前回、労使協定に定めなければいけない項目として「派遣労働者の賃金の
決定方法(概要)」について説明しました。
今回は、その「派遣労働者の賃金」の具体的な記載方法ついて説明したい
と思います。
前回も申し上げた通り、
「派遣労働者の賃金の決定方法」については以下のことを定めなければ
いけません。
【派遣労働者の賃金の決定に関する事項】
(イ)派遣労働者が従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の
平均的な賃金(以下「一般賃金」という)の額と同等以上の賃金の
額となるものであること
→ 職業安定局長通知で公表されている派遣労働者専用の職種ごと
の最低賃金表に示されている時給額よりも高い時給額を派遣
労働者に支払うことを比較して示した派遣労働者用の賃金
テーブルを記載すること
(ロ)派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力又は経験その他
の就業の実態に関する事項の向上があった場合に賃金が改善される
ものであること
→ 派遣労働者の賃金テーブルは派遣労働者の頑張りに応じて昇給
するような内容のものを記載すること
(どんなに働いても賃金額が同じとなるような賃金テーブルでは
ダメ!)
上記の内容を分かりやすく言い換えると、
・職業安定局長通知に示された「賃金額+賞与額+手当額(通勤手当を除く)」
よりも高い額を派遣労働者に支払うような賃金テーブルを作成すること
※ 上記で「職業安定局長通知」と記載していますが、たまに「職業安定局長
通達」と記載する場合があります。両者は同じものを指しているのでご注意
ください。
・職業安定局長通知で示された「通勤手当額」以上の額の通勤手当を派遣
労働者に支払うことを労使協定に定めること
・職業安定局長通知で示された「退職手当」以上の額の退職手当を派遣労働者
に支払うことを労使協定に定めること
・派遣労働者の賃金テーブルは派遣労働者の頑張りに応じて昇給するような内容の
ものを定めること
(どんなに働いても賃金額が同じとなるような賃金テーブルではダメ!)
ということになります。
派遣先均等・均衡方式では、派遣先の正社員に支払われている手当の種類や額に
応じて派遣労働者にもその手当や額を支給することになりますが、労使協定方式
では有無を言わせず
① 基本給+賞与+手当(通勤手当を除く)
② 通勤手当
③ 退職手当
を支給しなければいけません。
いくら派遣元が「うちは派遣労働者以外の社員にも通勤手当や退職手当を支払っ
ていないのに派遣労働者にだけ支払わなければいけないのはおかしい!」と言っ
ても、上記の①~③の賃金等を支給しなければ労使協定の内容としては不備と
なり、その派遣元では派遣先均等・均衡方式が適用されてしまうことになります。
つまり、労使協定方式では絶対に上記の①~③の賃金等を支払う内容を記載し、
実際に支払っていただく必要があるわけです。
今回は「① 基本給+賞与+手当(通勤手当を除く)」の具体的な記載方法に
ついて説明したいと思います。
今年も8月6日に職業安定局長通知が厚生労働省のホームページで
公開されました。
【職業安定局長通知本文】
(厚生労働省 「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(令和4年度適用) 全体版」)
【職業安定局長通知 別添1】
令和2年賃金構造基本統計調査による職種別平均賃金(時給換算)
【職業安定局長通知 別添2】
職業安定業務統計の求人賃金を基準値とした一般基本給・賞与等の額(時給換算)
【職業安定局長通知 別添3】
職業安定業務統計による地域指数
【職業安定局長通知 別添4】
退職手当制度
上記の【職業安定局長通知本文】~【職業安定局長通知 別添4】までが
職業安定局長通知ということになります。
この職業安定局長通知ですが、要するに何を示しているのかというと、
「基本給・賞与・手当、通勤手当、退職手当について派遣労働者専用の最低基準を
職業安定局長通知として示すからこれ以上の額を派遣労働者に支払うんやで!」
というものです。
ということで、この職業安定局長通知に基づいて今回は、
「① 基本給+賞与+手当(通勤手当を除く)」の具体的な記載方法を説明します。
「① 基本給+賞与+手当(通勤手当を除く)」については、別添1又は別添2に
記載されている職種ごとの時給よりも高い額の時給を派遣労働者に支払うことを
労使協定で定めなければいけません。
ちなみに、別添1の資料は「賃金構造基本統計調査」により算出した賃金表と
なります。賃金構造基本統計調査とは、e-Statによると「主要産業に雇用
される労働者の賃金の実態を明らかにする統計調査です。賃金構造基本統計調査
によって得られる賃金の実態は、国や地方公共団体だけでなく民間企業や研究
機関でも広く利用されています。賃金構造基本統計調査では、雇用形態(正社員
・正職員、正社員・正職員以外)、就業形態(一般労働者、短時間労働者)、
職種、性、年齢、学歴、勤続年数、経験年数など、労働者の属性別の賃金の結果
を、産業、企業規模別などで提供しています。」となっています。
具体的には、10人以上の常用労働者を雇用する事業所を対象とし、都道府県、
産業及び事業所規模別に一定の方法で抽出した事業所に対して集計した賃金の
データとなっており、月の給与額、時間外手当、賞与も含まれています。
別添2の資料は「職業安定業務統計」により算出した賃金表となります。
算出方法は、基準値(0年)は、令和2年度にハローワークで受理した無期
かつフルタイムの求人に係る求人賃金(月給)の下限額の平均を、一定の計算
方法(月額×12÷52÷40)で時給換算し賃金構造基本統計調査から計算した
賞与指数(0年)を乗じて作成しており、各年の金額は、基準値(0年)に賃金
構造基本統計調査から計算した能力・経験調整指数を乗じて作成しています。
賃金構造基本統計調査(別添1)は、職業安定業務統計(別添2)に比べ職種が
かなり少なくなっています。
どちらの統計を使うかは労使で話し合って決めていただいて結構です。
ただし、職種によって統計を使い分ける場合は、労使協定に使い分ける理由を
明記しなければいけないので、ご注意ください。
例えば、プログラマーの職種については賃金構造基本統計調査の数値を使い、
システムエンジニアの職種では職業安定業務統計を使っている場合については、
なぜ使い分けているのかを労使協定に記載しなければいけません。
では、どのように労使協定に定めるかというと、一人一人の派遣労働者の賃金が
別添1又は別添2に記載されている時給よりも高いかどうかではなく、別添1や
別添2に記載されている時給よりも高い時給となっている派遣労働者専用(別に
派遣労働者以外の労働者にも適用していただいても結構です)の賃金テーブルを
作成し、それを各派遣労働者に適用する形となります。
最終的には、以下のような賃金テーブルを労使協定に記載していただくこととな
ります(別表1及び別表2部分)
※ 厚生労働省「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(労働者派遣業界編)」
では、この賃金テーブルをどのように作るのかというと、まずは、自社の
派遣労働者の賃金額の現状を調査することから始めます。
※ 厚生労働省「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(労働者派遣業界編)」
まずは、上記の図表4-12「個人別賃金一覧表」の左部分
(「派遣労働者の社内職種と賃金」)に自社の派遣労働者の賃金額
を記載していきます。
この図表4-12は、厚生労働省のホームページにエクセルの書式が
用意されているので、そちらをご利用ください。
労使協定の賃金テーブルは職種ごとに作成するので、「派遣労働者の
社内職種と賃金」の欄を記載していく場合も職種ごとに記載すると
いいでしょう。
記載項目は左から以下の内容となります。
・番号:社員番号等。特になければ空白のままで結構です。
・社内職種:今回はプログラマーに絞って記載するので「プログラマー」と
記載してください。
・経験年数/等級等:その派遣労働者の経験年数や既に社内に賃金テーブルが
ある場合は、その賃金等級(「2号棒6等級」等)を
記載してください。
・地域:その派遣労働者が派遣されている派遣先の事業所の所在地の県を記載
するか、または派遣先の事業所の所在地を管轄とするハローワークの
所轄を記載してください(職業安定局長通知 別添3を参照)。
例えば、派遣先の事業所の所在地が「大阪府大阪市北区」であれば、
「大阪府」と記載するか「2702 梅田計」と記載してください。
ちなみに、地域指数は「各県の地域指数」を使うか「派遣先の事業所
を管轄するハローワークの地域指数」を使うかは労使で話し合って
決めていただければ結構です。
ただし、職種によって地域指数を使い分ける場合、例えば、派遣先は
「大阪府大阪市北区」と同じであるにもかかわらず、プログラマー
の職種では「大阪府の地域指数」を使用し、システムエンジニアの
職種では「2702 梅田計」というように地域指数を職種ごとに
使い分ける場合は、労使協定に使い分ける理由を明記しなければいけ
ないのでご注意ください。
・基本給:その派遣労働者の基本給を時給換算した額を記載してください。
時給換算の方法は、
・基本給 × 12ヶ月 ÷ 52週 ÷ 週の所定労働時間
会社の就業規則で月の所定労働時間が決まっている場合は、
・基本給 ÷ 月の所定労働時間
という方法で算定してください。
・手当:通勤手当、退職手当、固定残業代、時間外手当(時間外、休日、深夜)
以外の手当を時給換算した額を記載してください。時給換算の方法は
基本給と同じです。
手当が全くない場合(基本給しか支給していない場合)は「0円」と
記載してください。
・賞与:その派遣労働者の年間の賞与額(昨年度分)を時給換算した額を記載
してください。時給換算の方法は基本給と同じです。
賞与を支給していない場合は「0円」と記載してください。
・小計:上記の「基本給」「手当」「賞与」の時給換算した額を合計した金額
を記載してください。
・通勤手当:その派遣労働者の通勤手当を会社が全額支給している場合は
「71円」と記載してください。
その派遣労働者の通勤手当を会社が全額支給していない場合(つまり
派遣労働者が通勤手当を少しでも自己負担している場合)は、会社が
設定している通勤手当の上限額(例えば、「上限3万円まで」)を
基本給と同じ方法で時給換算し、その額が「71円以上」の場合は
「71円」と記載してください。
「71円」未満の場合はその額を記載してください。
※ 令和3年度の通勤手当の額は「74円」でしたが、令和4年度
は「71円」に引き下げられました。
ちなみに、令和2年度は72円でした。
・退職金:既に派遣労働者に退職金制度がある場合は、「退職金制度」と文字で
記載してください。
退職金を毎月の賃金に含めている場合(いわゆる「退職金前払い制度
」)を採用している場合は、その者の月々の退職金として支給してい
る金額を基本給と同じ方法で時給換算した額を記載してください。
中小企業退職金共済制度や確定拠出年金または確定給付企業年金等に
加入している場合は「中小企業退職金共済制度」「確定拠出年金」
「確定給付企業年金」と記載してください。
・計:先ほどの小計と通勤手当、退職金を合計した金額を記載してください。
では、具体例を挙げて説明しましょう。
田中さん(派遣労働者)の賃金額
基本給:20万円
通勤手当:3万円(会社が全額負担)
家族手当:2万円
住宅手当:2万円
賞与:昨年1年間の賞与額60万円
退職金:前払い退職手当も退職金制度もなし
上記賃金額を時給に換算
基本給:20万円×12ヶ月÷52週÷週の所定労働時間(40時間)
=1,153.846・・・ → 1,153円
→ 基本給の欄に「1,153円」と記載
通勤手当:3万円(会社が全額負担)
3万円×12ヶ月÷52週÷週の所定労働時間(40時間)
=173.076・・・ → 173円
→ 71円より高いので71円
→ 通勤手当の欄に「71円」と記載
家族手当:2万円、住宅手当:2万円
(2万円+2万円)×12ヶ月÷52週÷週の所定労働
時間(40時間)
=230.769・・・ → 230円
→ 手当の欄に「230円」と記載
賞与:昨年1年間の賞与額60万円
60万円÷52週÷週の所定労働時間(40時間)
=288.461・・・ → 288円
→ 賞与の欄に「288円」と記載
退職金:前払い退職手当も退職金制度及び中小企業退職金共済制
度もなし
→ 退職金の欄に「0円」と記載
上記の金額を記載した個人別賃金一覧表がこちらです。
次に、上記の図表4-12「個人別賃金一覧表」の右部分
(「一般労働者の職種と賃金」)に職業安定局長通知の賃金額等
を記載していきます。
記載項目は左から以下の内容となります。
・通知職種:職業安定局長通知の別添1の「賃金構造基本統計調査」か別添2
の「職業安定業務統計」の職種から一番近いものを選んでくだ
さい。
・統計:通知職種を別添1の「賃金構造基本統計調査」か別添2の
「職業安定業務統計」のいずれの数値を用いたかを記載してください。
・能力・経験調整指数:別添1及び別添2の「基準値。基準値に能力・経験調整
指数を乗じた値」に記載されている年数「0年、1年、
2年、3年、5年、10年、20年」のいずれに該当す
るかを記載してください。
ちなみにこの「能力・経験調整指数」の年数ですが、
これはその派遣労働者の経験年数を意味しているわけで
はなく、その派遣労働者の能力値を意味しています。
したがって、その派遣労働者がその業務に10年間従事
していたからと言って、10年と記載する必要はなく、
その派遣労働者の仕事内容や能力値に見合った年数を記載
してください。
例えばその業務に10年間従事している派遣労働者であっ
てもやっている仕事内容や能力値がその業界の平均値で
換算すると3年目に相当するような仕事内容や能力値で
あれば「3年」と記載してください。
・地域:その派遣労働者が派遣されている派遣先の事業所の所在地の県を記載
するか、または派遣先の事業所の所在地を管轄とするハローワークの
所轄を記載してください(職業安定局長通知 別添3を参照)。
例えば、派遣先の事業所の所在地が「大阪府大阪市北区」であれば、
「大阪府」と記載するか「2702 梅田計」と記載してください。
ちなみに、地域指数は「各県の地域指数」を使うか「派遣先の事業所
を管轄するハローワークの地域指数」を使うかは労使で話し合って
決めていただければ結構です。
ただし、職種によって地域指数を使い分ける場合、例えば、派遣先は
「大阪府大阪市北区」と同じであるにもかかわらず、プログラマー
の職種では「大阪府の地域指数」を使用し、システムエンジニアの
職種では「2702 梅田計」というように地域指数を職種ごとに
使い分ける場合は、労使協定に使い分ける理由を明記しなければいけ
ないのでご注意ください。
・基本給・賞与等:上記で選んだ「通知職種」「統計」「能力・経験調整指数」
及び「地域」を踏まえた時給額を記載してください。
例えば、
通知職種:ソフトウェア開発技術者
統計:職業安定業務統計(別添2)
能力・経験調整指数:3年
地域:大阪府(地域指数:108.2)
の派遣労働者であれば、
時給1,728円×108.2=1,869.696
→ 1,870円(小数点未満は切り上げ)
となります。
ちなみに、この1,870円には、「基本給」「賞与」
「通勤手当、退職手当、時間外労働手当、休日労働手当、
深夜労働手当以外の全ての手当」が含まれています。
・通勤手当:「71円」と記載してください。
この「71円」はすごく簡単に言うと、通勤手当の全国平均額
から算定した数値となります。
・退職金:退職金については、労使協定方式を取る場合は必ず派遣労働者に
支払わなければいけないのですが、支払い方は次の3つの方法から
労使で話し合って決めていただくことになります。
① 退職手当制度を設ける場合(職業安定局長通知の別添4に
示されている退職手当の統計以上の退職手当制度を設ける
場合に限る)
② 退職手当分を毎月の賃金に手当として支給する場合
(前払い退職金)
③ 一定の掛け金を会社が支払って中小企業退職金共済等(ほか
に、確定給付企業年金、確定拠出年金等がある)に加入する
場合
図表4-12「個人別賃金一覧表」には②の「退職手当分を毎月の
賃金に手当として支給する場合(前払い退職金として支給する場合)
のみ、右部分に金額を記載し、①の「退職手当制度を設ける場合」
や③の「一定の掛け金を会社が支払って中小企業退職金共済制度等
にする場合」は個人別賃金一覧表には「退職金制度」又は「中小企
業退職金共済」等と記載します。
(退職手当については後日、改めて説明いたします)
上記の金額を記載した個人別賃金一覧表がこちらです。
上記の場合は、左(派遣労働者の社内職種と賃金)の合計額(1,742円)が
右(一般労働者の職種と賃金)の合計額(1,941円)よりも下回っているの
で、この労働者については賃金の改善が必要となります。
このように、プログラマーの職種に就いている他の派遣労働者についても同じ
ように記載し、自社の現在のプログラマー業務に従事する派遣労働者の賃金の
分布を確認します。
賃金分布が確認できたら、次は、それを元に派遣労働者専用の職種ごと地域ごと
の賃金テーブルを作成していきます。
(派遣労働者専用と言いましたが、別に派遣労働者以外の方にも当該賃金テーブ
ルを適用していただいて結構です。社内の格差を解消するためにはその方が良
いでしょう)
賃金テーブルの作成の仕方については基本的に自由に作成していただいて結構で
す。ただし、冒頭でも述べましたが、以下のことは必ず守ってください。
・職業安定局長通知に示された「賃金額+賞与額+手当額(通勤手当を除く)」
よりも高い額を派遣労働者に支払うような賃金テーブルを作成すること
・職業安定局長通知で示された「通勤手当額」よりも高い額の通勤手当を派遣
労働者に支払うことを労使協定に定めること
これは、「賃金額+通勤手当の合計額」が職業安定局長通知で示された
「賃金額+通勤手当の合計額」よりも上回っていれば結構です。
・職業安定局長通知で示された「退職手当」よりも高い額の退職手当を派遣労働者
に支払うことを労使協定に定めること
「前払い退職金」として毎月の賃金額に退職金部分を含めて支給する場合は、
「賃金額+通勤手当+前払い退職金の合計額」が職業安定局長通知で示された
「賃金額+通勤手当+前払い退職金(一般賃金の6%で算定した額)の合計額」
よりも上回っていれば結構です。
「前払い退職金」以外の方法(「退職手当制度を設ける場合」及び「一定の
掛け金を会社が支払って中小企業退職金共済等(ほかに、確定給付企業年金、
確定拠出年金等がある)に加入する場合」)については、
「賃金額+通勤手当+前払い退職金」には含めず、退職金部分だけ別途以下の
比較が必要となります。
・退職手当制度の場合
派遣労働者の退職金制度 > 職業安定局長通知の別添4の退職金制度
(上記の「>」は「以上」という意味です)
・中小企業退職金共済制度の場合
各派遣労働者の中小企業退職金共済制度の掛け金額 >
一般賃金 × 6%
(上記の「>」は「以上」という意味です)
・派遣労働者の賃金テーブルは派遣労働者の頑張りに応じて昇給するような内容の
ものを定めること
(どんなに働いても賃金額が同じとなるような賃金テーブルではダメ!)
上記のことを踏まえて賃金テーブルを作成します。
賃金テーブルの記載例 ①
要件
・職種:ソフトウェア開発技術者
・賃金等級:3等級に区分
・賞与:支給(直近の事業年度において協定対象派遣労働者に支給された賞与額
の平均額を記載)
・通勤手当:全額会社負担(実費支給)
・退職金:退職金制度を採用
・派遣先事業所:大阪府と兵庫県の2か所
賃金テーブルの記載例 ②
要件
・職種:ソフトウェア開発技術者
・賃金等級:3等級に区分
・賞与:支給なし
・通勤手当:上限あり(上限1万円)
・退職金:中小企業退職金共済制度(6%以上の掛金)を採用
・派遣先事業所:大阪府と兵庫県の2か所
賃金テーブルの記載例 ③
要件
・職種:ソフトウェア開発技術者
・賃金等級:3等級に区分
・賞与:支給なし
・通勤手当:上限あり(上限2万円)
・退職金:前払い退職手当を毎月の賃金として支給
・派遣先事業所:大阪府と兵庫県の2か所
賃金テーブルの記載例 ④
要件
・職種:ソフトウェア開発技術者及び倉庫作業員
・賃金等級:3等級に区分
・賞与:支給なし
・通勤手当:上限あり(上限2万円)
・退職金:前払い退職手当を毎月の賃金として支給
・派遣先事業所:大阪府と兵庫県の2か所
東谷社会保険労務士事務所(派遣部門) – 派遣事業の運営方法の全てをお教えします
haken-higashitani.com
『労働者派遣契約の結び方』をご購入いただいた方は2020年4月改正後の派遣関係書類の様式(記載例付き)をダウンロードしていただけます。
本書は、3年間、大阪労働局の需給調整事業部(派遣法の指導監督を行っている部署)で需給調整事業専門相談員として派遣会社や派遣先の企業、社労士や弁護士の方からの相談業務を担当していた筆者が、労働者派遣法のことが全く分からない方や派遣業務が未経験の方でも簡単に派遣関係書類(今回説明させていただいた労使協定や個別契約書等)が作成できるよう、記載例も掲載しわかりやすく解説させていただいています。
本書をご購入いただいた方につきましては、すぐに使える2020年4月の派遣法改正後の各種派遣関係書類(ワード形式)を税務経理協会様のホームページからダウンロードしていただけます。
また、令和3年8月6日に公表された「令和4年度から適用される労使協定の記載例」及び令和3年1月と4月に行われた派遣法改正に対応した派遣関係書類(ワード形式)も税務経理協会様のホームページからダウンロードしていただけます。
派遣元の担当者の方や派遣先の担当者の方、社会保険労務士の先生方など派遣業務に携われる方は是非、ご一読ください!
本書は専門書のため、ジュンク堂書店、紀伊国屋書店等の大型書店にてお買い求めいただけます!
(資料)
厚生労働省 「労働者派遣事業関係業務取扱要領(2021年4月)」
https://www.mhlw.go.jp/general/seido/anteikyoku/jukyu/haken/youryou_2020/dl/all.pdf
厚生労働省 「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル(労働者派遣業界編」
https://www.mhlw.go.jp/content/11909000/000501271.pdf
厚生労働省 「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(令和2年度適用)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000595429.pdf
厚生労働省 「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(令和3年度適用)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000685419.pdf
厚生労働省 「同種の業務に従事する一般労働者の賃金水準(令和4年度適用)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000817350.pdf
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます