海の後姿を、坂の上から、見えなくなるまで見送る。
しばらく、立ち尽くしていた。
気合を入れるように勢いよく反転して、普段を装う練習をしながらキャリーの家まで戻った。
到着直後に挨拶を交わしたとても柔和なキャリーは、お葬式の準備で家を空けていた。
「教会、どうだった?」
母は、聞いた。
「本当に、ブリスベンの教会にそっくりだったわ。」
不自然にならない程度に、視線をそらすように応えた。
「お父さん、少しどこかで横になっていい?長旅が堪えたみたい。」
泣きはらした顔を少し冷やしたかったのと、海のことをひとりで考えたかった。
「空君の家を使わせてもらうといいよ。
さっき、キャリーさんが空君からのことづけで、遠慮なく使ってくださいと仰ってくれたから。」
キャリーから預かった鍵を受け取る。
「空君が帰ってきたら、父さんから伝えておくから。」
「うん。ありがとう。」
「独りで不安だったら、お母さんも一緒に行こうか?」
心配そうな声が背中に響いた。
「大丈夫よ、子供じゃないから。」
振り返らずに、笑い声で言った。
「じゃあ、少し休んでくるね。」
精一杯の平静を装って扉を開けた。
しばらく、立ち尽くしていた。
気合を入れるように勢いよく反転して、普段を装う練習をしながらキャリーの家まで戻った。
到着直後に挨拶を交わしたとても柔和なキャリーは、お葬式の準備で家を空けていた。
「教会、どうだった?」
母は、聞いた。
「本当に、ブリスベンの教会にそっくりだったわ。」
不自然にならない程度に、視線をそらすように応えた。
「お父さん、少しどこかで横になっていい?長旅が堪えたみたい。」
泣きはらした顔を少し冷やしたかったのと、海のことをひとりで考えたかった。
「空君の家を使わせてもらうといいよ。
さっき、キャリーさんが空君からのことづけで、遠慮なく使ってくださいと仰ってくれたから。」
キャリーから預かった鍵を受け取る。
「空君が帰ってきたら、父さんから伝えておくから。」
「うん。ありがとう。」
「独りで不安だったら、お母さんも一緒に行こうか?」
心配そうな声が背中に響いた。
「大丈夫よ、子供じゃないから。」
振り返らずに、笑い声で言った。
「じゃあ、少し休んでくるね。」
精一杯の平静を装って扉を開けた。