「僕ひとりの幼い判断で妹との別れを選んだ時、
湧きあがる妹への罪悪感と自分自身へのけじめとして、牧師さんの家ではなく、
両親と暮らしたその家で、ひとりで暮らしていくことも決めた。
実質的には牧師さんに見守られて育ったとはいえ、
その時の僕の形式的で拙い意見を認めてくれたことが、
何よりも嬉しかったのを今でも鮮明に憶えている。
だから、そんな子供の無謀な考えを、反対もせずに尊重してくれた
牧師さんと伯父と伯母には、今でも感謝しているんだ。」
一気にジュースを飲み干して、続ける。
「そうして、妹は日本という国で新しい家族とともに、新しい一歩を踏み出すことになった。
妹を混乱させないために、僕は一切の連絡を断つことも決心した。
それは、別々のところで、別々の人生を歩むことを完全に決めた瞬間だった。
本当に、辛かった。
いや、今でも。
彼女は幸せでいるのか。
僕のしたことは間違っていたのではないか。
一緒に暮らしていたらどうなっていたのだろう。
と、今でも、あの時の決断から、何一つ前に踏み出せないままでいるような気がするんだ。」
そう言って、少し色あせた、頬を寄せ合う両親の写真を、
大事そうに財布の中から取り出した。
湧きあがる妹への罪悪感と自分自身へのけじめとして、牧師さんの家ではなく、
両親と暮らしたその家で、ひとりで暮らしていくことも決めた。
実質的には牧師さんに見守られて育ったとはいえ、
その時の僕の形式的で拙い意見を認めてくれたことが、
何よりも嬉しかったのを今でも鮮明に憶えている。
だから、そんな子供の無謀な考えを、反対もせずに尊重してくれた
牧師さんと伯父と伯母には、今でも感謝しているんだ。」
一気にジュースを飲み干して、続ける。
「そうして、妹は日本という国で新しい家族とともに、新しい一歩を踏み出すことになった。
妹を混乱させないために、僕は一切の連絡を断つことも決心した。
それは、別々のところで、別々の人生を歩むことを完全に決めた瞬間だった。
本当に、辛かった。
いや、今でも。
彼女は幸せでいるのか。
僕のしたことは間違っていたのではないか。
一緒に暮らしていたらどうなっていたのだろう。
と、今でも、あの時の決断から、何一つ前に踏み出せないままでいるような気がするんだ。」
そう言って、少し色あせた、頬を寄せ合う両親の写真を、
大事そうに財布の中から取り出した。