一般会計・特別会計の「不用額」「剰余金」など「税外収入」の生きた使い方

先般の事業仕分けでは、どんなに見積もっても1兆6~8千億円程度の財源しか捻出できませんでした。しかも、立花隆氏が「バーバーリヤンが寄ってたかって、日本という国をぶっ壊しつつある・・・」と表現したように、独法や公益法人の仕分けこそ徹底すべきなのに、必要な事業そのものまで縮減を求める今回の事業仕分けは、科学者や漢方の専門家、スポーツ選手などが記者会見をして危機感をあらわにしたことからも明らかなように、相当不適切な点があったことも事実です。

財務省によると、来年度の税収見込みは37兆円です。国債発行額44兆円と一次補正の見直し約3兆円とを合わせると来年度は総額84兆円の収入が見込めますが、景気対策はもとより、円高・デフレ対策、民主党のマニフェスト実現のためには、税外収入で、あと18.5兆円程度はどうしても必要です(Cf:麻生政権下の本予算と第一次補正の合計は102.5兆円))。

これまで税外収入は、財務省が最後に帳尻を合わせるというやり方で、完全にブラックボックスでした。しかし、民主党政権下ではそれをオープンにして、国民誰もが納得のいく、税金の生きた使い方をしなければなりません。そのためには、一般会計と特別会計について、もっと大胆かつ詳細に切り込まなければならないのです。

再三このブログでも指摘していますが、不用額だけ見ても、平成20年度は、一般会計1兆8,178億円、特別会計11兆7,625億円です。この不用額も含めた特別会計の剰余金は、平成20年度決算で28.5兆円にのぼります。

中でも注目すべきは、特別会計のなかの外為特会・財政投融資特会・国債整理基金特会の積立金運用収益です。平成20年度決算処理後、外為特会は20兆5,586億円、国債整理基金は11兆1,172億円の積立金があり、平成20年度単年で、外為特会は3.4兆円、財投特会は2.4兆円、合計5.8兆円の運用収益(調達コストとの差)があります。

 従って、

① 独法・公益法人の内部留保や基金の国庫返納

② 一般会計と特別会計の不用額

③ 外為特会・財投特会の運用収益

④ 外為特会と国債整理基金の積立金の取り崩し

これら①~④を組み合わせることによって、合計20兆円税外収入は、十分確保できるのです。

民主党政権が今やらなければならないことは、漢方薬の保険適用除外を含む診療報酬・科学技術の予算削減や景気対策にまったく逆行する増税などではなく、景気対策、円高・デフレ対策、マニフェスト実現のための、「一般会計・特別会計の不用額」・「特別会計の積立金・剰余金」・「独法・公益法人の埋蔵金」の生きた活用方法を考えることです。

廃止するガソリン暫定税率2.5兆円分の穴埋めのために環境税を導入することは、国民への裏切りです。今回登場した環境税は、これまで環境省が提案してきた二酸化炭素税とは全く異なり、ガソリン等の燃料狙い撃ちの、単なる財源確保のための増税でしかなく、CO2削減を目的とするものではありません。

二次補正および来年度予算編成という重要な局面を迎え、政策判断を誤らぬよう、民主党政権の正しい選択を期待します。

 

(参考資料)小沢幹事長への要望書(2009年12月1日)

提出者:民主党衆議院 総務委員会 農林水産委員会 経済産業委員会 国土交通委員会 環境委員会 委員会有志一同

~政治主導とは、マニフェストを実現することである~

1. 本年度第二次補正予算、来年度本予算の規模は、景気対策、円高・デフレ対策、マニフェスト実現のための必要かつ十分な規模(麻生政権の合計102.5兆円を下回らない額)とし、財源は税収(38兆円)、国債(44兆円)、第一次補正見直し分(2.9兆円)のほか、税外収入(一般会計・特別会計の不用額・剰余金・積立金、独立行政法人・公益法人の過剰な内部留保・基金など20兆円程度が捻出可能)を最大限に活用していただきたい。

2. 子ども手当、高校授業料無償化、農業の戸別所得補償制度、ガソリン税等の暫定税率の廃止、高速道路無料化等のマニフェスト項目は、可能な限り来年度予算に盛り込み、温暖化対策税などの増税を財源としないようにしていただきたい。

3. 来年度予算編成の基本方針・税制改正、マニフェストの実現方法については、小沢幹事長が参加する政府と党の首脳会議で決定していただきたい。(以上)

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