休眠担保権抹消の依頼を受けました。
休眠担保権というのはすでに効力を失った古い担保権のことです。
担保権者が生存、存続している場合の抹消登記はさほど難しくありませんが、抹消登記をしないまま、50年近く放っておくと担保権者に死亡、行方不明、清算結了等が発生し、抹消登記申請がスムーズにいかないことがあります。
このような場合・・・
1 供託による抹消
2 本案判決による抹消
3 除権判決による抹消
のいずれかの方法により抹消します。
今、取り組んでいるのは2の「本案判決による抹消」です。
登記義務者である法人の清算人が全員していることから、清算人選任申立を裁判所に行い、共同申請で抹消する予定でしたが、会社法施行後は清算人選任ではなく特別代理人選任申立と本案訴訟で対応して欲しいと裁判所に言われ、2の方法で抹消することになったのです。
訴状は、消滅時効を援用するだけで済むので手間取りませんでしたが、
特別代理人選任申立書は取りかかった途端手がピタっと止まりました。
こ、この条文は・・・悩ましい
民事訴訟法第35条
法定代理人がない場合又は法定代理人が代理権を行うことができない場合において、未成年者又は成年被後見人に対し訴訟行為をしようとする者は、遅滞のため損害を受けるおそれがあることを疎明して、受訴裁判所の裁判長に特別代理人の選任を申し立てることができる。
2 裁判所は、いつでも特別代理人を改任することができる。
3 特別代理人が訴訟行為をするには、後見人と同一の授権がなければならない。
「遅滞のため損害を受けるおそれがあること」
50年以上放っておいて、今さら遅滞のため損害を受けるおそれがあるのだろか?
普通に考えたら・・・な、ないよね・・・
30分ほど悩んだ末、小さいことをイチイチ気にしてはいけないと自分を励まし・・・、
「申請人は速やかに抹消登記をする必要がある!」と断定口調で言い切りました。
あとは、法務局で訴状の「請求の趣旨」を確認してもらい、今週中にも裁判所に出す予定です。
登記まで順調にいくことを願っています。
ドキドキ・・・
「司法書士は登記のプロです。登記のコトは何でもご相談下さい。」