似た者同士

週末に目を通したいろんな社員の報告の中に、「すごい！」ととりわけ感心するものが
ありました。

それが新入社員のＸくんに関わるものだったので、余計に感心してしまい、今日、
Ｘくんにそのことで声を掛けました。

　「あの改善すごいね」

　「どこで聞かれたんですか？」

　「上司のＹくんの報告書に書いてあったよ。
　　もう少し詳しく話し聞かせてよ」

と切り出したんですが、Ｘくんの説明がややはっきりしませんでした。

そこでよくよく聞いてみると、その改善はＸくんが考え付いたものではなく、先輩たちが
考え、Ｘくんも一緒に改善作業を行ったということが分かりました。

私の早とちりでした。Ｘくん、ごめんね。


でもせっかくなので、Ｘくんとその改善について話し合っている内に、

　「ひょっとしてＸくん、この改善のすごさが十分分かって
　　いないんじゃないのかな～？」

と思ったので、

　「もう一度Ｙくんにこの改善のポイントを聞いて、私に説明
　　してよ」

こうしてちょうど昼休みになりました。


たまたま上司のＹくんを見かけたので、Ｘくんとのやり取りを話そうとしたら、驚いた
ことに、もうさっそくＸくん、Ｙくんに確認に来たそうです。

この『スピードと対話』の実践度、すばらしい！！　

さらにＹくん曰く、

　「Ｘくん、話すのがちょっと苦手なところがありますが、
　　ちゃんとポイント理解していましたよ。
　　すぐに社長に説明に行くと思います」

おお、そうなんだ。ちゃんと理解してるんだ。

と感心してたら、すぐにＸくんがやって来ました。


今度はしっかり説明してくれました。

そこでついでにＸくんにいくつかアドバイスしたら、

　「なかなかうまく説明できないこともあり、自分自身歯がゆく
　　思うケースがたくさんあります」

とちょっと自信無さそうでした。

一旦二人での話は終わりましたが、どうしてももうちょっと話しておきたいと思うことが
あったので、もう一度Ｘくんを呼んで、

　「上司のＹくん、話したり、説明するのが上手だろ」

　「はい、とても分かり易く、指導して下さいます」

　「だろ。でもね、実はＹくん、若かった頃はとても口下手で、
　　話すのが苦手だったんだよ。
　　とてもそんな風には見えないだろ」

　「Ｙさんもそう仰っていました」

　「そう！　自分でもそう言ってたんだ！
　　でもちゃんと努力していったから、今ではあんなに立派に
　　話せるようになったんだよ。
　　だからＸくんもきちんと努力していけば、必ずあんな風に
　　なれるから。
　　そうすればＸくんもＹくん同様、口下手な人の気持ちが
　　分かって、将来、そういう後輩、部下をきっとうまく指導
　　できる先輩になれるよ」

　「はい、頑張ります！」

と明るくなって、持ち場へ戻って行きました。


彼が去ってから、Ｙくんに、

　「Ｘくんに、あなたのこんな話をしたら、

　　　『Ｙさんも同じこと言ってました』

　　って言ってたよ」

と伝えたら、Ｙくん、ニコニコしてました。


ＹくんとＸくん。
すばらしい師弟関係だな。
こういう関係が『世界一社風のいい会社』へつながっていくんです。

ガンバレ、Ｘくん。
応援してやってね、Ｙくん。


作者註）
　冒頭の写真は本文とは一切関係無い写真です。
　本当ですよ。
　でもひょっとすると写真の中の二人にもこんなすてきな関係が存在したり
　して・・・