習い 性となる
中学生のころ,工業大学建築学科に学ぶ兄といっしょに間借りしていたことがある.
6歳も年の離れたこの兄と 母は常に比較して 『少しは 兄さんを見習いなさい.』といって
文句言われた.兄は優等生タイプであったから だろう.
兄とわたしは別々の家で育てられたから それまでいっしょに暮らしたことはなかった
洗濯物は わたしが兄の分まで 洗っていた.「アンちゃんの分まで 洗濯してt感心ね.隣の姉さんが同情し
てくれたが 何で俺がといつも不満に思っていた.
洗濯物を取り込んでたたむときは 兄はじっとわたしの仕事ぶりを見ていた.真四角に たたんで
たんすに納めないと何度でもやり直しさせられた.着物 ,はかま のたたみ方もきっちり 仕込まれた.
靴の磨き方もそうだ゛,と言うことは兄も誰かに仕込まれたのであろう.
この年になっても,洗濯物の片づけが乱雑だと 妙に気になる.自分用のたんすは自分で管理している.
一つは祖母がなくなったとき たんすの中を調べていたとき きちんと整理され わたしがむ小学校のとき
郡の剣道大会で もらった賞品の和タオル大事にしまわれていた.安政とか慶応の時代の祖父や祖母から
明治生まれの両親に引き継がれ,昭和生まれのわたしの引き継がれる 伝統の重みをかんずる・
習い性となる.後になって きずくことではあるが.