天沼春樹  文芸・実験室

文芸・美術的実験室です。

日暮れて(雑感)

2011年08月02日 02時41分52秒 | 文芸

日暮れ時に近隣の野道山道を歩くことがある。はっと気付くと、はや日が落ちている。その刻限が好きである。物悲しくてすきである。そんなとき、釈超空の歌を思い出して、物悲しさに浸るのである。

武蔵野はゆき行く道のはてもなし。帰れといへど、遠く来にけり  釈迢空

父母のもとへかへれといえど、遠くまで来てしまった。そのうえ、道に踏み迷っている。誰もかれもみな帰ってしまった。去ってしまった。草深い道を自分はどこへむかおうというのだ。

また、賛美歌にある「さすらううちに、はや日は暮れ・・・」というフレーズも身にしみる。母の葬儀でもこの歌がうたわれて泣いてしまった。「帰思まさに悠なるかな」の心をかかえながら、もはや帰っていくところがない。

母が亡くなってからはや百日になる。

母さん、ぼくは、まだどこへも帰れないんですよ・・・・・・


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