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H.C.アンデルセンの童話集。国際アンデルセン賞受賞画家、ドゥーシャン・カーライとカミラ夫人のイラストレーションをつけた3巻本の第一刷がようやく刊行の運びになりました。いろんな仕事をかかえつつ、もっぱら深夜にコツコツと訳していた訳業(ドイツ語版から)がひとくぎりです。でも、まだあと2冊、各500ページをこえる分量です。
詳細は西村書店ホームページへ。
http://www.nishimurashoten.co.jp/pub/details/305_922.html
アンデルセン童話には、こんな作品もあったのか!という新たな発見はもちろん、よく知っていると思っていた有名な作品でも、あらためて原典どおりに読んでみると、より深いアンデルセンらしさと、物悲しい結末にも一筋の救済を願っていく心が読みとれるのではないでしょうか。そして、彼一流のユーモアも。
そして、なによりもドゥシャン・カーライとカミラ・シュタンツロヴァーの手になるイラストレーションが、アンデルセン童話にみごとな新しいイマジネーションを与えてくれています。1999年の秋にブラチスラバのカーライ氏のアトリエを訪ねたときには、まだアンデルセン童話の絵の制作には入っていなかったようですが、それからの4年あまりの間、カミラ夫人と来る日も来る日もアンデルセンの世界を描き続けていたのです。2010年に日本においでになったとき、それにしても長かったというふうに、ちょっと溜息をついていたのが思い出されます。本書の訳出にあたって、わたしもカーライ氏とおなじような思いをおぼえつつ、アンデルセンの世界を巡礼しているような気分になっております。わたしの巡礼はまだこれからも続くのですけれど。