
如水会名古屋支部の5月例会。
今月の講師は、昭和56年社会学部卒 NHK名古屋放送局長の菅さん。

あの大河ドラマ以上のドラマ『坂の上の雲』のエグゼクティブ・プロデューサー
です。これ以外にも、『翔ぶが如く』『ちゅらさん』なども手掛けたそうです。
この菅さん、もうひとつ別の顔があって、同じNHKの『ためしてガッテン』の
小野文恵アナウンサーの旦那でもあるんですって!

「こっちの方が興味ある!」
っていうのはなしね 笑
ドラマの原作 司馬遼太郎さんの小説は「2000万人が買った
本ですが、全8巻あって、すべて読んだ人はその内の1/3とも
言われています。
私はもちろんすべて読んでいますよ。
漫画家の黒鉄ヒロシさんと菅さんが話した時、黒鉄さんが、
「この小説には、実在、フィクション含めて3,000人が
登場するけど、誰もがその中に、
『あ、これはオレだ!』
と思える人物がいるんだよね。
でも10年経って、もう一度読むと、今度は別の人物が
自分だと思える。
それがこの小説の魅力なんだよね」
と語ってくれました。
その時思ったのは、この小説は秋山兄弟と正岡子規の三人が主人公
だけど、本当の主人公は『明治日本』じゃないかと思うようになり
ました。
2001年に制作許可が下り、全編が完成したのが2011年。
司馬さんが全8巻の小説を書き終えるのと同じ年月を要しました。
朝ドラでも、大河ドラマでも、実は、台本は撮影しながら、その
様子を見て、書いています。つまり撮影している2-3本先まで
しかできていないのが普通なんです。
でもこのドラマは壮大な海外ロケもたくさんしているので、
制作費用のことを考えると、何度も同じ場所にロケにはいけません。
何せ、みなさんから頂いている受信料が元ですから 笑
そこで最初に全部台本を書き上げ、それから撮影を開始しました。
と、ひとつの例として、ドラマのある場面を見せてくれました。

それは、秋山真之が松山の浜辺から舟に乗り神戸まで渡り、そこから鉄道で
新橋、そして銀座、最後は兄の好古の住む下宿までたどり着くという7分
少々のシーンでした。
その7分ちょっとだけで、広島の宮島、愛知の明治村、中国・上海、
茨城、福島でのロケと、それにCG(コンピュータ・グラフィック)を
加えているそうです!!
海外ロケでは役者のギャラを節約するため、助監督やヘアーメイクなどが
役者の振りして演じているし、上海のロケでは主人公を演じる本木雅弘と
助監督演じる客引き以外の 人はすべて中国人のエキストラでした。
講演後の質疑応答で、
「一番大変だったことは何ですか?」
という私の質問に、
大河ドラマのように長編のドラマは、役者もスタッフも、
撮影されたものが放映され、それを見ることが、収録を継続
するためのモチベーションになります。
この『坂の上の雲』は、それを上回る、90分×13回の全編を
3年間掛けて放送するという異例のドラマ。撮影開始から最初の
放送までだけでも1年掛かりました。その間、関係者一同、完成
した映像を一切見ることができないんです。そういう状況で
みんなの気持ちを保つことが一番大変でした。
それで仮編集フィルムをつくって、それを見てもらい、何とか
モチベーションを保つことができました。
ドラマづくりも経営も、結局は人なんですね。
講演の時間があまりに足りなくって、残念でなりませんでした。
ドラマ同様、90分×13回シリーズで、全編漏れなく聞きたかったな~
先輩です。
開放講座、聴きたかったな~
コメントも小説、ドラマにならって 2部構成とは、
やるね、野村さん 笑