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少し前に紹介したスコラの柴田さんの最新刊『どうやって社員が会社を
変えたのか』。
読み終えました。
本の前半、いすゞの風土改革の仕掛人の北村さんが当時のいすゞの
問題を感じ、それを壊そうと闘う姿を読んで、とても不思議な気に
なりました。
私がISOWAに入社したのは1985年。
その時感じた前近代的な経営に危機感を覚え、「会社を変えよう」と
思って行動したこと。
それは柴田さんの表現を借りれば、
「いすゞ以前の風土改革と言えば、『会社が社員を変える』
ことを意味した」
まさにこれそのもでした。だから当然、
「全社一律一斉に改善に取り組む」
ものだと信じていて、最初は、
「『やらせた』ことで『やったつもり』になって」いました。
ただその内、
「何かおかしい」
と感じるようになってきたのです。
「近代的なマネジメント手法を採り入れれば採り入れるほど、
現場の活力は失われていきました」
まさにこの通りでした。悪いことには、そもそもその近代的マネジメントを
しっかり理解していたかどうかも怪しいのですから、なおさらです。
そこで、
「活動のための活動にはしないように」
とか
「形式にとらわれすぎないように」
と社員に訴えても、その傾向は変わることなく、とうとう、当時やっていた
いろんな活動、イベント、研修などを一切止めました。
その後、悶々とした時期が続いていた時に、柴田さんの
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この本に出会い、ISOWAの風土改革が始まりました。
つまりいすゞの北村さんは当時の経営が作った会社を社員として変えようと
思ったのに対して、私は、何てことはない、自分がさらに悪くしてしまった
ISOWAという会社を経営者として変えたことなんですね。
そういう意味じゃ、ずい分遠回りしてますね。
でも反省をしっかりした分、結果としては良かったのかもしれません。
その後は、
やらせは絶対にしない
自然体
性善説を信じる
と、とにかく社員満足の向上に努めました。
いすゞさんに対して、ひとつ自慢できることがあるとすれば、反省した後、
つい3年くらい前までの10年間は、スコラさんの力を借りずに、自分たちの
力でやって来たことです。
改革って、内部にあるレベルのエネルギー、推進力がない組織では、いくら
外部から支援があっても、成し遂げることはできないというのが実感です。
丸投げで成功するようなものなんで、風土改革であれ、何であれ、ありえない
ってことですね。
それにしてもほとんど自力でやり抜きましたから、これはISOWAビトの
力です。
その上で、3年くらい前から力を貸してもらうようになりました。
また『風土改革』というように『改革』ですから、
「決してきれいごとばかりではありません」
その通りです。「二重権力構造」とか「派閥抗争」もどきもありました。
『2・6・2の法則』が示す通り、中間の6割の社員は、様子見です。
この6割がどっちに付くかで大勢が決まります。誰しも、我が身大切です
から、それを非難することはできません。
辛い時期、苦しい時期を、支えてくれる仲間がいたからこそ、ここまで
やって来ることができたのです。
その点は、北村さんとまったく同じです。
そして稲生さんの振り返りの部分は何度聞いても胸を打ちます。
社員が掲げた『信頼と安全』というコンセプトが役員会で「何を今さら」と
反対された時、稲生さんが語った言葉:
「役員のみなさんに賛成していただこうとは思っていません。
われわれ技術者がわれわれの意思で実行するのです」
と言い切った場面。カッコいいです。こういうのが本当の『想い』です。
この熱さこそ行動のエネルギーの源です。
その『信頼と安全』について、稲生さんはこうも語ります。
「この場合の『信頼』は、一般的に言われる信頼耐久性の
ことではありません。荷主さんに
『いすゞのトラックで荷物をだしたのだから、
無事な姿で約束の時間に先方に届く』
と思ってもらえるとか、トラックの運転手の家族に
『うちのお父さんはいすゞのトラックで仕事を
しているから、いつも無事に家に帰ってきて
くれる』
と思ってもらえること。
そういう広い意味での『信頼感』です」
そうだ、こういう『広い意味での信頼感』も、ISOWAがお客様に提供
したい『お客様のオペレータの幸せ』に通じるものですね。
柴田さんはこう書いています。
「人は、問題を解決していくプロセスを通じて成長していく。
企業で風土改革が進んでいくということは、自分自身を
マネジメントできる人が増え、経営マインドをもった人が
増えていくということでもある」
「経営マインド」をもったISOWAビトがどれくらいいるだろうか?
確かにこの15年の風土改革を通じて、経営マインドをもってくれた
社員の数はそれ以前と比べたら、大きく増えました。
でもまだまだです。経営マインドをもったISOWAビトの数が
もっともっと増えるように、これからも努力していきます。
稲生さんは、
「いすゞでの改革は、関わった多くの人たちから
プレゼントされた私の人生の宝物」
と言います。
ISOWAは「まだまだ」ではあるけど、でも、私もまったく同感です。
ISOWAでの風土改革は、今いるISOWAビト、そしてすでに
ISOWAを卒業した先達、多くの人たちからプレゼントされた私の
大切な大切な人生の宝物です。
そして私が稲生さんよりもっと幸せなことは、私はまだこの先も改革の道を
大好きな社員と一緒に歩んでいけることです。
どこまで行けるか、そしてこの先に何があるのか分からないけど、一歩ずつ
信じる仲間と一緒にのぼっていきたいな。
本の感想だか、何だか、分からないような読書感想文でした。
今年もよろしくお願いします。
想い半ばで無念さを味わった同志のHさんの分も、しっかり頑張ります。
これからも応援して下さい。
ありがとうございます。
先日の経営者オフサイトで、
「自分でつくった風土を自分で変えている」
という言葉は、とても印象深かったです。
これは、どんな心境なのでしょうか?
先日の経営者オフサイトで、岡村さんが、
「古い価値と新しい価値の新結合」
という表現をしていましたが、私の風土改革の初期は、
「自分で作ってきた風土と、その間違いを認識
し、反省して新しく作ろうという風土の
新結合」
という意味で、自分で作った風土を自分で変えている
と言ったのです。
そして今は、
「社員満足を追求してきたこれまでの風土改革と
それを土台としてお客様満足を追求する風土
改革の新結合」
と目指しています。
ポイントをついたコメントを興味深く拝読しました。
ますます「いい会社」になるようエールを送ります。
北村三郎より。
https://www.facebook.com/#!/kitamura.saburo
私のブログに、ご本人からコメント頂き、光栄です。
それも似顔絵が最も似ている北村さんから!
北村さんのエールに少しでも応えられるよう、さらに
励みます。
今後ともご指導お願い申し上げます。
ありがとうございます。