
昭和36年から私の父とお付き合いが始まった黒澤さんというお客様が86歳で
お亡くなりになりました。
私が黒澤さんのことを知ったのは、今からもう30年近く前。私の人生での
最初のビジネスの師である、当時我が社と技術提携をしていたアメリカの
Koppers社の専務だったMr.Carrollからです。

1970年頃、我が社のコルゲータの導入を検討するため、黒澤さんが我が社の
提携先のKoppers社を訪問しました。
ある晩、ピアノの生演奏が流れるレストランで食事をしていて、突然黒澤さんが
Mr.Carrollに
「キャロルさん、私ここで歌を歌いたい」
と言い出しました。Mr.Carrollは大変驚き、戸惑いましたが、しかし私が尊敬
する世界一の営業マン、何とかお店に頼み込んで、了解を取り付けました。
一体どうなることかと、ドキドキだったそうですが、その時黒澤さんが歌った
のが、”Danny Boy”だったそうです。当時50歳くらいの本当に小柄な日本人が
アメリカの一流のレストランで、堂々と英語で”Danny Boy”を熱唱した。

これがまたお上手だったそうです。歌い終わった途端、レストランに居合わせた
お客様から大喝采

以来黒澤さんはMr.Carrollに強烈な印象を残し、私もアメリカ生活中も、
その後も、Mr.Carrollから何度となく黒澤さんの話を聞いたものです。
もちろん我が社に入社して以降は、生の黒澤さんともお目にかかることが
でき、この逸話を直接ご本人にもお伝えしたことも度々でした。
そんな黒澤さんと14年前、ある結婚式でご一緒した時のことです。
披露宴が盛り上がってきた時、黒澤さんが突然司会の女性に、
「一曲歌を歌わせてくれ」

と頼み始めました。司会は、突然の黒澤さんのリクエストにとても困って
いましたが、そんなことかまわず、黒澤さんとうとう勝手に前へ出て行って、
歌い始めまちゃいました

私にとっては幻だった”Danny Boy”でした。感動しました。みな拍手喝采

とっても知的で、かつ(大先輩のお客様にこんな言い方は大変失礼なんですが、
親愛の情をこめて)お茶目な黒澤さんがお亡くなりになったという知らせを
昨日頂き、真っ先に思い浮かんだのがMr.Carrollでした。

黒澤さんの訃報を連絡したら、すぐ返信


さすが世界一の営業マンのMr.Carrollが長年の友 黒澤さんを偲んで書いた
メールでした

あまりにすばらしいメールだったので、今日大阪へお葬式に出かける時に、
印刷して持参しました。
葬儀が始まる前、運良く、黒澤さんの奥様にご紹介して頂きました。
「こちら、磯輪さんです」
「アー、磯輪さんですか!」
と我が社のこともよくご存知でした。
Mr.Carrollのメールには、1973年に彼が来日した時、黒澤さんの自宅

招かれた時の想い出も記されていたので、思い切って奥様にMr.Carrollから
届いたメールのことをお話し、コピーをお渡ししたところ、
「キャロルさんは我が家にもいらっしゃって、よく憶えています」
とメールのエピソードに涙されました。
30年以上前の出会いの想い出に立ち会うことができ本当に感動しました。
葬儀には、私の父と同じかそれ以上黒澤さんとお付き合いの深かった、
我が社の元常務だった太田さんにも、父が声を掛けて、三人でお盆のUターン
ラッシュの真っ只中、大阪まで出かけましたが、太田さんも、
「本当にお付き合いが深かった方だけに、最後のお見送りができて本当に
ありがたかった」
と言って下さいました。
これ以上のお客様との結び付きってないんじゃないかというくらい、すばらしい
ご縁・・・
黒澤さん、天国でも”Danny Boy”思う存分歌って下さい。

黒澤さんのご冥福を、心からお祈り致します。
合掌
それから、写真のISOちゃんさすがに若くて可愛いね。
本当にオシャレな方でした。
私の写真は、数えてみれば29年前です!
我が家では、
「この時のお父さん、ひとみそっくり」
と言われています。似てるかな~?
それはさておき、ツノ坊、ヒカル君の写真はBLOGに出てくるけど、ひとみちゃんの写真は殆ど掲載されないのでは。
本人は観念しています。
性格も含めて、そっくりです。本人も自覚しています。
写真は、ひとみもそうですが、光はひとみ以上に
年頃なんでしょうね、とても嫌がります。何とか
騙しだまし撮影するんですが、なかなか許可が出ません。
子供といえども、人権は尊重しなくちゃならないんで、何とか説得して登場させたいと思っています。
気長にお付き合い下さい。