師匠:
「そうですね~ でも棋王ですからね~
これからは割り勘にします」
で一同大爆笑
あの師匠にこの弟子あり。
素晴らしい子弟関係ですね。
身近な2人のお手本?も参考にしながら
頑張りたいと思います。
50年前も、50年経っても、いい学校。
すてきな高校生活になるように祈ってます。