昭和31年の卒業生の中に S君がいた. よく努力し スポーツ・マンでもあったS君が
就職の相談に来た.わたし彼は大學に進学することとばかり 思っていたが
家庭の都合もあったのだろう就職を世話して欲しいと言うのだ.
いろいろ検討した結果わたしは ちょっと難しいが U社の試験を受けてみないかと勧めた.
「何をする会社ですか」「簡単に言えば電池を作っている会社だよ.」
「電池ですか」彼は驚いた様子で尋ねた. そこでわたしは エネルギーについて彼に語り始めた.
私生活でも企業でも エネルギーがなければ生活できない.日本にはエネルギーを得るための
石油は海外に頼っている.しかし 将来は太陽エネルギーや風力エネルギーなどの自然エネルギーを
使用して化石燃料から離れていかねば成らない.
そんなときに絶対必要になってくるのが 画期的な蓄電器の解発である.将来は電線がなくなって
各家庭や工場にも蓄電池でエネルギーを使う時代になるだろう.
U社はそれに取り組んでいる会社で将来有望な会社だ.と瀬ッ瞑した.
採用試験も見事に合格した.10年ほどして 帰省したS君から彼の金共和聞くことができた.
そのころ係長をしていたようだ.もう定年で幸福な余生を送っているだろう.
再生可能な自然えねるぎーと 夢の蓄電器が合体したとき 日本いや世界の風景は
一変するだろう.わたしはそれの恩恵に授かることは できないだろうが.