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今週水曜の日経の朝刊コラム『春秋』。
出だしは、吉田拓郎の『落陽』でした。
この歌に関する思い出は、ブログで一度書いたことがあります。
大学時代の下宿。隣の部屋の東大生のWさん。現役合格して、かつ私より4つ上なのに、
私が2年生になってもまだ学生やってました (笑)
そのWさんが、いつもギター片手に歌っていたのがこの『落陽』。
当時はまったく好きじゃなかったけど、歳を重ねるにつれ、この歌のことを思い出すように
なりました。
その中の一節に有名なこんな行があります。
みやげにもらった~サイコロふた
手の中でふれば~
また振り出しにー 戻る旅にー 陽が沈んでゆく~
作詞した岡本おさみさんの言葉によると、このサイコロをくれた老人は岡本さんが実際に旅先で
会った人でした。息子さんを戦争で亡くし、サイコロ賭博に溺れた流浪の身。
確かに、しっかり歌詞を見直してみると、
女や酒よりサイコロ好きで
すってんてんのあのじいさん
とか、
サイコロころがしあり金なくし
フーテン暮らしのあのじいさん
というフレーズがありました。
その上、
あんたこそがー正直ものさー
この国ときたら~
賭けるものなどないさー
だからこうしてー漂うだけ~
こここそ岡本さんが一番訴えたかった点なんですね。
発表されたのが1973年っていうから、まだまだ反戦活動のなごりがあった時代です。
そういう時代背景の中から生まれた歌。
全然知らりませんでした。 歌は、詩でなく曲で楽しむタイプなので。
同じく岡本さんが作詞した『襟裳岬』でも、
寒い~友だちがー訪ねてきたよー
遠慮はいらないーから~暖まってーゆきなよー
これは戦争で片手を失った民宿のオーナーとのふれあいだそうです。
この『襟裳岬』は1974年の発表。同じ時代ですね。それに作曲が吉田拓郎でした。
同じように戦争の流れを受けているんですね。
このコラムを読んで、私が子どもの頃、街頭で、しばしば出会った傷痍軍人さんたちのことを
思い出しました。
戦争で傷付いた身に真っ白な服をまとい、軍帽を被り・・・
その頃は、この写真に写っている子どもたち同様、あまりピンときていませんでしたが、今思えば、
日本という国は祖国のために戦った元兵隊さんたちに本当に冷たい国でしたね。
では今はどうなんだろう?
北朝鮮のミサイル連射、ウクライナとロシアの戦争、そして台湾を巡る米中の対立。
戦争が徐々に身近になってきている気がします。
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